遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

Butterfly バタフライ

2021年08月02日 10時46分21秒 | 読書

      Butterfly  (バタフライ)   ユスラ・マルディニ(著)2019年7月発行

        —17歳のシリア難民少女がリオ五輪で泳ぐまで—

  今まさに東京2020 オリンピック大会が開催中・・・この機会にと、

  前回リオ五輪の開会式の入場行進で観た時から気になっていた難民選手団の競泳代表

  シリア人「ユスラ・マルディニ」の著作、題名もズバリ『バタフライ』を読んでみた。

  「ユスラ」は、シリア内戦前までシリアのダマスカスで家族5人普通の生活をしていた。

  3歳の頃から水泳コーチの父からスパルタ指導を受け、水泳一筋に励み、シリア代表として

  国際大会にも参加するほどに成長していく。が、内戦が徐々に激しくなり、爆撃により

  自宅が壊され、住まいを転々とせねばならず、街やプール周辺も危険で練習もできず、

  命の危険が迫っていることを実感、ついに覚悟を決め、姉のサラと共にシリアを脱出し、

  ドイツのベルリンを目指す。

  まずシリアのダマスカスから飛行機でヨルダンのベイルートへ、その後は→トルコ→ギリシャ→

  マケドニア→セルビア→ハンガリー→オーストリア→ベルリンと、密入国業者を頼りに、

  車、フェリー、ボート、バス、列車などを使えるところは利用し、危ないルートは徒歩で

  国境を越え、日々劣悪な状況もグループで助け合い、最悪なハンガリーの収容所からも

  必死の脱出を図り、約一ヶ月を経て、なんとか無事ベルリンに辿り着く。そして、

  ドイツの難民救済制度やドイツの友人の献身的な助けを借り、難民認定を受け、

  ベルリンのプールで競泳の練習を再開することが出来る様になる。

  大きく分けると、ベルリンを目指す長く辛く苦しい旅の経過と、ベルリンに到着してから

  リオのオリンピック参加資格を得るに至るまでの生活が、克明に描かれていて、

  難民を直近で知らない我々日本人は、是非読んだほうがいい、と思った。

  「難民と呼ばれる私達だって、望んで越境する訳ではないのです。命を守るため、、、」

  というユスラたちの切実な訴え。

  そして、(その当時は)出来る限り彼らに援助の手を差し伸べようとするドイツの意志

  と確立されている援助システム。

  ユスラというティーンエイジャーが書いたこの一冊には、感じ、学ぶべきことが多く、

  SNSなどで美しい難民スイマーとして彼女を知っている人もいると思いますが、

  本書を実際に読んで、彼女の願いを理解して欲しいです。

  因みに、彼女は、今回の東京2020・オリンピックにも、難民選手団の一員として参加、

  水泳競技のバタフライ100mを泳ぎました。残念ながら予選敗退し、7月30日に出国。

  25日のSNSの投稿では、

 ・・・

  プールサイドでのショットを添え「応援していただきありがとうございます」と感謝。

 「私は世界中の8000万人の難民を代表しているという事実をとても誇りに思っています」とし、

 「困難な旅を経ても夢を見ています。レースは思ったタイムで泳げなかったのですが、

 まだ旅が終わっていないので、次は絶対に楽しみです!!」と前向きなメッセージをつづっていた。

 ・・・とのこと。

     わがまま母

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする