第339回「オリジナル作品を超える難しさとは?」
今回の「ロボコップ」という作品は私が中学生時代に映画化され大ヒットし、その後、続編が作られ、さらにはテレビシリーズと一世を風靡した作品だ。私もその面白さにすっかりと魅了された1人です。それがリメイクされるという話は数年前から聞いていたので、いよいよかという気持ちで公開日に劇場へ足を運びました。オリジナル作品が公開されたのは1987年のこと。当時は今ほどCG技術は発達しておらず、合成がまるわかりの拙い映像だったのですが、後世に残すべき素晴らしい作品でした。そんな名作が現在の技術を取り入れてリメイクされたと聞けば、ワクワクしないわけがありません。
西暦2028年、巨大企業オムニコープ社は独自のロボットテクノロジー駆使し、世界中にロボット兵士を販売し、大きな利益を上げていた。しかし、アメリカ国内では安全をロボットに任せていいのかと疑問を持つ政治家を筆頭に反対論が多く、国内での導入を見合わせていた。会社の経営も行き詰まりを見せていたオムニコープ社の社長レイモンドはある計画を実行しようとしていた。それはオムニコープ社のロボット技術と人間との融合「ロボコップ」の誕生だった。そんな中、アメリカ有数の犯罪都市デトロイトで警察官として活躍していたアレックス・マーフィーは愛する家族と幸せな日々を過ごしていたが、ある事件の捜査で犯人に近づき過ぎたため命を狙われ、自分の車に爆弾を仕掛けられ、爆破に巻き込まれる。かろうじて一命を取り留めたが、その身体は元に戻ることは無かった。そんな状態のアレックスに目を付けたオムニコープ社は彼を「ロボコップ」として甦らせるため家族を説得し、アレックスは「ロボコップ」第一号として新たな命を手に入れることになる。
このリメイク作品を観ていて思ったのは「ロボコップ」という解りやすいタイトルとは裏腹にこのドラマはとても奥深く難しいテーマを数多く孕んでいるということです。家族を持ち幸せな人生を送っていたはずのアレックスがロボコップとして新たな命を手に入れるが、彼はロボコップ=機械として生きるのか?それともアレックス・マーフィー=人間なのか?ロボコップという完全無欠に見えるヒーローに治安を本当に任せていいのか?等々、2時間の映画では描き切れないであろう難しいテーマがいっぱいあるんだなぁ。と思ったのです。それと同時にオリジナル作品であった1作目の「ロボコップ」はそのあたりをとても上手に描かれていたのだと、改めてオリジナルの凄さを実感することになりました。
今作も映像に関して言えば、申し分なかったと思います。オリジナルのゴツいロボコップではなく、黒くスタイリッシュなボディデザインは秀逸だったし、オリジナルに登場した警備ロボットや新たに登場したロボット兵士も良かった。CG技術の進歩を存分に生かしたと思います。
キャストも豪華でした。オムニコープ社の社長にはマイケル・キートン。ロボコップの研究をする博士にはゲイリー・オールドマン。ストーリーテラーとしての役割を果たすテレビ司会者にサミュエル・L・ジャクソンと一流揃い。アレックスを演じたジョエル・キナマンも文句を付けるほどでは無かった。ではオリジナルを超えられなかったのは?
それは脚本の薄さによるものでしょう。前述したようにロボコップとなったアレックスがどう生き、家族や同僚達とどう接していくのかが、とても重要なプロットです。オリジナルでは記憶を完全に消した彼が、そのテクノロジーの領域を超え、アレックス・マーフィーに戻っていく様がとても上手に描かれました。しかし、今作では記憶は完全に残ったままで彼はロボコップとなります。そして、計画途中で投薬によって記憶を消され、完全無欠のマシンとなる。と描かれていきます。オリジナルでも描かれたプロットなのですが、オリジナルでは1作目で記憶が戻るキッカケとして描かれただけで、その後の続編で家族とのエピソードが描かれることはありませんでした。それくらい描くには難しく奥深い問題なのではないでしょうか?(だからこそ、続編は失敗したのですが。)そのあたりをオリジナルを見習ったほうが良かったと思います。
そして、悪役の存在です。オリジナルではクラレンス・ボディッカーという凶悪な悪役を中心に置き、オムニコープ社の権力争いなどを絡めて描きました。今作ではアレックスを殺そうとした悪役が登場しますが、警官殺しを嫌がりとあくまで小者な感じが否めません。結果としてオムニコープ社内の権力争いみたいなのがありますが、その悪役っぷりは中途半端で、彼らは本当に殺されるほど悪役に徹していたのか疑問に思ってしまいました。
と色々書きましたが、点数は★★★☆☆です。アクションSF映画としては及第点だとは思いますが、オリジナルの「ロボコップ」を観て、期待して行くとガッカリすることでしょう。脚本はもっとオリジナルに近く描いたほうが良かったのかも?
オープニングとエンディングに少しだけ流れるあのテーマソングには鳥肌が立ってしまいましたけどね(笑)
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西暦2028年、巨大企業オムニコープ社は独自のロボットテクノロジー駆使し、世界中にロボット兵士を販売し、大きな利益を上げていた。しかし、アメリカ国内では安全をロボットに任せていいのかと疑問を持つ政治家を筆頭に反対論が多く、国内での導入を見合わせていた。会社の経営も行き詰まりを見せていたオムニコープ社の社長レイモンドはある計画を実行しようとしていた。それはオムニコープ社のロボット技術と人間との融合「ロボコップ」の誕生だった。そんな中、アメリカ有数の犯罪都市デトロイトで警察官として活躍していたアレックス・マーフィーは愛する家族と幸せな日々を過ごしていたが、ある事件の捜査で犯人に近づき過ぎたため命を狙われ、自分の車に爆弾を仕掛けられ、爆破に巻き込まれる。かろうじて一命を取り留めたが、その身体は元に戻ることは無かった。そんな状態のアレックスに目を付けたオムニコープ社は彼を「ロボコップ」として甦らせるため家族を説得し、アレックスは「ロボコップ」第一号として新たな命を手に入れることになる。
このリメイク作品を観ていて思ったのは「ロボコップ」という解りやすいタイトルとは裏腹にこのドラマはとても奥深く難しいテーマを数多く孕んでいるということです。家族を持ち幸せな人生を送っていたはずのアレックスがロボコップとして新たな命を手に入れるが、彼はロボコップ=機械として生きるのか?それともアレックス・マーフィー=人間なのか?ロボコップという完全無欠に見えるヒーローに治安を本当に任せていいのか?等々、2時間の映画では描き切れないであろう難しいテーマがいっぱいあるんだなぁ。と思ったのです。それと同時にオリジナル作品であった1作目の「ロボコップ」はそのあたりをとても上手に描かれていたのだと、改めてオリジナルの凄さを実感することになりました。
今作も映像に関して言えば、申し分なかったと思います。オリジナルのゴツいロボコップではなく、黒くスタイリッシュなボディデザインは秀逸だったし、オリジナルに登場した警備ロボットや新たに登場したロボット兵士も良かった。CG技術の進歩を存分に生かしたと思います。
キャストも豪華でした。オムニコープ社の社長にはマイケル・キートン。ロボコップの研究をする博士にはゲイリー・オールドマン。ストーリーテラーとしての役割を果たすテレビ司会者にサミュエル・L・ジャクソンと一流揃い。アレックスを演じたジョエル・キナマンも文句を付けるほどでは無かった。ではオリジナルを超えられなかったのは?
それは脚本の薄さによるものでしょう。前述したようにロボコップとなったアレックスがどう生き、家族や同僚達とどう接していくのかが、とても重要なプロットです。オリジナルでは記憶を完全に消した彼が、そのテクノロジーの領域を超え、アレックス・マーフィーに戻っていく様がとても上手に描かれました。しかし、今作では記憶は完全に残ったままで彼はロボコップとなります。そして、計画途中で投薬によって記憶を消され、完全無欠のマシンとなる。と描かれていきます。オリジナルでも描かれたプロットなのですが、オリジナルでは1作目で記憶が戻るキッカケとして描かれただけで、その後の続編で家族とのエピソードが描かれることはありませんでした。それくらい描くには難しく奥深い問題なのではないでしょうか?(だからこそ、続編は失敗したのですが。)そのあたりをオリジナルを見習ったほうが良かったと思います。
そして、悪役の存在です。オリジナルではクラレンス・ボディッカーという凶悪な悪役を中心に置き、オムニコープ社の権力争いなどを絡めて描きました。今作ではアレックスを殺そうとした悪役が登場しますが、警官殺しを嫌がりとあくまで小者な感じが否めません。結果としてオムニコープ社内の権力争いみたいなのがありますが、その悪役っぷりは中途半端で、彼らは本当に殺されるほど悪役に徹していたのか疑問に思ってしまいました。
と色々書きましたが、点数は★★★☆☆です。アクションSF映画としては及第点だとは思いますが、オリジナルの「ロボコップ」を観て、期待して行くとガッカリすることでしょう。脚本はもっとオリジナルに近く描いたほうが良かったのかも?
オープニングとエンディングに少しだけ流れるあのテーマソングには鳥肌が立ってしまいましたけどね(笑)
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