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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

情報公開度が高まると市民側・市役所側双方が問われる

2007-03-19 11:23:46 | 新たな検討課題

つい最近のどこかの新聞記事で、大阪市役所の情報公開度がアップしたいう趣旨の報道があったように思います。その「おかげ」というわけではないのですが、例えば市役所に対する市民側からの各種の要望や、市民団体などと市役所側の交渉状況なども、大阪市役所のホームページからよくわかるようになりました。

特に、大阪市市民局のホームページでは、昨日書いたように「市民の声」に寄せられたさまざまな意見や質問とこれに対する市役所側の回答だけでなく、「団体等との交渉状況」というページで、さまざまな市民団体から出された大阪市政への意見・要望などと、これに対する市役所側の見解などがわかります。これ、市民局のホームページから、例えば各区役所や健康福祉局といった他部局などへの市民団体などの交渉状況もわかるので、とても便利です。

で、その交渉状況をいろいろ市民局ホームページ上でみていると、面白いですね。例えばある市民団体から(これはどちらかというと、解放運動や施策に対して批判的な団体でもあるんですが)、次のような要望が出されているんですよね。

「中高生の居場所、自己実現活動、ひきこもりやニートなどの諸課題に対応できる適切な設備と専門職員が配置された総合的な青少年施設(事業)を自治体の責任で建設し、青少年の事業・活動等を地域ネットワークの中で充実させること。」

実はこの要望の内容、今までこのブログを見ていた人ならわかると思うんですが、この前条例「廃止」をむかえ、来月から事業が「解体」されてしまう、今までの大阪市の青少年会館事業が担ってきたことそのものなんですよね。実際、そういう回答を、確かこの市民団体に対して、大阪市側はしていたように思います。

このように、いま、大阪市役所が取り組んでいる、市民側からの要望や意見・質問等のインターネット上での「公開」制度には、次のような機能があることも見えてきました。つまり、この制度の導入によって、市役所側の市民の要望に対する対応度も明らかになるとともに、実は市民側の大阪市政に対する理解度も明らかにされてしまう、ということです。

と同時に、前述のように「中高生の居場所、自己実現活動、ひきこもりやニートなどの諸課題に対応できる適切な設備と専門職員が配置された総合的な青少年施設(事業)を自治体の責任で建設し、青少年の事業・活動等を地域ネットワークの中で充実させること」という要望が、解放運動関係以外の団体からも出るということは、このような事業の展開が、全市的にも求められている、ということ以外のなにものでもありません。

ということは、今まで青少年会館が展開してきた各種事業には、大阪市内青少年一般を広く対象としたものが多々含まれているということであり、「なんでそれを条例廃止・市職員引き上げ・事業解体といったことにしなければいけなかったのか?」という根拠が、今もってなお薄いものであるということを示している、ということになりますよね。市役所側が先の質問に対して、「青少年会館でやってる」という回答をするということは、論理上、「青少年会館でやってる事業は、全市的にも展開が求められている事業である」ということを、市として認めた、ということになりますからね。

こんな風に、大阪市の情報公開度、特にインターネット空間上での市民と市役所との交渉経過等に関する情報公開度が高まると、市民側・市役所側双方のあり方が問われてきます。つまり、「なんでこんな要望の出し方をするのか?」という形で市民側も問われるし、「どうしてこういう返答になるのか?」ということで、市役所側も問われるということです。

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