スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

女流王位戦&成立の条件

2022-06-08 19:25:15 | 将棋
 徳島市で指された昨日の第33期女流王位戦五番勝負第四局。
 里見香奈女流王位の先手で中飛車。後手の西山朋佳白玲・女王の三間飛車で相振飛車。後手が一段飛車から5筋に転換し,先手が位を取った5筋から反撃していく乱戦に。この乱戦の中で先手が駒得になり,優位に立ちました。
                                        
 第1図はすでに先手が有利ではあるものの,居玉なので楽観はできません。後手としてはここが最後のチャンスだったようです。
 実戦は☖4五銀と打ったのですが,☗4三飛と催促するのが好手でした。☖5六銀☗同金で☖5二金打とされてしまうのですが,☗同馬☖同金☗4一飛成。☖5一歩に☗5四香と攻め立てました。
                                        
 第2図となっては後手は攻め合うのは無理。しかしそれでは先手の駒得だけが生きますので,大勢が決しています。第1図では先に☖4六歩と打ち,☗同金に☖3五銀と攻めれば,実戦の☗4三飛はなく,先手はすぐに反撃に出られないため,正しく受け続ける必要がありました。
 3勝1敗で里見女流王位が防衛第23期,26期,27期,28期,30期,31期,32期に続く四連覇となる通算8期目の女流王位獲得です。

 第四部定理三五系二は,確かに僕たちをを当惑させるようなことをいっているのではないかと思います。各人がそれぞれにとって有益なものを求めるときには,各人はお互いに最も有益であるどころか,最も対立し合うように思えるからです。実際に,もしも人間が与えられたままに自己の利益を追求するだけなら,人と人とは対立し合うでしょう。少なくとも対立し合う場合もあるでしょう。第四部定理三四からして,人間が与えられたままに利益を追求するなら,ある人間と別の人間は対立的であり得るからです。
 では第四部定理三四と第四部定理三五系二は矛盾するのかというと,そういうわけではありません。なぜなら第四部定理三五系二というのは,第四部定理三五の系Corollariumであって,第四部定理三五は,人間の現実的本性actualis essentiaが一致するという意味のことをいっているからです。したがって各人はそれぞれに有益なものを求めるのですが,その求めるものが一致するので,その限りでは対立せず,むしろ相互に有益であることになるのです。ある事柄を追い求めるときに,ひとりでそれを追い求めるよりふたりで追い求める方がより大きな力potentiaでそれを求めることができるでしょう。そしてふたりよりも3人,3人よりも4人といった具合に,協同する人数が増えていけば増えていくほど,有益なものを求める力は大きくなっていきます。なのでなるだけ多くの人が自己の利益を追求すればするほど,各人は各人に対して有益になるのです。
 したがって,人間が受動感情に隷属する限りでは第四部定理三五系二は成立しないのですが,人間が理性ratioに従う限りでは成立するのです。そしてこれは徳virtusの場合にも成立します。それを示しているのが第四部定理三六だといえます。この定理Propositioは善bonumについて言及していますが,徳に従う限りでは善は万人に共通するのです。これはちょうど,理性に従う人びとにとっては最高の善が一致し,かつそれはすべての人に共通するので,すべての人がそれを楽しむことができるというのと同じ意味なのです。なぜこのようなことになるのかといえば,徳に従うということ理性に従うということは,スピノザの哲学では同じことを意味しているからです。
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