本秀康「あげものブルース」(亜紀書房)を読む。
からあげ。とんかつ。てんぷら。そしてかりんとう。
あげものを狂言回しに、
ビートルズの「ホワイトアルバム」をからめた
3人の男たちの30年にわたる年代記。
と、内容を書いたけど、
読んでいない人には「なんのこっちゃ」と思うはず。
なんであげものとビートルズがつながって、
それが年代記になるんじゃ、なめとんのか、あん?
という疑問が浮かぶのはごもっとも。
これは実際に読んでもらった方が早いと思う。
どうにも説明が難しくて、とにかく
あげものとビートルズと3人の男たちが
絶妙にからみあい、感動すら覚えるという。
しかも藤子・F・不二雄的な
「SF(すこし不思議)」な感覚もあったりする。
ビートルズがインドのリシケシュに滞在し、
そこでの経験が「ホワイトアルバム」に結実したように、
本さんもリシケシュを訪れ、ビートルズを偲び、
本作を描き上げたとのこと。
「ガロ」時代から本さんの
少しブラックなSF漫画に親しんできた人や、
「レコスケくん」のビートルズ愛に共感してきた人には
ある意味集大成的な作品だと思うし、
かなりの完成度なのでは、と。