げしし。
また階段の踊り場で若旦那とすれ違ってしまった。
そそくさと階段を降りようと思ったけど、
若旦那はこちらの行く手をさえぎるのでした。
「げしし。『スター・ウォーズ』見ましたか?」
「え。ああ。『ローグ・ワン』のことですか」
「もちろんです。アレはなかなかですよ。げしし」
またしてもネタバレしそうになったので、
すかさずフトコロにあるナイフで、若旦那の喉をかっ切る。
しかし、若旦那はびくともせず、
首から血をぴゅーぴゅーと噴き出しながら、
SWの話を続けるのでした。
「げしし。SWはどれから見ますか?」
「え。それはやっぱりエピソード4からじゃないですか。制作順で」
「そうですよね。わかってますね。
エピソード1から見るなんて邪道ですよね。げしし」
なぜこんな狭い階段の踊り場で、
SW談義をしなければならないのだ。
別にマニアでも何でもないんですよ、若旦那。
「げしし。てっきり『ローグ・ワン』に
ジャージャーが出ると思ってたんですけど」
とまた、ネタバレをしかけたので、
今度は完全に首を落とす。階段を転げ落ちる若旦那の首。
果たしてジャージャー・ビンクスは出るのかどうか。
その目は語りたくて語りたくて
仕方ない目だったけれど。合掌。