スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

戸口の雑感③&分析の数学

2020-05-20 18:57:18 | NOAH
 戸口の雑感②の続きです。
 でいったように,戸口は1972年の暮れに渡米したのですが,このときにはもう日本に帰るつもりはなかったそうです。渡米前には父親にそのことを言っておいたそうなので,これは本心だったのでしょう。ただ渡米が大木金太郎の協力によるものだったこともあり,大木の依頼を断ることができず,本意ではなかったものの帰国することになりました。それが1976年9月です。このときは大木のパートナーでしたから,リングネームもキム・ドクでした。ただし,これがどこまでプロレスファンの間で一般的になっていたのかは僕は分かりません。僕のプロレスキャリアが始まる以前のことなので,当時のことは雑誌の記事やテレビのVTRでしか分からないのですが,大木のことがキム・イルと紹介される場合は戸口もキム・ドクですが,大木金太郎とタイガー・戸口とされているものもあります。大木は韓国人で戸口は日本人というのがファンやメディアの間での認識であり,その分だけ中途半端になってしまっていたのではないかと,当時をリアルタイムで知らない僕は推測しています。
 全日本プロレスでの仕事はさほど違和感はなかったと戸口は語っています。これはスタイルとして,戸口がアメリカでやっていたプロレスとは大きな差がなかったからです。他面からいえば,この当時の馬場が目指していたプロレスが,馬場流のアレンジが加えられていたとはしても,アメリカで主流のプロレスであったということでしょう。
 初日はシングルマッチが組まれ,翌日が大木とのタッグでした。どうも大木と戸口がタッグを結成したのは,このときが初めてであったようです。全日本プロレスは発足の当初はマシオ・駒がマッチメークをしていたようですが,このときは駒は死んでいたので,馬場がマッチメーカーも兼ねていたのではないかと戸口は推測しています。後に佐藤昭雄がマッチメーカーになるのですが,それまでは馬場が決めていたということなのでしょう。

 化学に関しては,ロバート・ボイルRobert Boyleとの論争について検討したときに,スピノザはボイルの実験を化学であると認めるであろうといいました。それに今はスピノザにとって何が数学であると認めることができたのかを検討しているのですから,これについてはここでは割愛します。一方,ホッブズThomas HobbesやライプニッツGottfried Wilhelm Leibnizが行っていた分析についても,スピノザがそれを数学であると認めるであろうことは,容易に想像がつくでしょう。正確にいえば,スピノザはカントールGeorg Ferdinand Ludwig Philipp Cantorは知らなかったわけですが,ホッブズやライプニッツについては知っていたわけですから,スピノザはホッブズやライプニッツの手法について,それも数学であることを認めていたであろうということは,容易に結論できるのではないかと思います。とくに,たとえばある分析を駆使することによって何らかの数学的命題が立てられたとき,その数学的命題を幾何学的方法によっても示すことができるのであれば,スピノザはそれを数学ではないということはできなかったといわなければならないでしょう。これは『デカルトの哲学原理Renati des Cartes principiorum philosophiae pars Ⅰ,et Ⅱ, more geometrico demonstratae』が,まさしくデカルトRené Descartesの哲学であるということを前提としているということと,同じ関係にあるといわなければならないからです。
                                        
 さらにいうと,現実的なことをいえば,何らかの分析によって数学的命題が,仮定としてではなく打ち立てられるのであれば,その命題は真の命題であると考えて差し支えありません。したがってスピノザは,ホッブズやライプニッツの方法に関して,それが公理論的なものではなく分析の集積であったとしても,単に数学であるということを認めるだけではなく,それが真理veritasを明らかにするものであるということも認めていたであろうと推測することができます。真理は万人に共通なものなのですから,どのような手法から明らかにされたところで同一だからです。ただその手法は本来的に公理論的な幾何学的方法で明らかにされるべきであるというのがスピノザの主張なのであり,異なった方法で明らかにされたから真理ではないということはできない筈だからです。
 このことはさらに,分析的手法の数学を数学と認めるであろう要素を構成します。

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