柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

家族を考える 生前の故人の希望は本心か、遺族を慮ってか

2023年03月16日 | お葬式
葬儀にかかわって30年が経ちました。
「人が死ぬってどういいうことか」をずっと考えてきました。
正しい答えなど無いのもわかりました。
故人と家族との関係は様々で誰もが別れを惜しんでいるとは限りません。故人に愛を感じないこともあります。


以前に興味あるアンケート結果を目にしたことがあります。
自分が逝く立場になると
「自分の葬式はしなくていい」と6割の人が答えています。
では、遺る立場はどうなのでしょう。
「家族、配偶者の葬儀はしたい」が7割と出ていたのを覚えています。
その理由は
「気持ちに区切りをつけたい」「供養のため」でした。

逝く立場は「家族に迷惑をかけない、死んだら何もない」と考えているようですが、その人が送る立場になると葬式への考えは一転します。
人の心は複雑ですね。
でも、送る家族は「故人の希望を活かすこと」が最善と考えがちです。

セミナーなどで「人は死んだらどうなるのでしょう」と問うと「無になる」とお答えになる方が多くいます。
しかし葬儀後に家族が故人の気配を感じる人も同様に多いのです。
「今も見守ってくれているような気がする」という感覚を持たれます。

私は、出棺時に「どうか、故人を忘れないでやってください」いう挨拶を聞くたびに、「これから火葬して姿がなくなっても故人の魂は遺るから時々思い出してもらったらきっと喜ぶに違いない」とご家族が無意識に感じておられるのだと受けとめていました。

ただ、大切な人を失う経験や学びがないと葬式は単なる儀礼と考え、心の中の意識は見落としてしまいます。

私が家族葬を考えるに至ったのは、家族だけで送る、手間をかけない、他人を受け入れない葬式が当たり前になる不安が取り除けないのです。
葬式に参列する人の人数が問題なのではなく、たとえ数人であっても故人と心を通わせた人々に囲まれて送り出せる葬式がいいのでは・・・
好きな人に囲まれるのは幸せなことです。
最期は幸せでいてほしいと願っています。