ドイツ東部、ポーランドと隣接するザクセン州とチェコと隣接するブランデンブルグ州2州で同時に州議会選挙が先週末行われた。ザクセン州では、AfD(ドイツのための選択肢)の得票率が2014年実施の前回選挙から17.8%ポイント増やして27.5%を確保、 一方、ドイツ政権党、CDUの得票率が7.3ポイント減で首位は維持したが、32.1%に接近した。ブランデンブルグ州では連立与党SPDが5.7%ポイント減、26.2%と首位を維持したが、AfDが11.3%ポイント伸ばし23.5%を確保した。同州ではCDUは5位に転落した。9月1日付け英フィナンシァルタイムズ電子版は「両州は旧東ドイツだった。旧西ドイツへの若者の流失が絶えない。その結果、東西の経済格差拡大が進み難民・移民に生活圏を奪われるとの危機感が特に強い。現与党は難民・移民に肩入れしてきた。難民移民流入に反対するAfDが今回大きく支持率を増やした背景だ。現与党の政権基盤が大きく揺らいでいる。」と書いた。
1989年、ベルリンの壁が崩壊した。古い話で恐縮だが、壁崩壊直後、2004年にドイツ、大手合繊繊維メーカー、グランツストッフ社を訪問する機会があった。所定の会議が終わると別ルームに移動する。一般論だが日本人は別ルームに移るとなぜか無口になる。筆者は別ルームでのフリートークが楽しみだった。「旧東ドイツの人は顔も同じ、言葉も同じだから表向き全く変わらない。ところが戦後、一貫して東ドイツの体制で幼児期から育った。実は別の人種なんです。これから先いろいろ問題が出て来ると思いますよ。」という15年も前の事業部長さんの言葉を鮮明に記憶している。氏より育ちという言葉が蘇る。
9月2日付けブルームバーグ電子版で「英ポンドが2日、ロンドン市場で、1ポンド=1.20ドルへ4週間ぶりの対ドルでの安値を記録した。保守党のジョンソン氏が首相就任後英ポンドは4%強下げたことになる。ジョンソン首相は9月9日から10月15日まで英議会閉会を決めた。英国の合意無きEUからの離脱を巡る労働党との議論を審議未了に追い込む狙いだ。ここへきて総選挙実施の動きが表面化してきた。MUFGアナリストのシャロット・ライアン氏は「投資家は合意無きEU離脱が英総選挙実施観測を強めた。EUがアイルランドとの国境問題を先延ばしする「バックストップ条項」で一切妥協しないとの考えに固執すれば1英ポンド=1.10ドル割れが現実味を帯びてくる。」と書いた。NY市場はレイバーデーで株式、為替市場も休場だが、ロンドン市場でユーロが対ドルで1ユーロ=1.099ドルへ同1.10ドルをわずかに割った。英ポンドが1.10ドルまで下げればであるがユーロと英ポンドがパリティ=同率で並ぶ事態になる可能性も出てくる。
日本では韓国の国内問題と思われるが、昼のバライティ番組迄が、文韓国大統領が、韓国でスキャンダルに巻き込まれている人物が次期法相に来週にも指名すると時間を割いて取り上げていた。外国での航空機事故でも日本人が乗っていないと分かると打ち止めとなる。国内の事故でも死人が出ればメディアも取り上げるがケガ人程度であれば取り上げない。ドイツや英国の動きは他人事か。地球は一つだということを時に思い出して欲しい。(了)