できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

2025冊目:佐藤博志・岡本智周『「ゆとり」批判はどうつくられたのか』(太朗次郎社エディタス)

2014-10-29 10:34:24 | 本と雑誌
2025冊目はこの本。
佐藤博志・岡本智周『「ゆとり」批判はどうつくられたのか 世代論を解きほぐす』
(太朗次郎社エディタス、2014年)

「ゆとり」教育なるものが導入された経過や教育政策上の意義などから見て、「ゆとり」世代なるものが誤解に過ぎないということをきちんと論じたこの本は、とても重要。
と同時に、90年代末~2000年代初めにかけて、「ゆとり」教育路線批判をやった教育論者、教育学研究者の議論に対しても、もっと突っ込んだ批判をしてほしかった・・・という思いもある。

「ゆとり」批判はどうつくられたのか: 世代論を解きほぐす

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2024冊目:海渡雄一編『反原発へのいやがらせ全記録』(明石書店)

2014-10-29 10:29:51 | 本と雑誌
2014冊目はこの本。
海渡雄一編『反原発へのいやがらせ全記録 原子力ムラの品性を嗤う』(明石書店、2014年)

故・高木仁三郎さんに加えられたいやがらせの実態等々、「ここまでするか??」という事例のオンパレードです。

反原発へのいやがらせ全記録――原子力ムラの品性を嗤う

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2023冊目:細見和之『フランクフルト学派』(中公新書)

2014-10-27 12:00:02 | 本と雑誌
2023冊目はこの本。
細見和之『フランクフルト学派―ホルクハイマー、アドルノから21世紀の「批判理論」へ』
(中公新書、2014年)

本格的にまとめられた誰かの哲学・思想関係の本を1冊、短時間に読み込むのは大変。
だけど、こうした形で「ドイツ現代思想・哲学の動向」を新書本サイズでまとめてくれた本なら、なんとか読める。
こうした本を読んでおくと、現代思想・哲学の動向と現代社会・文化の動向との関係(特に政治的な動向との関係)などがよく見えてくるので、ありがたい。

フランクフルト学派 -ホルクハイマー、アドルノから21世紀の「批判理論」へ (中公新書 2288)

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2022冊目:渡井さゆり『「育ち」をふりかえる』(岩波ジュニア新書)

2014-10-27 11:45:45 | 本と雑誌
2022冊目はこの本。
渡井さゆり『「育ち」をふりかえる―「生きてていい」、そう思える日はきっとくる』
(岩波ジュニア新書、2014年)

ここまで赤裸々に、自分の生い立ちをさらけ出して書かれるとは・・・。
児童養護施設で子ども時代を過ごし、施設出身者の居場所づくり活動に取り組まれて、現在子育て真っ最中の彼女が、自分の生い立ちをふりかえって書いた本です。

「育ち」をふりかえる――「生きてていい」、そう思える日はきっとくる (岩波ジュニア新書)

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2021冊目:笠井清・白井聡『日本劣化論』(ちくま新書)

2014-10-27 11:34:44 | 本と雑誌
2021冊目はこの本。
笠井清・白井聡『日本劣化論』(ちくま新書、2014年)

現代日本の国内政治の情勢とか国際政治面での環境の変化等々についての認識という面では、私は大筋でこの両氏の意見に納得できます。
ただ、この本の最後に出てくる笠井氏の「国家民営化論」については、やっぱり首をひねります。
「それって、グローバル資本主義のなかでのエリート層や多国籍企業の経営者の発想と、どこがどうちがうの?」と言いたくなってしまうわけですね。
「自立した強い個人・家庭・地域」が求められるこの笠井氏の発想については、そうはなりきれない人々の暮らしぶりを見てきただけに、「簡単にそう言っていいのかなあ?」「その国家民営化が行われた社会で、弱い個人・家庭・地域を支えるセーフティネットは誰がはるの?」と、問いかけたくなります。
なお、白井氏は来年春から、うちの大学の同じ学部の教員になります。

日本劣化論 (ちくま新書)

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2020冊目:御厨貴『知の格闘―掟破りの政治学講義』(ちくま新書)

2014-10-20 16:18:19 | 本と雑誌
2020冊目はこの本。
御厨貴『知の格闘―掟破りの政治学講義』(ちくま新書、2014年)

オーラル・ヒストリー、建築と政治、書評と時評等々。
「政治について学ぶ・考える」のに、こういう視点・方法があるのか・・・と、いろんな意味で参考になりました。

知の格闘: 掟破りの政治学講義 (ちくま新書)

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2019冊目:浜矩子『地球経済のまわり方』(ちくまプリマ―新書)

2014-10-20 11:00:53 | 本と雑誌
2019冊目はこの本。
浜矩子『地球経済のまわり方』(ちくまプリマ―新書、2014年)

アマゾンのレビューでの評価は低めですが、私はその評価の方がどうにかしてる感じがしています。グローバル経済のあり方に関心のある人たち(特に中高生あたり)に読んでもらって、まずは最低限の経済学的な見方を獲得するのには、この本は十分なのではないかな、と思います。レビューで言われているような細かい実証性等々は、この本の「次」に来る議論でしょうね。入門書に専門書レベルの分析・叙述を求めるなど、「ないものねだり」するようなレビューのし方自体が、どうにかしているように思うんですよね。

地球経済のまわり方 (ちくまプリマー新書)

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2018冊目:久保亨・瀬畑源『国家と秘密 隠される公文書』(集英社新書)

2014-10-18 23:48:12 | 本と雑誌
2018冊目はこの本。
久保亨・瀬畑源『国家と秘密 隠される公文書』(集英社新書、2014年)

特定秘密保護法施行を前にして書かれたこの本。
他国と比較して日本政府の情報公開に対する基本姿勢がかなり遅れていること、そもそも公文書を体系的に整理・保存し、いつでも閲覧できるようにしようという発想に乏しいこと等、いろんな問題点が指摘されています。
「適切な情報開示と公文書管理がともなわない状況は、行政の責任を問えない、行政は責任を問われないということであり、国民の利益に反する結果を招くことになるのです。」(同書17ページ)

国家と秘密 隠される公文書 (集英社新書)

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2017冊目:伊勢崎賢治『日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門』(朝日新書)

2014-10-18 13:52:20 | 本と雑誌
2017冊目はこの本。
伊勢崎賢治『日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門』(朝日新書、2014年)

この本は学部生に、いろんな授業を通じて読むようにすすめたいと思った。
安倍政権がこれまで集団的自衛権の行使容認に向けて説明してきたこと、また、安倍政権の安全保障・外交関連の政策の多くについて、それのどこが、どうダメなのか、明確にこの本が指摘しているように思う。

日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門 (朝日新書)

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2016冊目:小谷野敦『もてない男』(ちくま新書)

2014-10-18 13:45:56 | 本と雑誌
2016冊目はこの本。
小谷野敦『もてない男―恋愛論を超えて』(ちくま新書、1999年)

男子大学生の恋愛事情をテーマにした学部生の卒論(卒業プロジェクト)指導の必要から読んだ本。いや~、おもしろかった。

もてない男―恋愛論を超えて (ちくま新書)

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2015冊目:白川蓉子ほか『育ちあう乳幼児教育保育』(有斐閣)

2014-10-18 13:42:37 | 本と雑誌
2015冊目はこの本。
白川蓉子ほか『育ちあう乳幼児教育保育』(有斐閣、2004年)

新版もでているらしいです、この本。
多文化保育のこと、子どもの権利条約のことにもきちんと触れられている保育学・幼児教育学の入門書ですね。
保育や幼児教育に関心のある学部生に読ませるのにはちょうどいいかと。

育ちあう乳幼児教育保育 (有斐閣コンパクト)

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公教育計画学会の声明文「道徳の教科化案の撤回を強く求める」

2014-10-18 10:46:16 | 学問
公教育計画学会理事会の声明文「道徳の教科化案の撤回を強く求める」
日付は2014年10月21日付けになっていますが、今日(10月18日)に同学会ホームページにアップされています。
以下のURLで、全文を見ることができます。

http://koukyouiku.la.coocan.jp/H26rijikaiseimei-doutokunokyoukakahantai.pdf

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2014冊目:鷲田清一『哲学の使い方』(岩波新書)

2014-10-14 22:39:14 | 本と雑誌
2014冊目はこの本。
鷲田清一『哲学の使い方』(岩波新書、2014年)

「あれ? この話、前にどこかで読んだような・・・??」
鷲田清一の本は何冊か読んできたので、内容的には既読感のある話が多かった印象。
ただ、今までに展開してきた鷲田の「臨床哲学」の内容をコンパクトにまとめてくれた、という面もあるかな。

哲学の使い方 (岩波新書)

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2013冊目;小田嶋隆・岡田憲治『「踊り場」日本論』(晶文社)

2014-10-14 22:35:45 | 本と雑誌
2013冊目はこの本。
小田嶋隆・岡田憲治『「踊り場」日本論』(晶文社、2014年)

ちょっとコメントしづらい対談集。
けっして内容が面白くないわけでなく、むしろ共感すべきところが多いのですが。
でも何かひとつのテーマをめぐってふたりが対談したというより、気の向くまま思いの向くままふたりが話しあったようで、いろんな方向に議論が広がっていて、まとめようがないという感じ。

「踊り場」日本論 (犀の教室Liberal Arts Lab)

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2012冊目:高木慶子ほか『〈悲嘆〉と向き合い、ケアする社会をめざして』

2014-10-07 22:59:58 | 本と雑誌
2012冊目はこの本。
高木慶子・上智大学グリーフケア研究所・柳田邦男『〈悲嘆〉と向き合い、ケアする社会をめざして JR西日本福知山線事故遺族の手記とグリーフケア』(平凡社、2013年)

ほとんどこの本で述べられていることには共感・納得するのだけど、一点だけ「ちがうな」と思ったのは、柳田邦男さんの「2.5人称の視点」という表現。
これは第三者的な視点から人の死を語る立場と、親族など身近な人々の視点から死を語る立場の「あいだ」という意味で使われている表現なのですが・・・。
しかし、屁理屈みたいな言い方になりますが、現実の人間は「0.5人称」なんて視点にはたてません。
実際にできることはただ、「第三者」的な視点から人の死を語る立場の人々が、どこまで親族などの身近な人々の視点から死を語る立場の人々の声をていねいに聴き、その声に適切に応答することをあきらめないこと。そのことではないかと思います。また、柳田さんが言いたかったのも、結局はこのことではないかとも思います。
だとすれば、それは「2.5人称」などではなくて、「2人称で語る人々と3人称で語る人々の対話」というべきものではないのかな・・・と、私などは思った次第です。

〈悲嘆〉と向き合い、ケアする社会をめざして: JR西日本福知山線事故遺族の手記とグリーフケア

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