スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

王座戦&歴史的資料

2020-08-05 19:12:16 | 将棋
 3日に指された第68期王座戦挑戦者決定戦。対戦成績は渡辺明二冠が21勝,久保利明九段が16勝。
 振駒で渡辺二冠の先手。久保九段は9筋の位を取っておいてのノーマル四間飛車。先手が9筋を逆襲する形で戦いに。後手の猛攻を凌いだ先手が僅かながらも優位に立ったようです。
                                        
 先手が銀を取った局面。後手は熟考して☖9七歩成としました。そして☗同金をみて☖8三歩。先手が☗2一飛成としたところで☖4一香と受けました。
                                        
 先手はここで時間を使って☗7二金と打っていきましたが,これはさほど有効な攻めではなく,第2図は後手が優勢のようです。
 第1図で歩を成られたときの☗同金は当然の手にみえますが,成香が生きているうちに☗7二金と打ってしまい,☖6三玉とさせてから☗9七金の方が優りました。この手順を先手が逃したため、一気に差がついてしまったということでしょう。
 久保九段が勝って挑戦者に。第55期以来13年ぶり3度目の王座戦五番勝負出場。第一局は来月3日に指される予定です。

 無限様態modus infinitusという概念notioは,スピノザの哲学に独特のものであるといえます。そしてこの概念は,『エチカ』においてのみ具体的に示されています。したがって,スピノザと同時代を生きた人の中で,無限様態についての疑問,具体的にいえば,延長の属性Extensionis attributumおよび思惟の属性Cogitationis attributumの直接無限様態と間接無限様態が何であるのかということについての疑問を抱くことができたのは,ごく限られた人だけだったと考えなければなりません。『エチカ』はスピノザの死後に遺稿集Opera Posthumaとして発表されたものであり,スピノザの存命中は,その草稿が,スピノザの信頼を受けたごく僅かの人びとの間で出回っていたにすぎないからです。つまりそれを読むことができた人がきわめて少なかったのです。
 そうしたスピノザからの信頼を受けた人びとの中に,この点について疑問を抱き,それをスピノザと会ったときに直接的に尋ねてみたという人がいたという可能性は否定することができません。ですが歴史的な資料としてはその事実は残されていません。つまり仮にそういう人がいて,スピノザが何か答えたということがあったとしても,スピノザが何と答えたのかということを僕たちは知ることはできませんし,そもそもそういうことが史実としてあったということも確定的にいうことができないのです。ですからこの観点から,この疑問について何かを述べるということはできません。これは,僕にはそういうことができないという意味でもありますし,近藤にもできないという意味でもあります。
 スピノザと会うのではなく,書簡でこれを尋ねた人はひとりだけいます。それはチルンハウスEhrenfried Walther von Tschirnhausです。書簡六十三シュラーGeorg Hermann Schullerからスピノザに宛てられたものですが,その中でシュラーはチルンハウスからの質問を取り次いでいます。『宮廷人と異端者The Courtier and the Heretuc : Leibniz,Spinoza,and the Fate of God in the Modern World』では,スピノザとチルンハウスとの文通の背後にはライプニッツGottfried Wilhelm Leibnizがいるとされていますが,このときにはチルンハウスはまだロンドンにいました。チルンハウスがパリでライプニッツと出会うのはその後のことになりますので,この質問は純粋にチルンハウスの哲学的関心から発せられたものと考えてよいでしょう。
 この点についてひとつ補足をします。

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