できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

2051冊目:土田美登世『やきとりと日本人 屋台から星付きまで』(光文社新書)

2014-12-24 19:38:10 | 本と雑誌
2051冊目はこの本。
土田美登世『やきとりと日本人 屋台から星付きまで』(光文社新書、2014年)

この本はとっても面白かったです。
関西圏とちがって、関東圏では「やきとり」と称して豚や牛のもつが出てくるお店があること。
そのルーツとして、もともと明治の頃までは鶏肉自体がなかなか手に入りづらかったこと。
うなぎのかばやきなど、たれをつけて屋台で焼いて食べる他の食材があったこと。
そこで入手しやすかった豚や牛のもつを、値段が高くて不足しがちな鶏肉にかえて、串にさして、たれにつけて焼き始めた店がでたこと。
「へぇ~、こんなルーツがあるんだ~」という話が出てきて、とても面白かったです。

やきとりと日本人 屋台から星付きまで (光文社新書)

2050冊目:太田肇『がんばると迷惑な人』(新潮新書)

2014-12-24 19:22:30 | 本と雑誌
2050冊目はこの本。
太田肇『がんばると迷惑な人』(新潮新書、2014年)

この本も『孤独の価値』同様、タイトルにひかれて買ったけど・・・。
前半部分(1章・2章)の「がんばり」重視の職場の風潮への批判や、その背景にある企業の成果主義的な労務管理の問題点の指摘等々については「なるほどなあ」と思う部分も多々あった。
でも、後半部分(3章)からは正直なところ「?」ばかり。
もう少し、今の企業での労務管理の何を、どのように変えるのか。
実態に即して語ってほしかったように思う。
たとえば、この本の後半部分で「最後は自営業に学べ」と言っているけど、では、著者がいうように、自営業の人はみんな「がんばらないで成果を出している」のかどうか・・・??
自営業は自営業で、企業組織で働くのとはまた異なるしんどさもあるだろうし・・・。

がんばると迷惑な人 (新潮新書)

2049冊目:森博嗣『孤独の価値』(幻冬舎新書)

2014-12-24 19:16:18 | 本と雑誌
2049冊目はこの本。
森博嗣『孤独の価値』(幻冬舎新書、2014年)

タイトルにひかれて買ったけど、「これ、タイトルは本来『隠居の価値』とか『隠遁生活のすすめ』にしたほうがよかったんじゃないかな?」と思った。
著者のように一定著述業で「食えるようになった」ため、公務員の仕事を辞め、できるだけ人とのかかわりを避けて、家でのんびり(家族とともに)過ごしているのは、ほんとうに「孤独」なんだろうか?
私にしてみると、「それって孤独というより、隠居っていうんじゃないの?」と思うのだけど・・・。
だから「隠居の価値」とか「隠遁生活のすすめ」というタイトルだったら、この本「さすがだなあ」と思ったところ。

孤独の価値 (幻冬舎新書)

2048冊目:仲正昌樹『いまを生きるための思想キーワード』(講談社現代新書)

2014-12-24 19:10:13 | 本と雑誌
2048冊目はこの本。
仲正昌樹『いまを生きるための思想キーワード』(講談社現代新書、2011年)

自分に書けるかどうかわからないけど、将来いつか教育学系でこのようなキーワード解説集みたいな本が出せたら・・・と思う。
政治哲学・倫理学系の言葉を中心に、著者が選んだ21のキーワードに即して、1つのキーワードが4~5ページ程度で、コンパクトに論じられている本である。

いまを生きるための思想キーワード (講談社現代新書)

2047冊目:門松秀樹『明治維新と幕臣 「ノンキャリア」の底力』(中公新書)

2014-12-15 23:29:01 | 本と雑誌
2047冊目はこの本。
門松秀樹『明治維新と幕臣 「ノンキャリア」の底力』(中公新書、2014年)

やや第3章の幕末の政局あたりの話が冗長な印象を受けた。
でも、江戸幕府末期に養成された洋学のできる官僚や西洋式軍事知識のある人、あるいは末端の役人層が、明治維新後の新政府にも引き続き雇用され、なんらかの役割を果たしたという本書の指摘は、とても興味深い。
末期の江戸幕府も維新政府も、共に日本に西洋式軍事知識や洋学の導入が必要であるという共通認識に立っていたこと。
また、維新後の新政府が幕臣の反抗を抑えるためにも、雇用を継続して生活の安定を図るひつようがあったということ。
こういうことって、意外と知られていないのではないか・・・と思った。

明治維新と幕臣 - 「ノンキャリア」の底力 (中公新書)

2046冊目:平川克美『復路の哲学』(夜間飛行)

2014-12-15 23:24:52 | 本と雑誌
2046冊目はこの本。
平川克美『復路の哲学』(夜間飛行、2014年)

詳しいことはここに書かないが、「ああ、成熟した品のいいおとなの言葉って、こういうものなのだなあ」という実感が得られる本。将来エッセイを書くとしたら、こんなこと書いてみたい。

復路の哲学ーーされど、語るに足る人生

2045冊目:竹宮恵子・内田樹『竹と樹のマンガ文化論』(小学館新書)

2014-12-08 19:00:41 | 本と雑誌
2045冊目はこの本。
竹宮恵子・内田樹『竹と樹のマンガ文化論』(小学館新書、2014年)

うちの大学の現・学長(竹宮さん)と、来年から客員教授で来る人文系研究者(内田さん)の対談形式でまとめられた本。
マンガ学部の教育・研究や、マンガ制作の現場から見えてくる「集合知」のありようなど、なかなか面白かった。

竹と樹のマンガ文化論 (小学館新書)

2044冊目:中谷内一也『安全。でも、安心できない・・・』(ちくま新書)

2014-12-08 18:45:00 | 本と雑誌
2044冊目はこの本。
中谷内一也『安全。でも、安心できない・・・-信頼をめぐる心理学』(ちくま新書、2008年)

少し古い本だけど、今取り組んでいる学校事故・事件の検証作業のあり方などを考える上で、「終章」の部分に書かれていることがとても参考になった。
要するに「自分の利害が絡んだ重要事」でなければ、人びとは「優秀な専門家が誠実に取り組んでいるのなら任せてよいだろう」と考える傾向にあるということ。
逆に「自分の利害が絡んだ重要事」であればあるほど、その「優秀な専門家」の取り組みと自分たちの望む問題解決の方法とが一致しているかどうか等、気になることが増えてくる、ということ。
学校事故・事件の場合、専門家集団である検証委員会が出した結論に、遺族がなかなか納得できないという現象も、こういう観点から説明できるのでは?


安全。でも、安心できない…―信頼をめぐる心理学 (ちくま新書)

2043冊目:堤美果『沈みゆく大国アメリカ』(集英社新書)

2014-12-06 20:22:32 | 本と雑誌
2042冊目はこの本。
堤美果『沈みゆく大国アメリカ』(集英社新書、2014年)

アメリカの医療保険制度の問題点(「オバマケア」など)について、著者の取材をもとに書かれた本。
なんでもアメリカのマネをしたがるのはよくない、日本のほうがはるかに優れたシステムを持っていることも多々ある。
そういうことがよくわかる本でもある。

沈みゆく大国アメリカ (集英社新書)