できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

青年法律家協会弁護士学者合同部会の声明文です。

2013-02-25 12:13:10 | 受験・学校
http://seihokyo.web.fc2.com/kyoiku.html

こちらも、紹介させていただきます。
タイトルは次のとおりです。

「大阪市立桜宮高校での痛ましい体罰・自殺事件をうけて、今こそ真摯な反省と再発防止を
児童生徒が尊重され、体罰のない学校づくりを求める議長声明
――― すでに苦しんでいる生徒をさらに苦しめるのではなく、合意形成による学校再生を ―――」

2013年2月20日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
議 長   原  和 良




公教育計画学会HPの理事コラムを書きました。

2013-02-25 11:57:28 | 受験・学校
http://koukyouiku.la.coocan.jp/kodomotoizokunitottehituyounajigotaiou250221.pdf

公教育計画学会のホームページに理事コラムを書きました。
タイトルは、「本当に子どもと遺族にとって必要な学校・教育行政の事後対応とは? ―大阪市立の高校での子どもの自殺事案について私が思うこと―」です。
どうもこの約2か月ほどの間、橋下市長と大阪市教委、さらには大阪市の外部監察チームが行っている子どもの自殺事案への対応を見ていると、「これって、表面的には上手に立ち回っているように見えるけど、実際にはさまざまな問題が潜在化して、かえってこじれていくのではないか?」と思うようなことをいくつか、感じましたので。

私が思うに、学校で子どもが亡くなる事案が生じたとき、在校生とその保護者への対応をていねいに行うことは、その分、遺族や亡くなった子どもへのバッシングに向かう思いを抑えることにもつながります。
また、以前から伝えているとおり、子どもが死に至る経過をていねいに、多面的に検証し、その結果を公表すること。また、その検証結果にもとづいてきちんとした再発防止策をつくることは、「悲しい出来事を二度と繰り返さない」ためにも、これもまた、必要不可欠なことです。
そういう点から考えたときに、この間の大阪市立の高校での子どもの自殺事案への対応については、いろんな疑問が生じます。

たとえば、なぜ弁護士らの外部監察チームであって、教育や心理、スポーツなどの専門家を交えた第三者委員会ではないのか?
公務員としての市立高校教員の懲戒処分の実施と、そのための事実確認の作業が優先で、子どもが死に至る背景要因の検証まで、外部監察チームは考えていなかったのではないか?
あるいは、そういう処分のための事実確認が優先であれば、再発防止に向けての検証は後回しになる。
そのなかで今、実施されている「体罰」防止に関する教職員研修や、スポーツ界の大物指導者を外部からアドバイザーとして招くという取組みに、どんな意味があるのだろうか?
さらに、通学途上の在校生への誹謗中傷などを防ぐ措置や、在学生でさまざまな傷つきをかかえた子どもへのケアが、なぜ後回しになっているのか・・・等々。
こういうことが、私には次々と疑問として浮かび上がってきました。

そういったことをまとめて書いてみたのが、この理事コラムです。
一度、読んでいただければ幸いです。



大津市議会、何をあせっているのだろう??

2013-02-21 08:51:33 | ニュース
http://digital.asahi.com/articles/OSK201302190151.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_OSK201302190151
(朝日新聞デジタル2012年2月20日付け:いじめ防止条例を可決 「子供の役割」明記 滋賀・大津)

前に私、このブログで、下記のことを書きました。
「大津市子どものいじめの防止に関する条例(中間案)に思うこと」
http://blog.goo.ne.jp/seisyounenkaikan/d/20121111

あのときにたくさん問題点を指摘した大津市の条例、ほとんど内容に修正がないまま、2月19日の大津市議会に条例案を出して、その日に可決・成立させてます。
「いったい、何を考えてるの??」としか思えませんね。
少なくとも市議会の対応としては、先月末に出された大津市の第三者委員会報告書の内容と照合して、この条例案で本当に大丈夫かを確認してから可決・成立させるべきこと。
そういう作業すら十分にしない大津市議会って、いったい「何をあせっているのか?」というしかありません。

特にあらためて思ったのですが、この条例の「学校の責務」の部分。道徳教育的なものを強化することでいじめ防止ができるという発想が見られるのですが、あの事件のおきた中学校は「道徳教育の研究指定校」だったんですよね。むしろ、そういう「立派な道徳教育」の行われているところで、あのような事件が起きたということ。そこを大津市議会はどう考えているんですかね?
あるいは、スクールカウンセラーなどの相談体制の充実ですが、今回の第三者委員会報告を読めば、その相談体制にもさまざまな課題があることが浮き彫りになっています。こうした点について、大津市議会は何も検討しないのでしょうか?
さらに、そもそも、学校における子どもの人権救済・擁護の課題は、いじめ問題だけに限定されません。体罰や「指導死」の問題、あるいは、他の理由による自殺の問題等々、いろいろあるはずです。その状況のなかで、いじめ問題にだけ特化した条例を制定するのでは、大津市として「子どもの安全・安心を守る」という面から見たら不十分きわまりないでしょう。
「4月から予算を組んで、何か制度をスタートしたい」という気持ちからこう動いたのかもしれませんが、それこそ市長・市議会で話し合って、必要があれば補正予算組めばいい話。別に無理に何もかも、4月に制度をスタートさせるなんて話にする必要ありません。
もう少しじっくりと、腰を落ち着かせて、「本当に大津市の子どもを大事に育てていくために、子どもの安全・安心を守るために、いったい、どのような条件整備が必要なのか?」ということを、大津市議会として冷静に議論をして、条例案を根本から練り直したほうがよかったのではないかと、私はあらためて思いました。

※なお、大津市の第三者委員会報告書の全文(一部黒塗りありですが)は、日本共産党滋賀県委員会の下記のページで読むことができます。
http://www3.ocn.ne.jp/~jcpshiga/sinbun.htm



本当にこの内容の報告書でいいのかしら、外部監察チーム??

2013-02-14 15:03:13 | ニュース
http://www.asahi.com/national/update/0214/OSK201302130176.html?tr=pc

(朝日新聞デジタル:桜宮高体罰問題、大阪市教委外部監察チーム報告書全文:2013年2月14日)

大阪市の高校での「体罰」が背景要因にある子どもの自殺について、弁護士による外部監察チームがまとめた報告書の内容が、この朝日新聞デジタルの記事でわかります。
ただ、これ、どこをどう読んでも、亡くなった子どもの自殺に至る事実経過と背景要因をていねいに検証した報告書という感じがしません。
むしろ、遺書などをてがかりに、顧問が亡くなった子どもに加えた暴力が「公務員の懲戒免職処分事由」に該当するかどうかという、その一点にしぼって事実経過を調べた報告書だという印象が強いです。
もちろん、他の自治体での報告書の例からいえば、この内容・このレベルのものすらまとめてこなかったところもあるので、一歩前に進んだといえる面もあります。
しかし、ケースはちがえども、大津市の第三者委員会の報告書のあのボリューム、内容を知る身としては、やはり「スカスカ」と言わざるを得ないのが実情です。
たとえば、亡くなった子どもの周囲に居た部員たちの様子とか、その子たちからは今回の事件がどう見えていたのか、とか。そういったことは今後、在校生、特に同じ部活に居た子どもたちへのケアという観点から、きわめて重要な調査課題になるはずです。
また、顧問の過去の体罰については、学校内で、さらには市教委としてどのように扱われてきたのかとか。このことは、今後、同様の被害にあった子どもへの対応について、学校や市教委のあり方を問い直し、適切な救済システムをつくっていく上で重要なことのはずです。
あるいは、この顧問が高校スポーツ界でかなり実績を残してきた人であるならば、そのことをスポーツ界関係者はどう見ていたのか。スポーツ推薦入学のシステムや学校に対する社会的な評価と、この部活の実績との関係はどうだったのか、とか。
こうした背景要因にあたる事情は、この報告書からはあんまり見えてきません。
むしろ、あくまでも、この当該顧問を徹底的に「悪」として描きだし、そこにすべてをひっかぶせて、懲戒免職で一応決着をつけよう、そんな意図のうかがえる報告書です。
それこそ、やったことは当然、ダメだと言わざるをえないとしても、この顧問が子どもに暴力をふるいながら部活指導に励むようになった経過、そして、それが長年続いてきた経過、というものがあると思うのです。ですが、そこについては、外部監察チームは関心の対象外、ということなのでしょうか。もしも「我々はあくまでも公務員の懲戒処分事由についての検証をするチームなので・・・」と外部監察チームが言うのであれば、早急に別の再発防止策をつくるために事実経過を検証するチームが必要だと思います。
私としては、本当に再発防止や在校生へのケアに努める意志が大阪市教委、さらに市長にあるのなら、むしろこの報告書にはあがってこない背景要因の部分に向き合うことが重要だと思うのです。
今後、それができなければ、対外的には「これで決着付けた」と市長や市教委が言うとしても、きっと在校生やその保護者、あるいは他の教職員も、そして市民も、「これでほんとうにいいの?」という思いが芽生えるだけで、納得しない、釈然としない思いばかりが残ると思うのですが。


この外部監察チームの調査報告書を読んでみたい。

2013-02-11 10:05:34 | ニュース
http://www.asahi.com/national/update/0211/OSK201302100116.html?tr=pc
(朝日新聞デジタル:「暴力、自殺の一員」外部監察で認定 桜宮高問題 2013年2月11日付け配信記事)

この記事が朝日新聞の朝刊には出てました。毎日新聞には出てなかったです。義父母のところに2紙届くので、それで確認したのですが。
その上で、基本的に事実経過の把握ということで、外部監察チームが一応、これまで調査したことをまとめて報告した、ということ。そのことで、本件は一応の区切りを迎えるわけですが・・・。実際にこの現物の報告書、私、読んでみたいですね。
それにしても、この新聞記事を見る限り、私は「???」がたくさんつく調査ですね。
この記事から受けた印象ですが、亡くなった子どもの遺書などにつづられていて、学校や市教委の側として認めざるを得ない事実について、外部監察チームをまじえて経過を把握し、これが「免職」相当の懲戒処分事由に該当するかどうかを検証する形で調査したのではないか。そんな風に思ったのです。
別の言い方をすると、当該顧問にすべての非をを負わせ、「免職」処分にすることで、この件を早期に「終わったことにする」ための調査が、外部監察チームの関与という形で行われたのではないのか、ということ。あるいは、市長や市教委として「早期の幕引き」をはかるために、あえて当該顧問と亡くなった子どもの間に起きたことを検証し、その背景要因には踏み込まず、顧問の懲戒処分で決着をつけようとしているのではないかと。
たとえば、なぜこの報告書は「体罰」を「暴力行為」と言い換えているのでしょうか。もちろん、この顧問の行ってきたことは暴力に他ならないわけですが、私にはどうしても「部活中の暴力や体罰は許さないが、生徒指導上には体罰が必要なこともある」といった、あの市長の意向を、この報告書の表現にはどうも感じとってしまうんですよね。
また、亡くなった子どもについて行われた暴力行為について調査をするのは当然ですし、その結果にもとづいて懲戒処分が行われるのも妥当でしょう。ですが、その部活でなぜ暴力行為が常態化していたのか? 他の教員も市教委もその部活には外から口出しできなかったのはなぜか? 過去に苦情があったときの対応がなぜうまくいかなかったのか? そのことについて、外部監察チームは検証しないのでしょうか? ここも明らかにしないことには、やはり当該顧問に責めのすべてを負わせて、他の関係者が「逃げる」ことを可能にしているかのように見えてしまいます。
そして、この報告書が出る前に新聞記事などで小出しに出ていた部活中の体罰問題についての調査結果では、亡くなった子どもの居たバスケ部を含む3つくらいの部活で体罰が常態化していた、という話をしていますよね。でも、あの入試停止騒動の頃には、「いろんなところで体罰が常態化している」という前提があって、「だからこそ体育系2科では、新入生の募集はムリ」という話をしていたかと。この報告書の内容だと、「じゃあ、あの1月の入試停止の大騒動ってなんだったの??」となりませんか?
そういう意味で、この調査報告書の現物、読んでみて、「まだ大事なことが検討されていないのではないか??」と、報告書の中身の分析をしてみたいところです。


体罰と「指導」のあり方に関する公教育計画学会の意見表明文です。

2013-02-02 08:30:22 | 受験・学校
http://koukyouiku.la.coocan.jp/gakkouniokerutaibatubouosi250131.pdf

公教育計画学会の意見表明です。
「学校における体罰防止と「指導」の見直しに向けて(意見表明)」
なお、これはこの問題に関する「第一弾」であって、引き続き、学校で子どもが亡くなる事案が生じたときの学校・教育行政・首長の対応など、「第二弾」以降の意見表明も今後、ありうると、文面の最後につづられています。