Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

ライフ・イズ・ジャーニー

2015年08月20日 | 読んでいろいろ思うところが

沢木耕太郎「深夜特急1~6」(新潮文庫)を読む。

いつか読もうと思っていた本で、ようやく叶ったというか。

1冊1冊はとても薄いので、6巻を一気に読むことができた。

なぜこれまで読まなかったかというと、

下手に影響を受けて、またアジア行きてえ、

とハマってしまうのも癪だなと思ったというか。

沢木耕太郎が書くものにはそういう力がある。

 

でも杞憂だった。

バックパッカー、当時はヒッピーと言ったのだろうけど、

旅から旅、出会った人々との交流は読んでいてスリリングで、

ちょっともの悲しい。そんな体験してみたい、と誰もが思うだろう。

香港の連れ込み旅館での滞在や、

マカオのカジノでギャンブルにハマるくだりなどは楽しく読める。

しかし、タイからマレーシア、そしてインドで貧民街の人々を

目の当たりにするあたりから、次第に旅の疲れというか、

倦怠感のようなものが漂ってくる。

そしてトルコからギリシャ。ヨーロッパに入ると、

旅に対する慣れというか、達観するようになるというか。

まるで子供が生まれてから、少年から青年、

そして大人になってだんだん老成していく過程に似ている。

当時、沢木耕太郎は26歳ぐらいだったと思われるが、

旅の終わりの頃は、まるで老人が書いているような文章になっている。

 

10代の頃に読んでいたら、もろ触発されて

アジアに飛び出してしまうのだろうけど、

おっさんになった今、こういうものが人生なんだなと

しみじみ読めたりするわけで。

実際、沢木耕太郎は旅から帰ってすぐこの作品を書いたわけではなく、

完結まで17年かかったというか、17年かけたことからも、

この作品が単なる旅行記以上のものになっていることがわかる。

 

それでも行きたくなるけれど。アジア。

 

コメント (2)
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