スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

優駿牝馬&思い込みの要因

2018-05-20 19:00:18 | 中央競馬
 第79回オークス。トーセンブレスが左の前脚の蹄の底の内出血で出走取消となり17頭。
 1コーナーの手前で先頭に立ったサヤカチャンの逃げ。向正面に入るあたりで4馬身,ここから3コーナーにかけて10馬身近くの差をつける大逃げに。単独の2番手にランドネ。2馬身差の3番手にリリーノーブル。また2馬身差の4番手にカンタービレ。以下は概ね1馬身差でラッキーライラック,アーモンドアイ,レッドサクヤの順で続きまた1馬身差でマウレアとサトノワルキューレ。1馬身差でオールフォーラヴ。1馬身差でパイオニアバイオとウスベニノキミの2頭。また1馬身差でシスターフラッグ,さらに1馬身差でロサグラウカ。ここから2馬身差でトーホウアルテミス。4馬身差でウインラナキラ。2馬身差の最後尾にオハナという隊列。最初の1000mは59秒6のミドルペース。
 直線に入るところでサヤカチャンと2番手の差は6馬身。ランドネ,リリーノーブル,カンタービレの3頭が並びながら差を詰め,リリーノーブルが抜け出しました。この外へ出したのがアーモンドアイで,ラッキーライラックは一旦はリーリ―ノーブルの内から追おうとしたものの再び外へ。スムーズに追い上げたアーモンドアイが抜け出したリリーノーブルをあっさりと捕えて優勝。リリーノーブルは2馬身差の2着。伸び脚を欠いたラッキーライラックは1馬身4分の3差で3着。
 優勝したアーモンドアイ桜花賞に続いて2冠を達成。距離延長がプラスにはならないと思いましたが,1頭だけが離してペースを作るレースになり,それ以外の馬たちにとってはスローペースで総合的なスタミナ争いにはならなかったので,桜花賞の内容からは当然の優勝といえるでしょう。ただ,これまでとは違ってわりと前の方に位置した上で,確たる力量がある2着馬と3着馬を圧倒したというのは,大きな収穫であったと思います。この馬は相当な器で,ブエナビスタとかジェンティルドンナに比するような活躍を期待していいかもしれません。おそらく7着のパイオニアバイオあたりまで,能力に相応した決着となっているレースと思われます。父はロードカナロア。母がフサイチパンドラで祖母がロッタレース
                                     
 騎乗したクリストフ・ルメール騎手はかしわ記念以来の大レース制覇。第78回に続く連覇でオークス2勝目。管理している国枝栄調教師は桜花賞以来の大レース13勝目。第71回以来となる8年ぶりのオークス2勝目。

 直線の一端が固定しもう一端が運動することを肯定する意志作用volitioが円の観念ideaの,また半円が直線部分を軸に一回転することを肯定する意志作用が球の観念の,それぞれ起成原因causa efficiensを構成していると僕たちが思い込んでしまうのには,ふたつの理由をあげられます。ひとつは僕たちが僕たち自身に意志voluntasの自由libertasがあると思い込んでしまうことであり,もうひとつは現実的に直線あるいは半円が存在しているとき,それが所定の運動motusをなすなら,確かに円や球が作図ざれるということを僕たちが表象してしまうことです。
 第一の点に関していえば,僕たちには意志の自由があるわけではないということ,なかんずく,一端が固定されもう一端が運動する直線を肯定する意志作用と円の十全な観念とは同じものであり,直線部分を軸に一回転することを半円に対して肯定する意志作用と半円の十全な観念は同一であるということを知れば,容易に避け得るでしょう。いい換えれば意志作用の方が観念の起成原因ではないということを理解し得るでしょう。
 第二の点については,第四部定理四からして,僕たちは受動passioすなわち働きを受けるpatiことを免れることは現実的に不可能なので,その表象imaginatio自体を避けるということは不可能です。ただ,僕たちはそれが表象であるということを知ることはできるわけですから,虚偽と誤謬の差異によって,それを真理veritasと思い込まないことは可能です。いい換えれが僕たちはそうした虚偽falsitasが僕たちの精神mensないしは知性intellectusのうちに発生するということを避けることは不可能ですが,それを虚偽であると知ることによって,誤謬errorは犯さずにすむでしょう。いい換えればこの仕方で形成される円や球の観念が,混乱した観念idea inadaequataであるということを知ることができるでしょう。さらにいえば,それを虚偽と知り得る限りにおいては,僕たちがこうした表象をなすことは,円や球を十全に認識するにあたっても役立ち得るかもしれません。第二部定理一七備考では表象は力potentiaであるという意味のことがいわれていますし,第四部定理一では誤った観念すなわち混乱した観念に積極的なものがあると暗示されていますが,こうした円や球の表象は,それに該当するのかもしれません。
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