スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

大成建設杯清麗戦&実力の反映

2021-09-27 19:04:54 | 将棋
 23日に赤坂で指された第3期清麗戦五番勝負第一局。対戦成績は,里見香奈清麗が23勝,加藤桃子女流三段が6勝。
 大成建設の副社長による振駒で里見清麗の先手となり5筋位取り中飛車。後手の加藤三段が居飛車穴熊で先手が銀冠の持久戦になりました。
                                        
 ここで先手が☗1四歩と突いたのが直接的な敗着となりました。☖同歩に☗1三歩。ここで☖同香なら☗2五桂で先手もやれるのですが後手は熟考して☖同桂と取りました。
 ここで☗2五桂打としても歩がないので攻めになりません。また☗1四香は☖同銀☗1九銀という筋があります。よって☗5六桂と打ちました。対して☖1五香。
 第1図の時点ではこれを☗同香と取れるとみていたようですが,それは☖1九銀でも☖1七銀でも後手が勝てます。なので予定を変更して☗6九桂と打ちましたが☖1九香成と取られました。
                                        
 第2図となっては先手から端を攻めにいったのに逆襲されています。これで著しく形成を損ねることになりました。
 加藤三段が先勝。第二局は来月13日に指される予定です。

 情報共有型のゲームは,情報非共有型ゲームと比べて,実力に反映された結果が生じやすいという特徴を有します。たとえば明確な力量の差がある場合,ここでは極端に,ルールを覚えたての初心者とプロが戦うという仮定をしますが,この両者が戦った場合,情報共有型ゲームで初心者が勝つということはまずありません。もちろん人間がやることなので,ひどいうっかりをするとか,反則を犯してしまうということがないことはないので,初心者が勝つ可能性が0ということはありませんが,数値として示せば限りなく0に近くなります。そしてこれは,1回の勝負だけに限ったことではありません。どれほどの対戦を重ねていっても同じです。つまり,初心者とプロが10回の対戦をして,そのうちの1回でも初心者が勝つという可能性もまた,数値として示せば限りなく0に近いのです。
 情報非共有型のゲームだと,このことが成立しません。初心者とプロが対戦すれば,もちろんプロが勝つ可能性の方が高いですが,初心者の勝つ確率が限りなく0に近いということはあり得ません。まして初心者とプロが10回の対戦を重ねて,そのうちの1度でも初心者が勝つ可能性になると,1回の勝負で勝つ確率がその回数の分だけ増加していくことになります。つまり,1回の勝負で初心者が勝つ確率をXとすれば,10回のうち1度でも初心者が勝つ確率というのは,Xの10倍,すなわち10Xか,それに近似した数値になります。近似した数値というのは,たとえば1回の勝負で初心者が勝つ確率が10%あるという場合では,その10倍が100%になってしまいますが,そうはならないということです。他面からいうと,1回の勝負で初心者が勝つ確率が10%あるというゲームであれば,そのゲームで10回の勝負をして,プロが全勝するという確率が,限りなく0に近くなってしまうということです。
 すでに示したように,麻雀は情報非共有型のゲームです。近藤はそういうゲームでの理論と直感について語っているのです。この点は注意してください。それらは,たとえば将棋のような情報共有型ゲームにおける理論と直感とは,異なった性質をもつ筈だからです。
コメント
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