スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

フェブラリーステークス&ゲルーの主眼点

2014-02-23 19:10:51 | 中央競馬
 頂点を決するに相応しいメンバーでの対戦になった第31回フェブラリーステークス
 事前の宣言通りにエーシントップの逃げ。2番手はコパノリッキー。ソロルとダノンカモンが並んで続き,その後ろにノーザンリバーとホッコータルマエ。前半の800mは48秒0のミドルペース。
 直線に入るとエーシントップを交わしてコパノリッキーが自然と先頭に。ホッコータルマエが追ってくるとようやくコパノリッキーも追い出し,この時点で後ろとの差が開いてあとはマッチレースに。追えども追えどもホッコータルマエは追いつくところまでいかず,先んじていたコパノリッキーが優勝。半馬身差の2着にホッコータルマエ。後方から外を追い上げたベルシャザールはよく伸びはしたもののこの展開では1馬身4分の3差の3着が精一杯。
 優勝したコパノリッキーは昨年5月の兵庫チャンピオンシップ以来の勝利で大レース初制覇。重賞を勝った後,休養に入り,復帰後の2戦はオープン特別で大敗していたため,すっかり株を落とし,今日は最低人気で単勝も200倍以上。園田では今日も人気になった馬に勝っていますので,能力の上限が高いことは確かでした。復帰後は体調が整っていなかったのかもしれませんし,あるいは揉まれることを嫌うタイプであるのかもしれません。この見立て通りであれば,スムーズなレースがしやすくなる,もっと長めの距離が活躍の場になる可能性もありそうです。父は第20回を勝ったゴールドアリュールで父仔制覇。祖母の従弟に2002年に大阪杯,2005年に大阪杯と毎日王冠を勝ったサンライズペガサス。Rickeyは人名ですが僕が真先に思い浮かべるのはスティムボートです。
 騎乗した田辺裕信騎手は待望の大レース初勝利。管理している村山明調教師は第29回以来の大レース3勝目で,フェブラリーステークスは2年ぶりの2勝目。

 「二重因果性の問題」に戻り,第2節で松田克進がまとめているゲルーの解釈を,この考察に沿う形で僕が再構成します。
                         
 『エチカ』にはそれを数的に別個と解釈するか否かは別として,表現上は二種類の因果性が存在するということは,ゲルー以前の識者も指摘していました。紹介したように松田はそれを永遠の相の因果性と持続の相の因果性と称することになります。実体が様態を産出する,といっても,『エチカ』では第一部定理一四にあるように,存在する実体は神だけなので,これは神が様態を産出するといい換えることができますが,この因果性が前者に該当します。後者はある様態が別の様態を産出する因果性です。
 ゲルーの解釈の主眼は,それまでは数的に同一とされていた二種類の因果性を,別個であると理解する点にあります。解釈にあたってゲルーが最初に注目するのは第一部定理二九です。この定理が,個物res singularisは,二重の必然的決定に従っていることをスピノザは主張しているのだとゲルーはいいます。それは神による決定と,外的事物,あるいは自然に共通の秩序による決定です。
 ゲルーはこれは確かに二重の決定である,いい換えれば区別するべき決定であると主張します。その根拠として提出されるのは第一部定理二六第一部定理二八です。前者の神の決定と,後者のres singularisによる決定,あるいはres singularisを産出する際のある条件化された神の決定は区別されるというのがその内容です。前者が主要な原因による決定であり,後者は主要ではない原因による決定とゲルーはいい,主要ではない原因の決定のことを,道具による決定といいます。
 ひとつ注意したいのは,スピノザが『短論文』では道具的原因という術語を用いていたということです。なのでこの道具といういい方は,ゲルーにオリジナルなものではありません。しかしそれはスピノザの哲学において特殊な術語かといえばそうでもなく,元来はスコラ哲学の用語です。ゲルーがここでこの用語を用いたことに松田は批判的です。詳述しないので,興味があれば第4節をお読みください。
コメント
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