遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

海をあげる

2022年08月14日 12時57分51秒 | 読書

         海をあげる    上間陽子(著)2020年10月発行

   昨年から、なんか気になっていた一冊。

   ただ本書の他の本を優先し続けたため、ようやく今頃になり読了。

   ああ〜、終戦の日の前には読み終えられたな〜、、、と思っているところ。

   ほんとは、だいぶ前に読み終わっていたけれど、なかなか感想を書く気分になれなくて。

   旅をして目にした、あの青い空と美しい海に囲まれた沖縄の風景や、

   穏やかで優しい人々の笑顔が印象に残っているだけに、本書で静かに綴られている

   沖縄社会の厳しい現状、被害の数々、酷い現実が、心に重くのしかかり、辛すぎて。。。

   でも、2021年の本屋大賞(ノンフィクション)を受賞したとのことなので、

   これを機に本書を目にする人が増え、日本全体で、もっと沖縄社会の問題、

   沖縄の人々の苦悩を、広く認知し、思いを共有できるようになればいいな、

   と、心から願っています。

       わがまま母

   

  出版社内容情報

「海が赤くにごった日から、私は言葉を失った」
痛みを抱えて生きるとは、こういうことなのか。言葉に表せない苦しみを聞きとるには、

こんなにも力がいるのか。
おびやかされる、沖縄での美しく優しい生活。 幼い娘を抱えながら、理不尽な暴力に直面して

なおその目の光を失わない著者の姿は、連載中から大きな反響を呼んだ。
ベストセラー『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』から3年、

身体に残った言葉を聞きとるようにして書かれた初めてのエッセイ集。

生きていることが面倒くさい日々が私にあったことは、若い女の子の調査の仕事をしていると、

どこかで役に立っているように思う。(……)
あれからだいぶ時間がたった。新しい音楽はまだこない。それでもインタビューの帰り道、

女の子たちの声は音楽のようなものだと私は思う。

だからいま私は、やっぱり新しい音楽を聞いている。
悲しみのようなものはたぶん、生きているかぎり消えない。

それでもだいぶ小さな傷になって私になじみ、私はひとの言葉を聞くことを仕事にした。

(「美味しいごはん」より)

 — 2021年本屋ノンフィクション大賞受賞、著者のスピーチより一部抜粋転記 —

・・・・ 略 ・・・

この賞は私が受けたのではなく、沖縄に対する賞であり、沖縄で暮らしている私が調査した子たち

――本当にしんどい思いで生きていますけれど、その子たちに向けたはなむけのような賞だな、

と思っています。

とはいえ、『海をあげる』という本がノンフィクション本大賞を受賞したのは、少し珍しいこと

ではないかと思っています。まずひとつは、この本が持つ政治的なメッセージという意味です。

そしてもうひとつは、ノンフィクションというジャンルの拡張という意味です。

沖縄という場所は、本当に悩ましい場所だと思います。

美しくて、ゆったりした場所でありながら、長く日本のひとつとして認められず、

日本が繁栄しつつある時間、アメリカ軍に占領され続けました。

その頃に沖縄で起きた事件を見ると、沖縄で生活する多くの人が基地との関わりを持ち、

性暴力の被害や米軍からの暴力に怯え、法的な措置もほとんどとられないなかで暮らしてきた

ことがわかります。その頃に沖縄で起きた事件の数々は「凄惨な」としか言えないもので、

そういう事件が山のようにあります。

その後、粘り強い交渉によって無事に復帰は果たせたものの、戦後の日本の繁栄を一切受けることが

できなかった沖縄の自治体の基盤は脆弱で、その後も沖縄は国内有数の貧困地域であり続け、

今もまだ軍隊と暮らす場所固有の問題が残存しています。・・・ 略・・・

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