オーソン・ウェルズ監督「上海から来た女」を見る。
まさに異形の映画、と言ったらいいだろうか。
強引でよくわからないストーリー展開。俳優たちのオーバーアクト。
観客を煙に巻くことこそが目的であるかのような演出効果。
水族館の中でマグロやウツボの水槽の前で
ラブシーンを演じるオーソン・ウェルズと当時の妻リタ・ヘイワース。
追っ手の目をくらますために、
わざわざチャイナタウンにある京劇の劇場の観客にまぎれるウェルズ。
そこでインサートされる京劇の演者の顔のアップ。物語とは無関係なのに。
そして上の写真にあるように、
なぜか遊園地の鏡の間で、繰り広げられる諍いがクライマックス。
幻惑されつつ、なんでこんな変な映画を見ているんだろうと
自問自答してしまうというか。
映画はそもそも見世物だという考え方に基づけば、
これほど見どころのある映画も少ないかもしれない。
そもそもオーソン・ウェルズ、この人そのものが胡散臭い。
俳優としての存在感は圧倒的、というか、規格外。
つまりは異形の人だと思うわけで。撮る映画も規格外。