桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

刑事補償金

2011-08-31 | Weblog
冤罪者には、国の責任として補償金が支払われる。
我々のような再審無罪判決を受けた者は、判決を受けた日から半年以内に請求し、裁判所の判断によって支払われる。
その金額は、 拘束された日数×1日最高1万2千5百円だが、どの程度を認めるかは裁判所の判断次第となる。
一昨日、布川事件も裁判所に刑事補償金を請求したが、何社かから取材の電話があった。「桜井さんとしては最高額が当然ですか」「桜井さんにとって刑事補償金は、どんな意味がありますか」など。
俺は金がない。運良く社長になった杉山とは違い、本当に活動する中で金に苦しんだ。だから、金は欲しい。が、だから刑事補償金は助かるし、長く冤罪を背負わされて当然の償いだとも思うが、その金額などに意味は感じていない。
金で償えることなど、ありはしないだろう。
それより思うのは、この刑事補償金によって、きっと俺の身辺に余計な煩いが増えるだろうということだ。何もない俺だからこそ、晴れ晴れしく、気ままにやれた。手元に残る金額が数えられそうな金なのに、そんな金で自分でなくなるとしたらば、嫌なことだよね。何があっても百%良いことはないのが人生だけど、せめて俺は俺らしく生きて行きたいものだ。

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