遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

三つ編み

2021年08月27日 12時03分52秒 | 読書

           三つ編み     レティシア・コロンバニ(著)2019年4月発行

  ページをめくり始めると、あっという間に引き込まれていき、一気読みでした。

  数年前にフランスでベストセラーとなり数十カ国で翻訳されるほどの人気と紹介されて

  いた小説ですが、今になってようやく読みました。

  インド、シチリア、カナダ,とそれぞれ違う国に住み、家族も環境や仕事も異なり全く交わる

  ことのない女性「スミタ」、「ジュリア」、「サラ」この三人の人生の一時期の物語が、

  それぞれに語られていく構成となっている。

  その不思議さに疑問を感じつつも、サクサクと展開していくストーリーに、

  ぐいぐい引き込まれていき、終盤を迎えてようやく『ああ、そう繋がるのか〜』

  ・・・と納得、感動。

  今、進むべきか悩んでいる女性、立ち止まってしまっている女性、絶望しかかかっている時、

  環境や立場は違えど、この三人のポジティブな選択、生き方に、勇気がもらえそう。

  女性に限らず、男性にも共感が得られる今を生きる女性の物語ではないかな。

  ただ、インドの不可触民という立場に置かれている「スミタ」と娘の「ラリータ」の

  これからがとても心配。他の二人の場合とは違い「そうか、よかった!」と軽々には

  喜べず、正直、彼女たちを待ち受ける将来への不安の方がまさってしまうのが悲しい。

  巧みな構成に余分なものが省かれた物語の簡潔さは、シナリオのような印象もあり、

  著者の語りたいことがストレートに伝わってきます。

  「何故この小説を書いたのか?」というインタビューに著者は、こんな風に答えている。

  親友の癌闘病がきっかけで、彼女に寄り添いながら、女性が生きている現実の苦しさを

  改めて考えさせられた。そしてそれが、世界各国に存在するということも。

  親友との日々で特に印象に残ったのが、化学療法で毛髪を失った彼女に付き添い、

  カツラの手配を行なったこと。そこで信仰のために髪を捧げるインドの女性たちを知り、

  物語の構想が他の国に広がり・・・

   「インド、イタリア、カナダを選んだのは、文化や地域によってそれぞれに異なる女性の

   苦しみを扱いたかったから。それでも挫けず勇気を持ち、力強く自由を求める人物たちを

   書くことで、同時代を生きる女性たちにオマージュ(賛辞)を送りたかったんです」

   ・・・とのこと。

   そんな著者の強い思いと願いが込められた素敵な小説で、

   最後に『三つ編み』という題名がつけられた意味を噛み締めました。

   (世界で最下位に近い日本の女性の地位の現状は如何に、、、)

     わがまま母

 

  出版社内容情報

三大陸の三人の女性。かけ離れた境遇に生きる彼女たちに共通するのは、女性が押しつけられる困難と差別に立ち向かっていること。ある者は娘の教育のため、ある者は仲間の生活のため、ある者は自身の夢のために理不尽と闘う。絶大な共感と感動を集めた話題作!

  内容説明

3つの大陸、3人の女性、3通りの人生。唯一重なるのは、自分の意志を貫く勇気。

インド。不可触民のスミタは、娘を学校に通わせ、悲惨な生活から抜け出せるよう力を尽くしたが、

その願いは断ち切られる。

イタリア。家族経営の毛髪加工会社で働くジュリアは父の事故を機に、倒産寸前の会社をまかされる。

お金持ちとの望まぬ結婚が解決策だと母は言うが…。

カナダ。シングルマザーの弁護士サラは女性初のトップの座を目前にして、癌の告知を受ける。

それを知った同僚たちの態度は様変わりし…。

3人が運命と闘うことを選んだとき、美しい髪をたどってつながるはずのない物語が交差する。

 

  

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