しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

ウォーム・ボディーズ

2013年09月23日 00時08分46秒 | 作品名(あ行)
第322回「この作品を彼に見せたら、なんと言うだろうか?」
つい数週間前までは、あの佳作「第9地区」でメガホンを取ったニール・ブロムカンプ監督の「エリジウム」を観るつもりだった。ところが、私は出会ってしまった。私好みの作品に・・・その作品とは「ウォーム・ボディーズ」。以前からこのブログで好きだと言っているゾンビ映画だ。しかもこの作品は新たな視点で描かれているのを予告編で見てしまったら、見逃すわけにはいきません。

時は近未来。原因不明の病気の蔓延によってゾンビが世界中に溢れる世界。ゾンビの青年「R」は人間の時の記憶を僅かに有しながらも、ゾンビとなって食糧である人間を求め徘徊する毎日だった。ある日、いつものようにゾンビ仲間と食糧を求め街へと繰り出す。すると同じく医療品を求めて街へ出てきた数人の人間に出会った。本能のごとく襲いかかる彼ら。銃で抵抗する人間たち。そんな中にRは美少女ジュリーを見かける。一瞬で心を奪われるR。他のゾンビに襲われていた彼女を救い出し、ジュリーを自分の隠れ家まで連れ帰ってしまう。死への恐怖に怯えるジュリーだったが、Rの献身的な優しさにやがて心を開いていく。そしてRの体には変化が起こり始める。ゾンビと人間の恋は果たして成立するのだろうか?

この映画は数多くあるゾンビ映画の中でも、ゾンビ側の視点から描かれ、ゾンビが人間と恋に落ちるという、純粋なゾンビ映画とは呼べないかもしれない作品です。熱烈なゾンビ映画ファンからは嫌われそうな作品ですが、私はとてもいい出来だったと思っています。それは脚本もバランスが絶妙だったからです。青年ゾンビRとジュリーの恋愛模様を中心に物語は進んでいきますが、それだけではなくゾンビ映画としてのテイストもきちんと残し、さらにはガイコツと呼ばれるゾンビの進化形との対決。さらにはゾンビが人間に戻っていく様など、ゾンビ映画としても恋愛映画としてもきちんと成立させていました。

ゾンビ映画ファンからは、死んだはずのゾンビに記憶や感情が残っているのはおかしいとか、ゾンビが喋るのは・・・とゾンビ映画としては邪道になるかもしれませんが、個人的には多くのゾンビ映画で描かれる希望の見えないエンディングよりは、新たな世界で新たな一歩を示したこの作品にとても好感が持てました。

さらにキャスティングも名前がわかるのはジュリーの父親役のジョン・マルコビッチだけという中で、若手の俳優さん達がとても素敵な演技を見せてくれます。彼らの今後が楽しみです。

タイトルにも書いた「彼」とは、ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロのことです。数多くのゾンビ映画を世に送り出し、今も現役の彼が描いてきたのは終末世界で生き抜く人間達の姿でした。そんな彼がゾンビ目線で描かれたこの作品をどう評価するのかが、上映中に気になって仕方がありませんでした。

点数は★★★★☆です。ネタ切れ感があるゾンビ映画の中で、新たな形を生み出したことは評価に値します。マイナス点としては、敵となるガイコツの概念がもう少し詳しく描いてほしかった点と、ゾンビが人間に戻る要因がもう少し確実な理由だったら、もっと深みが出たように思います。

ウォーム・ボディーズ [Blu-ray]
ニコラス・ホルト,テリーサ・パーマー,ジョン・マルコヴィッチ,ロブ・コードリー,デイヴ・フランコ
KADOKAWA / 角川書店


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