荒戸源次郎さん。享年70。
シネマプラセットという移動式の映画館を運営し、
「ツィゴイネルワイゼン」で鈴木清順をトップ監督に押し上げ、
「どついたるねん」で阪本順治を世に送ったプロデューサー。
「赤目四十八瀧心中未遂」という傑作をものにして、
寺島しのぶをスター女優にした映画監督でもあった。
上野国立博物館の敷地に、いきなり「一角座」という映画館を建て、
「ゲルマニウムの夜」というカルト作を上映する。
自分で映画を作って、映画館を建て、配給して上映する。
監督もやるし俳優にもなる。まさに鉄人というか、怪人というか。
もっともっと活躍してほしかったけれど、
この人がいなかったら、
日本映画はずいぶんつまらないものになったと思う。
荒戸さんのつくった映画は、
隠微でうす暗く、そこに人間の情念のようなものが
うごめいているものばかりだったような気がする。
人は亡くなっても、その人が作った映画は残ります。
またスクリーンで再会できればと。
ご冥福をお祈りします。