桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

誉めたばかりなのに

2014-12-12 | Weblog
福井女子中学生殺人事件で、最高裁が棄却決定を出した。
この冤罪事件は、覚醒剤で逮捕された横山と言う暴力団員が「犯人を知らないか。俺の力で犯人を逮捕出来れば、俺の刑を軽くして貰えるから協力しろ」と、警察の留置場から仲間に手紙を書いたことに始まる。
この手紙を書いた横山は、その後、「血染めの前川を見た、自動車で運んだ」とか言い始め、その言葉に合わせるように「私も見た、私が自動車で運んだ」と言う仲間が出来たことから、前川さんは犯人だとされている。
横山が暴力団員だからダメだとか、覚醒剤犯だから信用出来ないだとかを言うのではない。
そもそも「知らないか」と言う手紙を書いた男が、なぜ「犯人を知っている」となるのだ。おかしいじゃないか。
しかも、横山の証言は、前川さんの血染めの証拠を捨てた場所などに付いては、くるくると主張を変えて、未だに明確に言えないのだ。
今、司法取引法が作られようとしているが、福井女子中学生殺人事件の展開を思うと、その危険さに慄然とするよ。誰かが「あの人が犯人だ」と言い、それを上塗りする嘘を語る人がいれば、誰もが前川さんと同じに犯人に作られてしまうからだ。
何も証拠がないままに、ただ暴力団員と、その仲間たちの3転4転する証言だけで犯人にされる福井女子中学生殺人事件は、絶対におかしい。これを犯人と思う裁判官の思考は歪んでる。先日、最高裁に激励を送ったばかりだが、やはり最高裁は最高裁でしかない。常識外れが揃ってるよなぁ。

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1 コメント

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再審制度を考え直すべき (Tri)
2014-12-13 21:29:25
再審請求がなぜこうも通らないか考えた時、そもそも既に有罪を肯定したのと同じ裁判所に同じく再審の判断をさせる事自体が大きな間違いだと思うのです。

裁判官の独立性がきちんと確保されていればもう少し話も違うのでしょうが、最高裁に人事評価と給料を牛耳られている裁判官達は再審を認める事による人事評価へのデメリットと、先輩裁判官達への遠慮が災いしているのではないでしょうか。

再審を判断する主体を裁判所から、検察審査会の様に一般国民が判断する再審審査会を新たに作り運用すべきです。その再審審査会が判断する時に材料として検察・警察が保持している証拠も制度として全面的に開示させるべきでしょう。

正直、今の日本の司法の状況を見るに、裁判所だけの自助努力では正直どうにもならないと感じています。裁判員制度の概念を広げ、単に一部の事件の判断だけに留まらず再審請求事案に大しても国民に判断させるというのはアリだと思います。検察審査会が既にあるのですから、再審審査会だってあって良いでしょう?
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