遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

プロジェクト・ヘイル・メアリー

2023年05月14日 13時14分43秒 | 雑記

        プロジェクト・ヘイル・メアリー  上巻・下巻

                     アンディ・ウィアー(著)2021年12月発行

  苦手なジャンルのSFなはずだが、とても刺激的で小説として感動も味わうこととなった。

  上下巻があり、チョッと時間が空いたが、ほぼ一気読み。

  とにかく面白く、地球と人類のさほど遠くない未来を想像してみる良い機会になる。

  『三体』も興味深かったが、本書は読みやすく、主人公の「グレース」に親しみを感じる

  せいか、読みやすく助かった。

  上巻はほんとに一気読みの面白さで、下巻では過去の話と現在が交差するし、

  ヘイル・メアリーの船内でコツコツとつづく作業や実験の繰り返しのシーンも多くなり、

  科学音痴にとっては理解の範囲を超え難儀する時間が増えたのはやむを得ない。が、

  親友というか戦友というべきか、船内で共同作業することとなる「ロッキー」との

  信頼関係の築き方は感動的だし、難局に論理的考察を元に立ち向かう姿や、困難にも

  ユーモアを忘れず諦めず思考し立ち向かう姿勢、という生き方が現在も未来でも大切と

  改めて思い知る。(はて、今の日本、諸問題に論理的に立ち向かっている?)

  科学音痴でSF苦手の母ですが、ラスト、知らぬ間にホロリと涙させられたベストセラーでした。

     わがまま母

  追記:著者の『火星の人』は2015年、マット・デイモン主演で映画化(「オデッセイ」)

     として大ヒットを記録したとのこと。

   

  —  下巻・本書案内文 —

  人類の希望は、遥か11.9光年の彼方——。

  たったひとりの冴えた相棒と、謎の解明に挑む!

 未知の地球外生命体アストロファージ・・・これこそが太陽エネルギーを食べて減少させ、

 地球全体の全生命を絶滅の危機に追いやっていたものの正体だった。

 人類の英知を結集した「プロジェクト・ヘイル・メアリー」の目的は、他の恒星が光量を減少

 させるなか、唯一アストロファージに感染していないタウ・セチに赴き、その理由を探し出す

 ことだ。

 そして、〈ヘイル・メアリー〉号の乗組員のなか、唯一タウ・セチ星系にたどり着いたグレース

 は、たったひとりでこの不可能なミッションに挑むことになるかと思た。・・・・・

 

—  解説
  SF翻訳業 山岸真
 

 略

できれば本書は、内容についてなんの事前情報もなしに読んでいただくのがいちばんいい。というのは、冒頭で目覚めた主人公(本書の語り手でもある)は、自分が誰で、どこに、なぜいるかがわからず、そこからさまざまな科学的手段やふとしたきっかけを通して状況を解明していく──その過程の面白さが、とくに上巻前半の読みどころであるからだ。

  中略

   途中まず、上下巻とも巻頭にとある図解が載っていることでわかるように、これは宇宙SFである。
 目覚めた主人公は、病室めいた部屋にいた。天井からはロボットアームがぶら下がり、話しかけてくるのはコンピュータだけ。そして室内では二つのベッドに横たわる男女の死体……。
 ほどなく彼は、ちょっとしたきっかけから過去の一場面を思いだす。こうした連想のかたちで自分の身の上やここにいたる経緯、そしてこれがどんな状況なのかが判明していく、というのが下巻の半分過ぎまで貫かれた本書の基本パターン。"現在パート"と"過去パート"が並行して、それぞれ時系列で進んでいく。
 過去パートが進むにつれて、彼の名前がライランド・グレースで、アメリカ人であること、博士号を持つ科学者だが、生命の存在と液体の水の関係に関する異端の説を提唱しそれに固執したことで学界を去り、中学校の科学教師になっていたことが判明する。と同時に、地球が急速に氷河期に向かっていることがわかってくる。年代は特定されていないがおそらくごく近い未来、太陽から金星まで、特定の波長を放射する線(ライン)が大きな弧を描いているのが発見され、発見者名からペトロヴァ・ラインと命名される。時を同じくして、太陽の出力(明るさ)が指数関数的に減少しているのが観測された。このままだと30年以内に地球の気温は10から15度下がってしまう。人類ばかりか地球上の全生命が突然の危機に直面しているのだ!
 まもなく、金星周回軌道に投入された無人宇宙船が、ペトロヴァ・ラインを形成する物質の試料を採取する。それはなんと、直径約10ミクロンの地球外生命体だった! しかも、太陽光の減少と、生命体の増加とは一致していた──生命体が太陽(の出力エネルギー)を食べているのだ!! この生命体は、アストロファージ(宇宙を食べるもの)と呼ばれることになる。
 さらに、地球から8光年以内にあるいくつもの恒星の光度が、数十年前から10パーセント落ちていることが明らかになる。いずれもアストロファージ(光速の0.92倍の速度で移動できる)に"感染"したのだ。ところが、感染した星の集団の中心近くにあるタウ・セチだけはなぜか例外で、影響を受けていなかった。
 ひょっとしたら、そこにいけば地球を救う手がかりが見つかるのでは?こうして、全地球規模の「プロジェクト・ヘイル・メアリー」が始動した──。
"過去パート"で以上のような状況や経緯が明かされるあいだに、"現在パート"の物語も進んでいく。グレースが目覚めた部屋から壁の梯子を上がった先には、科学実験や観測・測定・検査に必要な小型機器・大型備品が豊富にそろった実験室(ラボラトリー)があった。ここで彼は、落下速度から重力を計算した結果──から即結論には飛びつかずに振り子の実験を加えて、自分のいる場所が地球ではないことを突き止める。やがて自分が宇宙船の中にいることも思い出し、近傍の太陽の黒点の観測によって、そこが地球とはべつの恒星系であることを知る。
 ──と書いてくればお察しのとおり、そこはタウ・セチ星系だった。グレースの乗っている宇宙船が〈ヘイル・メアリー〉号で、その宇宙船をタウ・セチに送りこむのがプロジェクト・ヘイル・メアリーの第一目標である。
 だが、地球とタウ・セチの距離は11.9光年。現在の地球のテクノロジーでは、人類滅亡までに残された時間のあいだにそこを往復するのは到底不可能だ。亜光速航法かなにかが発明されたとでもいうのだろうか? また、その旅のあいだ乗員のグレース(と死体になっている二人)は、まだ実用化されていないはずだった冷凍睡眠にでも入っていたのだろうか?
 それに加えて、宇宙船には地球に戻れるだけの燃料が残っていなかった。グレース(たち)は片道切符の特攻ミッションに送り出されたのだ。だがそれでは、もしタウ・セチで人類を救う鍵が手に入っても、それを地球に届けるという肝心のミッションが果たせないのでは……?
 こうした謎の答えも上巻前半に出てくるが、それは読んでのお楽しみにしておく。

 — 後略

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« スクール 火曜版 | トップ | Mother's day  »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

雑記」カテゴリの最新記事