できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

「都構想」という名の大阪市解体構想が実現した場合、教育行政はどうなるか?(の予想)

2015-03-04 20:18:10 | 新たな検討課題

※下記の内容は、フェイスブックに今日、投稿したものです。ご参考までに、こちらに転載しておきます。

あるブログにでている論点の(6)について、ですが(注:このブログは閲覧可能な方が限定されているようなので、リンクは表示できません。悪しからず・・・)。

大阪市が解体されて5つの特別区になる(いわゆる「都構想」)で、子どもたちの教育や教育行政がどうなるか・・・。
私なりにちょっと、「教育行政のしくみ」の部分だけ予想してみました。
だいたい、こんな感じになるのかな、と思います。
これ以外にまだ補足しなくちゃいけないこととか、あるいは、私の理解に足りないところとか、まちがっていることがあれば、お友達の教育学研究者、教育行政の実務担当者のみなさん、補足をお願いします(笑)

(1)まず、教育行政のシステムだけでいえば、基本的には府教委(広域、高等学校・特別支援学校)ー特別区教委(府内市町村教委と同じ基礎、小中学校)という管轄になるかと思います。また、特別区教委ごとに首長が教育長(新しい教委制度での教育長で、教委の責任者)とこれにアドバイスをする教育委員を、議会の同意を得て任命することになるでしょう。市を特別区にすることで、教育長・教育委員の数がふえ、あらたに区教委事務局が設けられ、当然、職員が配置されます(これは特別区議会、特別区の首長が増え、区議会事務局も新設されるのと同じですね)。

(2)次に教職員の人事権を府教委から特別区教委に委譲するかどうか、ですね。委譲すれば区教委が持ちますが、なければ府教委が教職員の任免等の人事権を持つことになります。また、今まで大阪市教委が管轄してきた教育関連の諸条例・諸規則を特別区教委が引き継ぐかどうか、ということも重要な課題ですね。これらの諸条例・諸規則の改廃・再制定等々で、膨大な事務作業が、廃止前のいまの大阪市教委と特別区教委の両方に数年間、必要とされます。子どものことに対応する以上に、こうした大阪市教委から特別区教委への事務の移管、あるいは特別区教委と府教委との関係調整のための事務作業に、特別区教委が忙殺されるのではないかと推測されます。

(3)なお、今の教育基本法16条の趣旨に沿って、特別区も地方公共団体として、「教育振興基本計画」をつくる努力が求められます。そうすると特別区の首長と特別区教委の間で「総合教育会議」みたいなものが設けられ、その特別区の教育施策づくりについて協議し、計画をつくっていくことになりますね。

<追記>
これを書いてみて気づいたことが1つあります。
今はまだ「都構想」という名の大阪市解体構想の是非が議論されている段階なのでやむを得ない面もあるんですが・・・。
でも、「もしもそれが実施された場合に生じる大阪市から特別区、あるいは大阪府への膨大な事務移管作業」と、「その移管作業をやっている間の行政サービスの水準維持」のあり方については、ほとんど議論にもなっていませんねえ。というか、こういうことを考えて、シミュレーションできる人が、推進派にはいないんだろうなあ・・・。
正直なところ、こういう膨大な事務移管作業をやっている暇があったら、目の前の子どもや若者、学校や保育所、青少年施設の諸事業を充実させるのに手間をかけたほうがいいのでは・・・って思ってしまいますね。
この膨大な事務移管作業をやっている間の役所関係者の徒労感、無力感って、ものすご~く、重いだろうし・・・。



最新の画像もっと見る