桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

文系対理系

2020-07-22 | Weblog
法学部は文系、医学部は理系。司法試験と医学試験、どちらも難関で合格するには優秀な頭脳が必要と言われるし、毎日何時間もの勉強が必要と言われる。
俺は冤罪を通して司法試験を通過した人たちに相対して来たが、文系の頭脳明晰者には理系の頭脳明晰者に対抗意識があるのではないかと思う。
先般、医師が「手術後に乳房を舐められた」と訴えられた事件で逆転有罪判決があった。手術の麻酔が覚めるときに「せん妄」と呼ばれる現象が現れることがあるようで医療現場では良くあることとして認識されているそうだ。患者は夢うつつでの幻を、まるで実体験のように記憶するのだとか。
この事件、女性の訴えを聞いた警察は女性の乳房からDNAを採取して検査したら「医師のDNAが出た」との鑑定書を提出したが、「DNAの証拠は廃棄して存在しないし、データもない」と主張した。
我々には体験済みの警察の常套手段、証拠捏造だ。再検証出来ない証拠など、マトモな裁判ならば信用しない。医療現場の常識である「せん妄の幻」で医師には無罪判決だった。
検察は控訴して、今度は検察が得意技を繰り出す。御用達医療関係者にせん妄否定の証言させた。せん妄の専門家ではないと自認する証言だったが、これに高裁裁判官は飛び付いて逆転有罪だ。
裁判村では、こういうことが多い。
何でも検察の求めるままに白を黒とする鑑定をしたり、証言をする科学者や医療関係者は必ずいて、多くの冤罪事件で顔を出す。そして、誠実な科学者や医師の鑑定を退けるために有り得ないことも有り得ると語る。
このような場合、優秀な頭脳ならば専門家を尊重するだろうし、事実に添った判断をするものだろうが、日本の裁判官は違う。必ずと言って良いほどに検察の繰り出す似非を信用して有罪にする。
なぜなのかと不思議だが、フッと思ったのは学生時代から文系の秀才は理系の秀才に嫉妬や対抗意識があるのではないかということだ。それで裁判官になり、自分の判断が総て認めらる快感の中で、その道の専門家たる理系の秀才に反発心が起きて検察御用達の理不尽に与してしまうのではないか❗️ということだ。
もちろん、検察の方が力があり、それに逆らうと出世が出来ないから秀才のヘタレ精神で検察の味方になってしまうのだろうが、今回の逆転有罪判断の馬鹿馬鹿しさわ思うと文系対理系の対抗心みたいのを感じた。
アタマの良いバカほど、始末の悪い存在はないよなぁ。