桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

会議

2014-12-17 | Weblog
昨夜は、東京の事務所で会議だった。
なくせ冤罪評議会の今井さんが中心になり、法制審答申に対する対策を話し合い、どのような手段で国会審議に備え、警察のやりたい放題になる盗聴法と密告法を作らせないようにするかなどを話し合った。
法制審に参加された周防監督も、わざわざ来て議論に加わってくださったことが中身を濃くしてくれ、集会や判り易いリーフレットの作成などで行動して行く計画を立てた。
周防監督も話しておられたが、巨大な権力機関である警察や検察が相手だ。そこに、この両組織を盲信する人が多い国民であることを思うと、一筋縄では行かない運動だし、闘いになるが、国民の「他人事」意識を「我が事」に変えれば良いだけのことだ。
警察によって、自分の電話は盗み聞きされ、好き勝手にメールは盗み読みされれことが許せるか、そこを理解して貰えれば、盗聴法を潰すのは簡単だ。密告法も同じこと。「あの人が犯罪をした」と密告すれば、その密告者の罪が軽くなり、密告された人は逮捕される。こんな卑劣で怖い法律はない。
「何もしてなければ大丈夫」と思うだろう大多数の国民に、すでに同じような密告で冤罪が作られている実態を知らせて行けば、必ず道理は理解して貰えるだろう。
卑劣な法律を作らせない闘いは、やらなければならないし、必ず成せる。
小さな集まりだったが、成すべき使命は大きいと感じる会議だった。

面白い記事

2014-12-16 | Weblog
時事のニュースで、中国で死刑が執行をされた男性に再審で無罪判決が下されたことか報じられた。
その中身が、何を書いてるんだか!と呆れる意味で面白かった。
「共産党が支配する中国の司法制度において、刑事裁判で有罪判決が出る確率は100%に近い。一方で、公正さが怪しまれる状況で自白が引き出されることが当たり前のようになっている」とあったのだ。
「自民党が支配する日本の司法制度において、刑事裁判で有罪判決が出る確率は100%に近い。一方で公正さが怪しまれる状況で自白が引き出されることが当たり前のようになっている」と書いて、どこかに誤りはあるだろうか。
日本の刑事裁判でも有罪判決は100%に近いはずだ。あたかも中国の司法制度に問題があるかのように書くが、日本では死刑執行した人に対する再審など、絶対に開かない。袴田事件の再審開始決定に対する検察庁の常軌を逸した抵抗を見れば、中国の司法制度以上に狂った日本の司法制度であることが判るだろう。
全面可視化を拒否して「公正さが怪しまれ状況」を続けて「自白」に頼って事件解決を図る日本の司法制度と、どこが違うのだろうか。
この記事は中国の司法制度の異常を書いたようだが、さして変わりのない日本の異常さも指摘してる記事と言えるだろう。

やって貰おうじゃないか!

2014-12-15 | Weblog

いやあ予想通りとは言え、自民党は勝ったねえ。これが国民の選択だし、結果は結果だ。

何でも好きにやればいい。憲法を変えて戦争をするのも自由だ。更に莫大な税金をばら撒いて大金持ちを儲けさせるのもいいい。秘密保護法が実施され、ここに警察による電話やメールの盗聴の自由化、密告取引法も法律になってく加わるのだから、さらに共謀罪が加われば、無敵警察の完成だ。戦前と同じように警察によって「政府権力に逆らえば罪人」とされるだろう。

安倍の自由にやるがいい。そして、行き着く先は、今回の沖縄県民の選択になる。必ずなる。

楽しみだねえ。


訃報

2014-12-15 | Weblog

親しい友人が亡くなった。

初めて会ったのは千葉刑務所だった。彼は「太郎」と、古い連中から呼ばれていた。「三年寝太郎」からの命名で、何でも使ったパンツを洗わないで、そのままロッカーに入れてしまい、乾いた後、また穿いていたとか。ロッカーのパンツからキノコが生えたとか、からかわれていた。

事件は殺人。でも、酒を飲み、睡眠薬を飲んでいたので、全く記憶にないらしい。「手などが血で汚れていたので殺したことは間違いないだろうけど、認識が無いし、罪悪感もないんだよ」と語っていた。その認識と罪悪感の無さが責められて1審は死刑だったが、控訴審で無期懲役になり、千葉刑務所で一緒になった。

刑務所に来る人は、誰もが語れない過去を持ち、それぞれに問題も抱えているが、彼は不思議と澄んでいた。

俺が、彼を信頼したのは、絶対に仲間とケンカをしなかったことだ。ところが、職員は殴ってしまう。「殴りますよ」とか職員に言い、職員が「やってみろ!」などと言ったらば大変。本当に「バチ~ン!」と殴ってしまうのだ。それなのに、仲間とケンカになりそうになると、自分から「仕事をしません!」とか言って懲罰に行ってしまうのだ。

仲間と喧嘩する人や職員にペコペコする連中は多くても、彼のような人はいなかった。

彼は、俺よりも1年早く仮釈放になった。母親が健在で、そのアパートの同居して暮らしていたが、1年後、俺も社会に帰って付き合いが復活した。

彼は絵を描いても、詩を書いても、実に鋭かった。才能豊かとは、彼のことを言うと思っているが、欠点があった。根気、鈍さが無いのだ。苦しさを乗り越える気力に欠け、自分に言い訳をして止めてしまう。刑務所でも薬に頼り、何でも薬で「3日後の頭痛薬」を貰っていた。

社会に帰っても仕事を続けられず、母親が亡くなった後は生活保護で生きていた。

無期懲役の仮釈放者では、なかなかアパートを借りるのも容易ではない。俺は、彼のアパートの保証人になって最低限の力添えをしていたが、「昨日の朝、病院で亡くなりました」と連絡が来た。

俺と同じ67歳だ。

「恩赦が欲しい」と自由を求めていた。「もう恩赦はないかも知れない」と、諦めも語っていたが、自由になりたかったろうなあ。見守る人のいない病院のベットで、何を考えながら逝ったのか、と思ったらば、涙が流れた。

清ちゃん、有り難う。まだ早かったよなあ。もう一度、飲みたかったなあ。

さよなら、清ちゃん!

 

 

 

 

 


どこまでも姑息

2014-12-15 | Weblog
冤罪仲間の高知白バイ事件で、近く決定があるようなことを、本人から聞いたが、決定そのものなのか、審理に関する判断なのか、良く判らなかった。
昨夜、あるマスコミの関係者から「決定が出るようだ」と知らされた。
呆れたねえ。
もし決定が郵送されるのだとすれば、訴訟本人は仁淀川町に住んでるのだから、まず検察庁に決定は届き、そこからマスコミに情報が流れて、本人はマスコミからの取材で知らされることになるだろう、「片岡さん、決定が出されましたが、お気持ちは?」と。
そんなバカな話はあるか。「写真の偽造を言う鑑定は、難しくて話を聞いても判らないから尋問はしない」などと、「ぬかす」と表現したいような惚けたことを言った裁判長は、今度は秘密に決定を郵送して終わらせようと言うのだろうか。「バスは止まっていた。そこに白バイが衝突し、バスが動いてスリップ痕がついた、ということでどうか」と言ったとか、言わないとか聞くが、バカも休み休み言え!!
バスのスリップ痕は縦方向に、走行してのブレーキ痕として残されたのだ。何が悲しくて「白バイが衝突しての痕跡」となるのだ。それならば横方向への痕跡になるはずだろう。
それも判らないらしい、こんな馬鹿が裁判官だなんて信じられない。いや、馬鹿なのではなくて警察の証拠捏造を認定したくない、ヘタレ裁判官なのだろうが、こんな馬鹿げた奴に裁かれる片岡さんは哀れだよな。

未成熟

2014-12-14 | Weblog
アメリカでCIAが拷問をしていたと公表された。
ブッシュ政権時代のことだそうで、民主党が不人気なことから対共和党対策で公表されたとも言われるが、初めは反発したCIA長官も事実を認めた。
テロリストには何をしても構わない、それが自由社会を守る、という思いでの拷問だろうが、人間社会は、まだまだ未成熟なんだなぁ、と思わされる。
イスラム国とかが生まれ、奴隷制を公然と唱えたりしているが、それが人類史的に考えて狂っていたとしても、だから拷問が許されることにはならない。もし「自由社会を守るためだ」との言い分が許されるならば、「イスラム主義のためだ」としてのテロや奴隷制も、その立場からならば許されることになるからだ。
共産主義社会と言われたソ連や中国なども、共産主義風独裁制だったことは明らかで、人が平等になる共産主義には、程遠かった。
アメリカの体たらくを見ると、この地球は、まだまだ未成熟なんだなぁ、と思わされる。
人間が産まれ持った才能を、それぞれに発揮出来て、その才能差が充分に生かされながら平等に生きられる社会になるのは、まだ遠い先なのかも知れない。

理解不能は俺だけ?

2014-12-13 | Weblog

安倍自民党は「川内原発から再稼働」といい、今や原発を順次稼働させると宣言している。

まだ福島原発の事故原因すらも判らないばかりか、地下水による汚染も止められていないんだよ。

これでいいのかねえ。

あの東日本大地震で、全国の原発が止まって3年になるが、電力不足になったことはない。再生可能電力も盛んになり、各地に太陽光発電が設置されているが、その電力を買わない、使わないと言い始めたのは、これも良く判らないよね。何でも送電線の不足とか言ってるけど、本音を言えば原発を動かす方が、電力会社も政治家もてっとり早く金儲けが出来るかからだろ?

誰もが毎日、人生としては緩慢な死を迎えていると言えるが、日本列島が原発によって緩慢な死へと向かっているとしか、俺には思えないよなあ。福島から漏れ続ける放射能は、やがて日本列島に住む人間の息の根を止めやしないのか。

東海原発は水戸から10キロほどだろうか。40年にもなる老朽化した炉なのに、東海村民の中には「景気が悪いから原発の安全性を確かめて動かして」と望む人も多い。確かに、生きている身には、明日の命よりも今日の飯かも知れないが、我亡きあと洪水よ来たれ、ってことかも知れないけど、今を生きる人間として明日の命を考えるのも責任だよなあ。

 


誉めたばかりなのに

2014-12-12 | Weblog
福井女子中学生殺人事件で、最高裁が棄却決定を出した。
この冤罪事件は、覚醒剤で逮捕された横山と言う暴力団員が「犯人を知らないか。俺の力で犯人を逮捕出来れば、俺の刑を軽くして貰えるから協力しろ」と、警察の留置場から仲間に手紙を書いたことに始まる。
この手紙を書いた横山は、その後、「血染めの前川を見た、自動車で運んだ」とか言い始め、その言葉に合わせるように「私も見た、私が自動車で運んだ」と言う仲間が出来たことから、前川さんは犯人だとされている。
横山が暴力団員だからダメだとか、覚醒剤犯だから信用出来ないだとかを言うのではない。
そもそも「知らないか」と言う手紙を書いた男が、なぜ「犯人を知っている」となるのだ。おかしいじゃないか。
しかも、横山の証言は、前川さんの血染めの証拠を捨てた場所などに付いては、くるくると主張を変えて、未だに明確に言えないのだ。
今、司法取引法が作られようとしているが、福井女子中学生殺人事件の展開を思うと、その危険さに慄然とするよ。誰かが「あの人が犯人だ」と言い、それを上塗りする嘘を語る人がいれば、誰もが前川さんと同じに犯人に作られてしまうからだ。
何も証拠がないままに、ただ暴力団員と、その仲間たちの3転4転する証言だけで犯人にされる福井女子中学生殺人事件は、絶対におかしい。これを犯人と思う裁判官の思考は歪んでる。先日、最高裁に激励を送ったばかりだが、やはり最高裁は最高裁でしかない。常識外れが揃ってるよなぁ。

またも目出度い話

2014-12-12 | Weblog
埼玉県警で証拠を改ざんした事件が公表された。
何でも窃盗事件現場から採取した足跡を鮮明に見えるように変造したとか。
この54歳になる警部補は、証拠隠滅罪で書類送検されて停職3ヶ月の懲戒処分。「起訴するのに物証が足りないと思ったからやった」と語ったらしい。
そうなんだよな。
警察は、犯人と見込んで逮捕した人に証拠が足りないときは、こうして証拠を改ざんしたり、捏造したりする。「犯人なのだから証拠を捏造しても正義の行為として許される」とした特異な正義観を持つのが、日本の警察と検察だから、こうした証拠改ざんや捏造は、全国で日常茶飯事として行われている。
もちろん、事件を解決すれば手柄だし、昇進などにも利する個人的な欲望も含まれる証拠改ざんと捏造であることは間違いない。
もし、この警部補の証拠改ざんが大事件での行為ならば、絶対に明らかにはならなかったろう。
今、袴田事件では、検察が、組織を上げて「捏造行為」と指摘された「衣類5点の味噌タンク漬け問題」を潰そうと熱中している。検察御用達の学者たちを総動員して「味噌タンクに1年2ヶ月漬けた衣類でも染まらない」とか「実際の色は写真と違う」とか言わせて、捏造は無かったことにする画策を進めている。
小さな事件だから警察の威信には影響なしと見られ、この警部補の行為は明らかにされたに過ぎない。
でも、いいよな、依願退職だってもの。退職金も貰い、無事の任務終了だ。今朝など、ペヤング・ソース焼きそばなどの異物混入が大きなニュースになってるけど、これが「誰かの犯行」だとしたらば、その人は、絶対に依願退職にはならない。警察官だけは、人を犯人にでっち上げる行為をしても、何事もなく退職で済む。目出度い話だよなぁ。

追加情報

2014-12-11 | Weblog
昨日書いたカナリアは、毒ガスではなくて炭鉱だったね。炭坑夫が、湧き出すガスに備えてカナリア籠を坑内に持ち込み、危険を知る手段とした。
それにナチスに付いては、名古屋の友人が「マルチン・ニメイラー」という牧師だと教えてくれた。
死の危険を身をもって知らせたカナリア。死の危険を座視して後悔したドイツの牧師。総選挙の今、考えさせられるのは、俺だけだろうか。