桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

日弁連人権大会

2019-10-04 | Weblog
昨日は徳島で日弁連人権大会だった。3つの会場でテーマごとのシンポジウムを行ったが、我々冤罪体験者は冤罪救済の再審法改正をテーマとした第3会場だった。
先ずは周防監督と江川紹子さんの対談形式。次に、青木恵子さん、西山美香さん、菅家利和さん、袴田秀子さん、それに俺の冤罪体験者。最後は元裁判官の安原さん、元検察官の市川寛さん、法学者の笹倉香奈さん、斎藤司さん、それに弁護士の小林修さん、弁護士で国会議員の伊藤孝江さんによる話だった。
周防監督と江川さんの法務省などを相手とした審議会体験談は、何時聞いても面白いし、冤罪を作る連中が冤罪を無くす法律は作れるはずがないと思わされる。
また、最後の再審法立法へ向けての道筋を求める話では、元検察官としての検察官感覚を語る市川さんの話が興味深いものだった。我こそが司法、我こそが正義、唯我独尊に陥る検察官感覚の異常性こそ、日本司法の癌であることを強烈に教えてくれた。
笹倉先生、斎藤先生の語るアメリカやドイツ、イギリスの話は、それぞれの国でも冤罪は作られる問題性はあるにしても、冤罪が明らかになったときの対応が違い過ぎるところに日本の異常さを教えてくれた。
名張事件などの再審に関わって道理のない裁判官の対応に苦闘された体験を語った小林先生。再審開始決定から取り消しの落差を身近に知る俺としても傷みを味わう話だったし、検察官の抗告権を無くす法改正が急務であることを示してくれた。
公明党議員で弁護士の伊藤先生は、姫路郵便局事件の弁護人を体験されたそうで、冤罪の存在を体験として知っておられるだけに、その話も具体的だった。立法府としてなすべきことを認識された話が心強かった。
安値先生は、元裁判官として日野町事件で素晴らしい訴訟指揮をされ、証拠開示の数々を実現された結果、今の再審開始決定を生み出している方だが、やはり裁判官経歴の慎重さだろうか、当たり障りのない話だったのは意外だった。しかし、みなさんの話と合わせて、明日の再審法改正に希望を感じるシンポジウムだった。
周防監督と江川さん、最後の舞台、進行役は大崎事件の鴨志田祐美さんだったが、大弁護団を仕切る鴨志田先生の進行は、何時もながらお見事だった。最高裁の異常、違法な判断を受けて絶望的な想いもあるだろうが、そこから反転攻勢と語る姿勢には、真の法曹家を見る思いだった。
終了後の懇親会では、各地で再審を闘って苦闘される弁護士さんが、それぞれの事件に対する熱い想いを語られて、鴨志田先生と同じように、我々には神のごとき弁護士が数多いることに勇気と力を得た1日になった。
東京から参加を予約した人が80人、台風余波の飛行機欠航で来られなかったそうだが、500人を超えた参加者で一杯になった会場にも励まされたシンポジウムだった。

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