職人たちの徒然草

新潟県・燕市在住の職人ヤスさんと、東京都・杉並区在住の職人ナガさんの交換?日記です。

未知の世界へ

2008年01月26日 | ヤスさん日記
まだ知らぬ場所
足を踏み入れるのは敷居が高く
一見さんはお断り等々
その門をくぐれば
いや、くぐる前から
その場所を覆っている空気に
飲み込まれてゆくようです。

新潟一番の老舗料亭
やはりその懐の深さや
佇まいは歴史の成せるもの
年々培って来た空気や
そこでの交々が堆積し
それがなにがしかの空気を
醸し出しているのでしょう。

プロの料理とは
やはり職人としての深みが。
鯛の香ばしさがほのかなゆずの香り
そして白髪葱の繊細さと共に
立ち上がってくる椀もの。
表面の美しい焼き色と
瑞々しさを携えながら
ホロホロととろけてゆくような
新潟の代表魚ノドグロ。
ひと時の膳
それが一生に遺るということが
きっと職人なのですね。

芸妓さんの舞いが
何故あれ程までに文学者、芸術家に愛されたか
その意味がやっと分かりました。
舞台の上での所作ひとつひとつに
美しさを感じられずにはいられず
その芸妓さんの背景の深さが
滲み出てくるものなのだなと。
その場所でしか味わえない空気
また日本の建築から様々の模様まで
その意味や
作り手達の想いや。

自分の中でのひとつひとつ
それを大切に
何時か滲み出てくるようなモノを
感じてもらえればな
と想う職人なのでした。
今日の日を活かすということ
一瞬を永遠に
自分の手から指先から
ものづくりの中に密やかにでも
込めてゆくことだなと。

「一簟の食、一瓢の飲、陋巷に在り。
 人は其の憂に堪えず、回や其の楽しみを改めず。」
その心境もともに持ち続けられれば
と思う雪深き新潟の夜です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする