かれこれ40年近く前に製作された(そんなに経ったなんて信じられない! )映画。昨夜この時期に何故? と思ったがBSで放送していた。殺人の場面は見たくないので時々しか観なかったが、見ごたえのある作品。今でこそ無差別殺人のニュースがあちこちで取り沙汰されるが、あの時代にも似通った衝動殺人と呼ばれる事件が数多くあったのを初めて知った。被害者はもとよりその家族の苦しみはどんなにか深いものであったか。主演の若山富三郎さんはこれで数々の映画賞を受賞。その演技は素晴らしく、現代の俳優にはない重々しさがある。ひとり息子を衝動殺人で失った苦しさ、辛さがヒシヒシと伝わる演技だった。夫婦役の高峰秀子さんも良い。この作品を最後に彼女は女優の道を閉ざしたと聞く。それだけに思い入れも深く名演技だったのか。テーマは重苦しく観ていて少しも明るい気分にはなれない。なのに引き付けられるようにところが凄い。若き日の田中健さんや大竹しのぶさん、尾藤イサオさん、近藤正臣さん、高岡健二さんなど懐かしい顔ぶれ。人間味のある演技。当たり前だけれど最近の俳優にはないその味を堪能し、楽しめた。
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