しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

ノーカントリー

2008年05月05日 22時59分05秒 | 作品名(な行)
第90回「それはまさに、サドンデスでした。」

今夜はちょっと遅くなりましたが、やっとこちらでも公開になった今年度アカデミー賞作品賞を受賞した「ノーカントリー」を鑑賞してきました。
作品賞の他に監督賞・助演男優賞・脚色賞の四部門を受賞したとなれば、映画ファンとしては、どうしても観ておきたくなりますよねぇ。でも、アカデミー賞の作品賞を獲った作品は、あまり大衆受けしない作品が多いので「つまらない作品なのかも・・・」と、ちょっと心配していました。
しかも、コーエン兄弟の作品となれば、演出が難解でわかりにくい作品なのでは?という余計な心配も抱えたままの鑑賞でした。

その二つの心配のうち1つは当たり、1つは外れる結果となりました。前者のつまらない作品なのかもとの心配は想像していたよりも、ストーリーは単純で、かなり残酷な内容ではありましたが、決してつまらない作品ではありませんでした。
物語は組織の金を盗んだ男が、それを取り返そうと追いかける殺し屋との緊迫した争奪戦が繰り広げられます。こんな単純なお話がこんなにも面白いのかと思うくらい、ハラハラドキドキした展開が続けられていきます。
助演男優賞を受賞した、殺し屋「アントン・シガー」を演じたハビエル・バルデムの怪演はお見事でした。映画史上に残る悪役ぶりでした。

もう1つの心配である、難解でわかりにくいという点は見事に当たってしまいました。物語のキーとなる保安官役のトミー・リー・ジョーンズ。彼のセリフから映画が始まり、不可解な例え話をし、最後には意味深な夢の話で物語は終わります。パンフレットの中にもそのラストシーンについての記事が掲載されていますが、アメリカでも難解なラストが議論の的になるそうです。私自身も未だに理解は出来ていません。
ところが、それが当たったからと言って映画の評価が下がるということではなく、その難解さがわからなくても、十分楽しめる作品なのです。それは殺し屋アントン・シガーの存在があるからとしか言えません。
私なりの考察ですが、殺し屋アントン・シガーは「死神」なのです。彼に目を付けられて生きている人間はいないのです。その様は余りにも残酷で血も涙もないとは、まさに彼の事なのです。(作品中には唯一彼の目を逃れる人物がいますが、それはある選択を間違えなかったから)
彼と出会う人物は皆、突然の死…つまりサドンデスを迎えるのです。有無も言わさず殺されるもの、死の間際に会話を交わすもの、どちらにしても待っているのは「死」なのです。

作品の点数としては、★★★★☆です。コーエン兄弟の作品では、個人的にはファーゴに次いで面白い作品だと思います。減点の理由としては、主人公に訪れたサドンデスがきちんと描かれなかったところ、それとやはり難解なラストでしょうか。
あれはあれでいいのかも・・・と思いながら。

死神を追いながら、死には至らなかった保安官はなぜ死ななかったのか?それは彼が常に死神の後ろにいたからです。難解な作品の中で私が見つけた1つの結論でした。

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