スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

チャンピオンズカップ&精神の優位性

2016-12-04 19:04:55 | 中央競馬
 第17回チャンピオンズカップ
 カフジテイクとゴールドドリームはあまりよい発馬ではありませんでした。先手を奪ったのはモンドクラッセ。やや抵抗するところをみせたアスカノロマンが向正面に入ると2番手に控え,その外にコパノリッキーが並び掛けていきました。ブライトライン,モーニンと続き,その後ろにアウォーディーと追い上げてきたゴールドドリームの併走。向正面の半ばでアウォーディーは一時的に行き脚が悪くなり,外に切り返す形に。さらにメイショウスミトモとブライトアイディアが併走で続き,ここまでが中団馬群。差があってアポロケンタッキーが単独で追走。ロワジャルダン,ノンコノユメ,ラニの3頭が後方集団の前。サウンドトゥルーとカフジテイクの2頭がそこからまた差が開いての追走。最初の800mは48秒8のミドルペース。
 直線に入ってもモンドクラッセが先頭をキープ。コパノリッキーは後退してブライトラインが単独の2番手でしたが,道中で外に出していたアウォーディーが猛追。インからモンドクラッセの外に出したアスカノロマンも追い上げて競り合い。さらに最後尾に控えていたサウンドトゥルーとカフジテイクが差し脚を伸ばし,4頭の争いに。一旦は先頭に立っていたアウォーディーの外からサウンドトゥルーが交わして優勝。クビ差の2着にアウォーディー。半馬身差で内のアスカノロマンが3着。大外のカフジテイクはクビ差で4着。
 優勝したサウンドトゥルーは昨年の東京大賞典以来の勝利で大レース2勝目。このレースは距離適性と予想される展開から,末脚を持ち味とするこの馬かノンコノユメが優勝候補とみていました。安定して走っているように,能力の高さは疑い得ない馬ですが,勝ちきるところまでいくには展開面での助けが必要と考えておいた方がよいと思います。1600mだと短すぎるように思いますが,1800m以上のレースで大きく崩れることは今後もないでしょう。母の父はフジキセキ
 騎乗した大野拓弥騎手は昨年の東京大賞典以来の大レース制覇。チャンピオンズカップは初勝利。管理している高木登調教師はJBCレディスクラシック以来の大レース制覇。チャンピオンズカップは初勝利。

 第一部公理五は,同一個体である人間の精神mens humanaとその人間の身体corpusの間の優越性ないしは完全性perfectioの比較の上で,さらに重要な帰結をスピノザの哲学のうちに齎します。というのは,この公理が前提条件となって,第一部定理三が導かれるからです。そして,実在的にrealiter区別される相互のものの間では因果関係は生じ得ないことを一般的に示したこの定理によって,それを人間の精神とその人間の身体との間の関係として示す第三部定理二が,ひとつの具体例として示されることになるからです。
                                    
 ある人間の身体と精神の間に因果関係は生じ得ません。したがって人間の身体がある運動motusないしは静止quiesをすることによって,自分の精神のうちに観念ideaを生じさせたり意志作用volitioをさせたりすることはできません。同様に精神が何かの観念を形成したりある意志作用をすることによって,自分の身体を何らかの運動に決定することもできません。なお,念のためにいっておけば,第二部定理四九により,精神がある観念を形成するということとある意志作用をするということは,スピノザの哲学においては同じ思惟作用の異なった側面です。
 デカルトの哲学からはこうした見解は受け入れられません。なぜならデカルトの哲学では,精神の意志作用によって自分の身体を何らかの運動に決定するということが,一種の道徳ないしは倫理の根底にあるからです。いい換えれば,自分の精神が自分の身体の運動の原因となり得るというのが,デカルト主義におけるエチカの前提となっているのです。つまりこの部分にも,精神の身体に対する優位性を認める必要が生じているのです。
 デカルトの哲学における精神あるいは思惟の身体すなわち延長に対する優越性ないしは完全性というのは,形而上学的には思惟は分割が不可能で延長は分割が可能であるという点にあります。そして実践的には,思惟が延長を延長作用に決定することが可能であるという点にあるのです。スピノザは形而上学的側面については第一部定理一三系で否定し,実践的側面については第三部定理二で否定したのだといえるでしょう。フェルトホイゼンLambert van Velthuysenもフーゴー・ボクセルも,おそらくデカルトの見解に従っているのです。
コメント
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