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9日、バ―ナンキ演説の後、売られ、NYダウ119ドル安:相場は物知りだ

2011-09-09 10:22:10 | 経済学
(学校で教えてくれない経済学)




67年前の太平洋戦争で、防空壕の中で助かった人はいる。しかし、むしろ多くの人が防空壕の中で命を落とした。3月17日、神戸三宮の自宅が米軍の空爆を受け灰となった。その時筆者は、7キロ離れた阪神青木の祖母宅にいて幸い助かった。祖母宅の裏庭に防空壕があった。当時7歳だったが、庭の土を掘ってせいぜい4~5人の家族が身を潜める程度だったと記憶している。危険を感じた父一人残り、家族全員を姫路の奥へ縁故疎開させた。

神戸三宮は米軍の空爆を3月、5月、その後、戦争が終わる8月も受けた。工場や民家の防空壕で多くの人が命を落とした。しかし、阪神電鉄の三宮駅の地下は今もその時のまま残っている。欧米人は、地下鉄の構内を核シェルタ―に例えてしばしば口にする。広島、長崎での原爆での具体的ケースの知見はない。しかし、防空壕は現実問題として何の効果もないことだけは当時の日本人も十分理解していたのであろう。

ドル安、ユーロ安が進んでいる。投資の「避難先(Shelter)」として金投資が評価されている。9日のNY金相場が、前日比40.20ドル高、1,854.40ドルで取引を終了した。ところが、9日のWSJ紙で「金投資は短期的にはむしろリスクが高い。8月24日5.6%安、9月2日、2%高、昨日の水曜日は3%安である。感情的に売りと買いを繰り返しているにすぎない。ただ、長期的には最もリスクの少ない投資であろう」と書いていた。

9日の「ワールドWaveMorning」の米ブルームバーグに出演した米投資会社CEO,JimMccaughan氏は「労働市場が回復しない限り景気はよくならない。手を打つならオバマ大統領はもっと早く打つべきだった。消費者がお金を使わないと景気はよくならない。大企業がよくなっても雇用は増えない。中小企業の雇用を増やすことだ。そのためには中小企業に融資を増やしたり税金を下げる以外ない。残り一年で選挙を迎えるオバマには時間がない。残念ながら、雇用が増えるまでには数年かかる。オバマ演説にも期待できない。」と話していた。

9日のNY株式市場は、バ―ナンキ米FRB議長のミネソタ経済クラブでの講演のあと、下げ足を速め、NYダウは、前日比119ドル安、11,295ドルで取引を終了した。「ワールドWaveMorning」(経済情報)に出演した大和証券キャピタルマ―ケッツアメリカ、長谷川誠氏は「バ―ナンキ議長から具体的な米景気刺激策は出なかった。ECBが今年と来年のヨーロッパの景気見通しを引き下げた。EUの政策金利を年1.5%に据え置きを決めた。ユーロ相場は、1ユーロ=1.38ドル台まで下げた。投資家の間に失望感が広がった」と話した。NY原油(WTI)相場はバレル29セント安、89.05ドル、米国債は値上がり、10年物国債の利回りは1.977% へ低下した。相場は物知りだが、原油相場と米国債堅調が目立っている。

米FRBが長期国債の買い入れを増やし、長期金利を下げ、その結果、住宅ローン利下げで景気回復を側面支援しようとしているとの思惑から米国債への根強い買いが続いているのかもしれない。一方、ギリシャ国債はどうか。再々のギリシャ支援策声明にも関わらず下げ続け、10年物ギリシャ国債の利回りは年20%と破滅的水準まで急上昇している。イタリア国債、スペイン国債の利回りもドイツの2%よりはるかに高く6%近い。しかし、ギリシャは20% と異常な高さである。次はスペイン、イタリアと騒ぐが、ギリシャ国債とは明確な線引きをしている。

一時しのぎの防空壕で多くの日本人が命を失った。防空壕と聞いても最近の若者には意味が通じないだろう。67年前、頭の上から爆弾が落ちて来た。一時しのぎで防空壕を作った。阪神大震災も怖かったが、頭の上から爆弾は落ちて来なかったから楽だったと町の古老が話した。慌てる乞食はもらいが少ない。目先、目先の弥縫策だけでは一番大事な命は守れない。(了)

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