桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

2009-09-22 | Weblog
うちの兄貴は、本当にお気楽に人生を生きて来た人だが、まあ人それぞれ。それが兄貴の人生だから構わないのだが、俺がシャバに帰って来たときの会話は強烈だったな。
「なんでヤッタと言ったんだ?」
と聞くから、俺は嘘発見器や辛かった体験を話した。すると兄貴は言ったね。
「そうか。俺ならば、ヤッタことだって、ヤッテないと言っちゃうぞ」
全く噛み合わない、食い違った長い別離の時間を感じさせられたっけ。
昨年、兄貴は65歳にして再婚した。それ以来、兄嫁をクッションに頻繁に付き合いが復活したのだが、先日、連れ合いと訪ねたおり、兄が画いた絵をプレゼントされた。
兄貴は器用で、子供のころから物を造ったりするのが得意だった。鳥篭や鳩小屋など、良く造っていた。野山を走り回るタイプの俺とは違ったが、貰った絵も、まぁ素人には上出来だった。でも、それだけ。
俺ならば貰ったままに飾るだけだが、連れ合いは新しい額を買い、絵を引き立たせると言う。
ひたちなか市にあるジョイフルホンダに行き、額を買ったが、また連れ合いは凝るんだなぁ。どれでも同じだよ、この程度の絵!なんて思う俺を尻目に、あれだこれだとやり、こんな絵になった。
多分、兄弟だけなば兄との付き合いは切れていたかも知れないが、互いの連れ合いを通して兄弟の関係が復活しつつあるこの頃だ。

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