ミドリ色の屋根は永遠に~René Simardに首ったけ~

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ルネのモントリオール讃歌

2011年09月10日 | モントリオール讃歌
 1976年にカナダのモントリオールで開催された夏季オリンピック大会では、過去ログで何度も取り上げたとおり、ルネの『モントリオール讃歌』がボイコットされ、一般公募で選ばれた別の曲が採用されたという記述がカナダのサイトにありました。しかし、その曲自体を紹介する音源も映像もなく、分からずじまいのまま虚しく月日は流れていました。しかし、以前紹介した仏語版「モントリオール讃歌」とは別の新しいYouTube映像の関連動画に、それらしき曲を見つけることができました。でも、その曲を聴いて少々がっかりしました。何故なら、ボイコットされたルネの『モントリオール讃歌』の代わりに選ばれたのがこの曲だと思うと、納得がいかなかったからです。

 セルジュ・ラプラードSerge Laprade氏が歌うモントリオール・オリンピックの歌は、歌詞に『オリンピック』は入っても、『モントリオール』は入っていませんでした。曲はマーチ(行進曲)っぼくて、ルネの「モントリオール讃歌」のメロディーの方がずっと素晴らしいと思いました。しかし、ルネが作詞した公式の歓迎の曲は、『モントリオール』を賛美し強調していたため、各メディアが使用することを好まなかったようです。その理由は、モントリオール・オリンピックには準備期間中から様々な問題があり、後々までモントリオール市民に、増税や日常生活への支障等の負の遺産を残したオリンピックだったため、かえって感情を逆撫でするという理由のようでした。しかし、背景にはカナダの英系と仏系の問題も有ったのではと推測しています。
 ルネの『モントリオール讃歌』がボイコットされた後、『送別の歌』のコンテストで選ばれたのは、エステル・サント・クロワEstelle Ste Croixの ”Je t'aime”でした。確かに『お別れの歌』にはぴったりの静かな曲ですが、やっぱりルネ・ファンにとって、ルネの『モントリオール讃歌』こそが、オリンピックのテーマ曲です!!

♪Estelle Ste Croix Je t'aime
https://youtu.be/PlNfqYrHhhU

 今回紹介するYouTube映像は、①新しくアップされたルネが歌う仏語版と英語版「モントリオール讃歌」、②ルネが歌う仏語版「モントリオール讃歌」をBGMに、、ナディア・コマネチの映像と、ルネがモントリオール市長やオリンピック準備委員たちの前で同曲を歌った時のものだとされる映像、③セルジュ・ラプラード氏が歌うオリンピックの歌、④閉会セレモニーで使われた、先住民をイメージした曲から「モントリオール讃歌」の演奏と合唱に変わるモントリオール・オリンピックのオリジナル・サウンドトラック、⑤「オリンピック・カンタータ」、⑥建設途中の雪の中のオリンピック・スタジアム映像から、TV局の様子などオリンピックの裏側の映像を交え、開会式から閉会式までのハイライト映像の6つです。③と⑤以外は「モントリオール讃歌」が使われています。

※現在は➂⑥は削除され、ご覧いただけません。


①* Curiosité* René Simard Bienvenue à Montréal / Welcome to Montreal


②René Simard Live Bienvenue à Montréal

③Serge Laprade - Vive les Jeux olympiques - 1976.wmv

④Montreal 1976 Olympics Music - Victor Vogel - Ballet of the Closing Ceremony
https://youtu.be/RKOo0Xlsi3w

⑤Montreal 1976 Olympics Music - Victor Vogel - Olympic Chimes - Olympic Cantata
https://youtu.be/b5KYQ5KF5TQ

⑥XXI Olympiad | Montreal 1976


 そして、カナダから取り寄せたルネのスクラップ・ブックの記事の中に、ルネの「モントリオール讃歌」に関する記事を見つけました。

 この記事には、ルネの「モントリオール讃歌」は歓迎の歌として作られましたが、ラジオ局からボイコットされてしまい、決して流れることがなかったこと、それによって、著名な作曲家からなるCOJOが、最優秀作品に2万ドルの賞金をつけて「送別の歌」を一般公募したことなどが書かれていました。その時すでに、ルネは自分が作詞した「モントリオール讃歌」の録音を済ませていましたが、この曲がラジオ局からボイコットされたことによる失敗を非難されることはなかったようでした。そして、モントリオールのドラポー市長によって選ばれたとされるルネの歌詞は、その採用を巡る論争の中で、市長が強行に決定したようです。

 ドラポー市長は、モントリオール万博における歓迎の歌でも「ヴェンヌの成功」を導いていました。そのため、この時も同様に進めたのでしょう。確かに、東京音楽祭世界大会でグランプリとフランク・シナトラ賞を受賞し、アメリカやフランスでも活躍していたルネと、ルネの作詞した歌詞を起用すれば話題性も十分で、さらにルネは歌唱力も知名度も抜群でしたから、ドラポー市長の成功のために、ルネは「歓迎の歌」の歌手として最高の逸材だったのだと思います。そして、「モントリオール讃歌」の作曲者もまた、若くして天才とうたわれた有名な作曲家なのでした。

 私は、ルネの英語詞”Welcome to Montreal”は、中学生程度の英語力があれば理解でき、分かりやすく、平和を願う希望に満ちた内容でとても良いと思うのですが、確かに仏語詞”Bienvenue à Montréal”の方は、モントリオールを賛美し、強調し過ぎていたかもしれません。そのためか、ルネの歌詞に対し「ありきたりでつまらない」等の酷評も有ったようでした。しかし、「モントリオール讃歌」のメロディーは、セルジュ・ラプラード氏の歌より優れていたので、アレンジされてオリンピックで使用されたのだと思います。結局、賞金付きで一般公募されながら、セルジュ・ラプラード氏の送別の歌も、閉会式で歌われることはありませんでした。

※過去ログ「”モントリオール讃歌”の仏語詞の謎を解き明かせ」参照http://green.ap.teacup.com/rene_simard/287.html


    ▲ルネとジャン・ドラポー市長(PASSION SIMARDより)

 ドラポー市長についていえば、かなりの手腕の持ち主だったらしく、カナダ建国100周年記念として企画されたモントリオール万国博覧会も、国民の支持をあまり得られないまま強行に進め、成功に導いた功績がありました。この時就任して間もなかった彼は、ロシア革命50周年記念行事として開催されるはずだったモスクワ万博の中止を受け、政府に働きかけ再招致を試みたことによって、BIAが1962年に正式に開催地を変更し、カナダでの開催が決定したのでした。さらに、開催地をセント・ローレンス川に新しく埋め立てて作った人工島に建設する案を出していました。それは周辺都市から反対されて実現しなかったものの、すでにこの時から突拍子もないことを考える方だったようです。その上、会期中に訪れていたフランスのシャルル・ドゴール大統領が、モントリオール市の群集を前に「自由ケベック万歳!」(Vive le Québec libre! )と発言し、カナダとフランス間の外交問題になっただけでなく、ケベック州分離運動の火に油を注ぐ結果ともなった事件が起っています(YouTube映像にもありました)。しかし、カナダでは現在でも、モントリオール万博をカナダ最高の文化イベントのひとつだったと考えている人が多いそうです。

 ちなみに、1967年10月の万博終了後、「人間とその世界」とテーマ設定された会場及びパビリオンの多くは、1968年から1981年まで夏期のみ開業し続けました。1974年当時の記事にも、エキスポ公園で遊ぶルネの記事があります。今日では万博跡地は一部存続させた建物を除き、公園及びリクリエーション施設として使用されています。

※wikipedia「モントリオール万国博覧会Expo1967」参照
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%E4%B8%87%E5%9B%BD%E5%8D%9A%E8%A6%A7%E4%BC%9A


 今回、映像の紹介でサックリ終わらせるはずだったのですが、「モントリオール・オリンピック」の記事から、長年探していた答えの糸口を見つけることができました。
 そして、ルネが市長たちの前で「モントリオール讃歌」をお披露目した時の映像で着ているコスチュームは、今回紹介した2つの記事でルネが着ているものと同じです。このことから推測すると、この時はラジオ局からのボイコット前で、映像と2つの記事の写真は同日の取材によるものだと考えられます。

 ルネの「モントリオール讃歌」の真実については、ケベックのルネ・ファンと、ラジオ局やメディア等では見解が違うと思いますが、また何か新しい情報が入りましたら、追ってお伝えしたいと思います。



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♪過去ログ「GOLDEN☆BEST limitedルネ・シマール」参照
http://green.ap.teacup.com/rene_simard/468.html

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