できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

年明けから新展開を考えます(「一日一言」シリーズいったん終了)

2011-12-31 17:42:28 | 受験・学校

今日は大晦日。12月初旬から昨日までの間、このブログでは「教育基本条例案」への一日一言という同じテーマで、とにかく橋下大阪市長・松井大阪府知事や大阪維新の会側から、マスメディアを経由して流れてくる情報について、何か毎日情報発信をするという形で書いてきました。

ただ、もうあしたから新しい年、2012年を迎えるわけですが、別途「学校事故・事件と子どもの人権」というブログを立ち上げることもありますし、こちらのブログに書く内容をもう少し大阪市内や大阪府内の子どもや教育・福祉のことに特化する形で続けていこうかな、と思っています。

とはいえ、多少、このブログをどう使うかを考える時間もほしいところ。そこでいったん、「一日一言」シリーズをここで終わって、あしたからはまた、新展開を考えていきたいな、と思います。

ただし、2月の大阪府議会ですとか、今後の大阪府市統合本部の動きなど、「教育基本条例」に関することから、目が離せないことは言うまでもありません。こちらについては引き続き、「一日一言」シリーズとはまた別の形で、その時々でいうべきことをいっていこうと思います。

まずはとりいそぎ、ごあいさつでした。


第3の選択肢「どっちもいらない」-「教育基本条例案」への一日一言(25)-

2011-12-30 10:29:32 | 受験・学校

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201112280025.html (教育基本条例案「現行法に違反」日弁連が声明:朝日新聞関西2011年12月28日付け)

ようやく記事がネット上にもアップされたようですが、日弁連がこのように「教育基本条例案」について反対の声明を出しています。この件は、昨日も紹介したとおりです。

それから、今朝、自宅で朝日新聞を読んでいたのですが、大阪府教委側の修正案が府市統合本部に出されたときに、どういうところが論点になるのか、といった趣旨の記事が出ていました。これはでも、まだネット上にはアップされていません。(あとでスキャナーで読み込んで、PDF化しようかな?)

ただ、この「教育基本条例案」について、府教委の修正案か、維新の会(橋下市長)案か、みたいな話で記事を書くのは、私にしてみれば「第3の視点」が抜け落ちていて、「これじゃだめだな」と思いますね。

では、その「第3の視点」とは何か? それは「誰が、どんな案をつくろうとも、大阪には教育基本条例そのものがいらないのだ!」という視点です。

おそらく首長が教育目標を設定する権限を条例案に書き込まず、修正案として首長と教委で協議して決めるみたいな形にしても、そもそも現行法上において、首長が教育委員を自分の意に沿うよう任命する(もちろん、議会の承認を得てですが)わけですから、結果的にはあまり大差ないでしょう。「これが民意だ!」といって、首長が教育目標を「協議」という場を通して教委に押し付けてくるのは、目に見えています。

あるいは、学力テストの自治体別の結果公開についても、同様。たとえ条例案を修正して、学校運営協議会単位で出すか出さないか決めるようにしても、その協議会に維新の会支持者が入り込んだり、あるいは、協議会にプレッシャーをかけて出すようにすれば、結果的には学力テスト結果の「自治体別公開」どころか「学校別公開」に近いものになっていくでしょう。

このような形で、たとえ現行法の趣旨に沿うようにどのように改正をしても、それはしょせん、府市統合本部・維新の会と府教委・市教委の「妥協」にしかすぎない。大阪府・大阪市に暮らす子どもにとっては、妥協の産物として生まれてきた「教育基本条例」の修正案でも、やはり、今までの学校環境の激変を伴い、不利益が生じる恐れはぬぐえないわけです。

とすれば、どのような案になろうとも、大阪には「教育基本条例案」それ自体がいらないのだ、という立場からの批判的意見。これがやはり、今は大事なのではないでしょうか。

マスメディアにはぜひ、このような立場からの意見もあることを、どうぞ積極的に伝えていただければと思います。

<追記>前にもお知らせしたとおり、学校事故・事件と子どもの人権に関する話題を書くための別のブログを現在、準備中です。下記からアクセス可能です。不定期での更新になるかと思いますが、よろしくお願いします。 http://tsuyokun.blog.ocn.ne.jp/gakkoujikojiken/

ついでにいうと、「どうせ大阪に条例つくるなら、『教育基本条例』などいらんから、学校事故・事件の発生防止と発生時の原因究明、再発防止策の確立、被害者遺族への救済などを決めた『学校安全条例』とか、包括的に自治体としての子どもの権利保障や、権利侵害に対する救済システムの整備を定めた『子どもの権利条例』をつくれ!」というのが、今の私の立場です。こういう条例をきちんとつくるほうが、よっぽど子どもたちが安心して通える学校ができて、学校も落ち着くのではないですかね。


市長の施政方針演説をどう読むか?―「教育基本条例案」への一日一言(24)―

2011-12-29 11:02:29 | ニュース

http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000151229.html

上記のホームページで、橋下市長の大阪市議会での施政方針演説(要旨)を読みました。「なんですか、これ?」という代物ですね。あまり期待はしていなかったのですが、マスメディアでもちあげるほどの内容はありません。

それこそ、この施政方針演説の最後の職員労組批判のくだり。「挨拶、しつけ」うんぬんの部分などは、今まで文科省や自分に批判的なマスメディア等々、いろんな機関や団体、人々に対して「バカ〇〇」「クソ〇〇」と言ってきた人がよくいえるなぁ、としか思えませんね。まずはご自身のこれまでの周囲に対する失礼な発言自体、陳謝してしかるべきではないか、と思ってしまいますね。「あえて議論を呼び起こすための発信」では済まされないような発言を、知事時代やそれ以前も多々してきたのではないでしょうか。

それでもなお橋下市長がいま、職員労組に対して、なんとかして謝らせることにここまで執着しているのはなぜか。それは、彼がやろうとしている「大阪都構想」にせよ、今後の大阪市政改革にせよ、その最大の「抵抗勢力」たりうる存在が職員労組であること。そのことを示しているからではないでしょうか。

まずは、今後の市政改革や「都構想」に関する議論を有利にすすめるためにも、職員労組側からの反撃を封じ込めるためにも、事務所の市庁舎からの追い出しやこの謝罪問題でいいがかりをつけ、とにかく「出端をくじく」こと。それだけを目的にしての市政方針演説ではないか。私としては、そう読みました。

逆にいうと、とても威勢のいいことをあれこれいいながら、攻撃的にいろいろふるまっていながら、彼はいま、自分に対する批判・非難の矢が向いてくることを、ものすごく恐れている。怖くて怖くてしょうがない。大阪市長の座につき、大阪維新の会の代表でもあり、府知事と連携して「都構想」を強引にでも推進しなければならない立場におかれてしまった。そのことで自らの責任が問われ、周囲から批判や非難が集中する立場にあることが、もう怖くて怖くてしょうがない。彼はいま、そういう心理状態にあるのではないでしょうか。

だとすれば、こんな施政方針演説で攻撃されたくらいで、彼への批判の手を緩めてはいけません。こちら側からの対応でもしも謝るべきものがあるとしたら、そこではさっさと謝っておく。そのうえで、なおかつ、きっちりと事実や根拠を示しながら、彼の繰り出す施策について「ダメなものはダメ」と言い続けること。また、その「ダメなものはダメ」という情報を、自分たちの身近にいる人々に、さらにその外にいる人に向けて発信し続けること。これが一番、効果的ではないのかな、と思います。

ついでにいうと、彼が施政方針演説でいうように、本気でボトムアップで市政運営をすすめたいのであれば、現場第一線職員の話を聴かなければいけない。また、その現場第一線職員をまとめあげているのは、ある意味、職員労組でもあります。だとしたら、彼が本当にボトムアップを重視するならば、職員労組の意見を上手に吸い上げて、きちんと市の施策に反映させる道を持つ方が適切だと思うのですが。

これだけ職員労組を攻撃しておいて、トップダウンはさておき、ボトムアップが正常に機能するとは、私には全く思えません。ということは、今後、大阪市政に関して起きてくるさまざまな問題は、すべて「トップダウン」と「職員労組攻撃」がもたらした弊害だとみてよいでしょう。そして、こうして自らの責任が問われる事態になることを、またまた、市長としての彼は今、ものすご~く、恐れているのではないでしょうか。だからこそ、「区長に~」「府市統合本部に~」等々、責任をあちこちに分散する「逃げ」の手を次々に打とうとしているのではないかと思います。

あと、この施政方針演説(要旨)を読んでもらったらわかりますが、ここには一切、大阪市民の教育や福祉、子育てに関する施策を具体的にどう充実させるか、といった話はでてきていないのです。あるのはただ、次のようなくだりだけです。

さらに、厳しい財政状況を踏まえて、時代に合わなくなった施策・事業を見直すとともに、重点投資する分野もシフトしていきます。例えば、少子高齢社会において高齢者を支えるため、社会保障制度の根幹となる現役世代を対象とした「子ども」や「教育」や「雇用」などの分野に重点的に投資し、現役世代が生み出す活力・効果を高齢世代にも還元していきます。選挙の票になりやすいという高齢世代に直接お金をばらまくことをするようなことはなく、現役世代に重点投資をし、現役世代の活力によって高齢世代を支えるというような社会全体の仕組み自体も変えていきたいと思っております。

あの~、ここをどう読めば、今後の大阪市の教育や福祉、子どもに関する施策が具体的に充実できるのか・・・・。なにしろつい先日、大阪市の公立幼稚園を「民営化」するとか、大阪市の市立高校を府立に移管するとか、そういう発表をしたところですよね。子どもの虐待対応とか待機児童対策も各区に「丸投げ」という方針ですしね。むしろ読みようによっては、高齢者世代に配分してきた市の諸資源をカットして、子どもや若者、子育て中世代にまわしますよ、ということを言っているだけにすぎないわけですよね。そんなことではとても、大阪市の教育や福祉、子どもに関する施策なんて、具体的に充実するわけないでしょうね。

最後にひとつ、忘れないようにひとこと。この橋下市長の施政方針演説には、大阪市として、「教育基本条例案」を再提出して、成立に向けて努力するとは、ひとことも書いていません!! ここをみなさん、忘れないようにしましょう。


すでに公表されている資料を読み直すとー「教育基本条例案」への一日一言(23)ー

2011-12-28 20:34:32 | ニュース

昨日、日本弁護士連合会(日弁連)が出した「教育基本条例案」に関する会長声明について、橋下大阪市長は「バカ〇〇」とも「クソ〇〇」とも言わないですね、今のところ。内容的には先日、文部科学省に橋下市長が訪れた際に先方から言われたことや、あるいは、内閣の答弁書と同じく、「教育基本条例案」の趣旨が現行法に反しているということなのですが。

結局、彼は「かみつきやすいところにかみつく」ということなのでしょうかね。あるいは、内閣や文科省を敵に回す発言をすることは、「中央政府に対してたたかいを挑む」というポーズをとる首長のイメージづくりとして有効だけど、同業者たる弁護士を敵に回す発言をするということは有効ではない、という判断なのでしょうか。

もしも後者だとするならば、彼はやはり、「教育基本条例案」の基本的な趣旨が現行法に反していることを知りつつ、それを「中央政府に対抗する首長」という自分のイメージ戦略づくりに利用しているという、きわめてタチの悪いことをしていることになりますね。

それから、今日、ある人とツイッターでやりとりをしているときに、たまたま、大阪市の職員数が話題になりました。それに関連して大阪市のホームページを検索していると、次のようなPDFファイルを見つけました。

http://www.city.osaka.lg.jp/shiseikaikakushitsu/cmsfiles/contents/0000119/119520/kanren-18.pdf

これ、去年(平成22年=2010年)の秋段階での今後の大阪市職員の削減計画について、当時の市政改革室で検討していた内容をまとめた資料のようです。

この資料のなかで、大阪市側が将来削減後の職員数の目標づくりにあたって、「比較の対象」として選んでいる自治体が、横浜市。

また、この資料では、横浜市と比べて大阪市の職員数が多い部門を、民生・教育・交通と3つ、あげています。

しかも、横浜市に比べて大阪市の教育部門の職員数が多い理由として、この資料では「義務教育ではない幼稚園、高等学校等の数の差」をあげています。

また、交通部門の職員数が多い理由は、大阪市の方が横浜市よりも地下鉄事業の規模が大きいことを理由にあげています。

これだけでもう、何か、感じませんか?

なぜいま、橋下市長や大阪維新の会が地下鉄の民営化を主張するのか?

なぜいま、大阪市立高校の府立への移管や、大阪市立幼稚園の民営化を主張するのか?

そしてなぜ、いま橋下市長が大阪市の職員労組を徹底的に攻撃しようとしているのか?

ついでにいうと、今、橋下市長がやろうとしていることのうちのいくつかは、もしかしたら、平松市長期やそれ以前の関市長期に、すでに大阪市政改革の案として練られていたものである可能性(危険性)も、「なきにしもあらず」です。そのことは、このPDFファイルからも明らかです。


日本弁護士連合会(日弁連)が会長声明を出しましたー「教育基本条例案」への一日一言(22)ー

2011-12-27 18:42:18 | ニュース

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/111227.html

日本弁護士連合会(日弁連)が今日、「大阪府における教育基本条例案に対する会長声明」を出しました。

上記のHPを見ていただければわかりますが、明確にこの条例案を教育基本法や地方教育行政法に反するだけでなく、「憲法違反」とまで述べています。

また、条例案のとおりに教育を行った場合、首長交代ごとに教育目標等が変わることもありうることから、「子どもの個性や成長・発達段階に応じた教育の継続性が阻害され、子どもの学習権を充足することが困難になる危険がある」ことも、この会長声明では指摘しています。

さらに、条例案のとおりに教員評価を行い、2年連続D判定の教員の免職等を行う場合は、「教師間の協働なしには解決困難な課題」への取り組み意欲をそぎ、結果的に子どもの学習権が侵害されることにもなりかねない、とこの会長声明では指摘しています。

先日の文部科学省との接触や、内閣からの答弁書の内容に対する反応でもそうですが、いつも何か自分の意見とは異なる意見が公に表明されると、「バカ〇〇」とか「クソ〇〇」とか、口汚く罵ってきた橋下市長ですが、さて、今回はどのようなことを言うのでしょうか? 弁護士出身の市長が、さて、日弁連の会長声明に対してどのような態度をとるのか、興味深いところです。

ちなみに、今日から大阪府・大阪市の一体化に向けての「統合本部」の取り組みがスタートしたそうです。そのことは、下記の記事からもわかります。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201112270051.html (大阪府市一体化へ始動「統合本部」立ち上げ:朝日新聞関西2011年12月27日付け)

http://mainichi.jp/kansai/news/20111227ddf041010021000c.html (大阪都構想:府市統合本部、府市プラスへ始動「すべて皆さんの肩に」橋下市長らが25人に辞令:毎日新聞関西2011年12月27日付け)

ただ、毎日新聞の記事を見るとわかりますが、この立ち上げの式に、橋下市長、交通渋滞に巻き込まれて、咲洲庁舎へ30分ほど遅刻したそうです。咲洲庁舎の利便性をやはり、考えてしまいますね、こういうことがあると。大地震や津波などの災害が起こったときに、自治体首長の到着に時間がかかるような場所に対策本部を設置しないことを願います。

また、これが橋下市長自身ではなく、市職員が交通渋滞に巻き込まれて遅刻したなら、きっと彼はその職員を罵倒するのではないか。そんなこともふと、この新聞記事からは思ってしまいました。

<追記> 下記の新聞記事について。教育基本条例の在り方に関して、「公開で審議できないのなら、そこでやましい話をしていると思われてもしょうがない。むしろ、積極的に公開して、誰が何を言って、どういうプロセスで条例案が可決あるいは否決されるのかを明らかにすべきでは?」と思うのですが、大阪市教委の委員のみなさん、いかがでしょうか?

もっといえば、そういう「非公開」で何事も審議しなければうまくいかないような条例案など、市民の前に出すべきではない、と思うのですが、いかがですか?

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/111227/waf11122713300014-n1.htm (大阪市教委会議、維新条例案の審議、公開の動議を否決:産経MSNニュース2011年12月27日付け)


以前書いたものの紹介 -「教育基本条例案」への一日一言(21)-

2011-12-26 19:25:33 | いま・むかし

とにかく「スピード」がウリの「改革」をいま、やろうとしている大阪維新の会や橋下大阪市長・松井大阪府知事の施策に向き合っていくためには、「やりにげを許さない」ということがとても大事になってくると思います。具体的には、「彼らの打ちだした施策の結果、人々の生活がどのような状態になっているのかを、あらゆる領域において、フィールドワークやインタビュー、アンケート、写真等々さまざまな方法をつかって、できるかぎりきちんと記述・記録に残し、それを公に出していくということ」が大事なのではないかと思います。

このような対応をすることで、今すぐは大阪維新の会や橋下市長・松井知事などの動きを止めることはできなくても、「この人たちがかつて、どのような施策を提案し、どのようなことを言って、何を人々の生活にもたらしたのか?」ということが、数は少なくても、確実に誰かの記憶の中、社会的な記録の中に残ります。その記憶や記録の中に残っていることが、次の抗議・抵抗の動きを作っていく「コア(核)」を形成していくのではないか。少なくとも、私としてはそう考えています。

そこで、この場を使って、かつて大阪市の青少年会館条例廃止問題や、その後の大阪市内各地区の子どもたちの様子などについて書いた私の文章を、以下のとおり、ネット上で入手可能なものに限定ですが、紹介しておきます。

http://www.blhrri.org/topics/topics_0190.html

http://www.blhrri.org/info/book_guide/kiyou/ronbun/kiyou_0175-04.pdf (なお、この論文。文中に「青少年育成大綱」という表記が出てきますが、校正ミスです。正しくは「青少年育成施策大綱」です。この場をお借りして訂正して、おわびいたします。)

http://www.blhrri.org/info/book_guide/kiyou/ronbun/kiyou_0179-08.pdf

http://www.blhrri.org/info/book_guide/kiyou/ronbun/kiyou_0190-06_sumitomo.pdf

今のところ、まずはこの4つの文献になります。この4つの文献はいずれも、関市長期にすすめられた大阪市の青少年会館条例廃止と、これにともなう青少年施策の見直しが、大阪市内の各地区の子どもたちに何をもたらしたのか、ということを軸に書いています。

ちなみに、この一連の「青少年会館つぶし」の施策が実施されていた頃の大阪市政改革のブレーンは、あの上山信一氏。彼は今、大阪維新の会のブレーンでもありますよね。


子どもたちへのひどいクリスマスプレゼントー「教育維新条例案」への一日一言(21)ー

2011-12-25 05:14:14 | ニュース

http://www.ocec.ne.jp/yochien/kyotsu/list.html (大阪市教委HPより、市立幼稚園一覧)

この一覧にあるとおり、大阪市内の公立幼稚園(市立幼稚園)は、もともと、数がそれほど多いわけではありません。この一覧によると、区によっては1か所というところもありますし、そもそも24区すべてにあるというわけでもなさそうです。

ですが、橋下大阪市長は、この市立幼稚園を「民営化」する方針を昨日、出したようです。

http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201112240040.html (橋下市長、市立幼稚園「民営化」待機児童「ゼロ目標」:朝日新聞関西2011年12月24日付け)

この市立幼稚園を「民営化」すると、どういうことが予想されるでしょうか? 確実に所得の少ない層で、なおかつ家庭で就学前の子どもを育てている層に、さまざまなしわよせがやってきます。おそらく、「家計の負担増を覚悟して私立幼稚園に子どもを預けるか、もしくは、なんらかの形で就労の機会等を得て、保育所に子どもを預けるか」という選択に悩む家庭が増えるのではないでしょうか。

ちなみに、大阪市にも一応、私立幼稚園に子どもを通わせている家庭への補助が出る制度があります。それは以下のとおりです。

http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000002532.html (大阪市教委HPより:私立幼稚園に就園しているお子さんの保育料に対する補助)

しかし、これってあくまでも「保育料」への補助。私立幼稚園には制服その他さまざまな諸費用が掛かるケースが多いのですが、そこには補助はでませんよね。となると、私立幼稚園について、それぞれの家庭の所得の状況に応じて、「行かせたいけど、行かせられない」というケースが出てくることも十分考えられます。

公立幼稚園が近くにないけど、私立幼稚園に行かせるだけの経済的なゆとりもない。また、保育所に預けるにも、今は就労していない。また、就労ができたとしても、保育所には子どもを受け入れる余裕がない。そのような状況に置かれている家庭と子どもについて、大阪市としては今後、どういう対応をするつもりなのでしょうか? 

れでは「待機児童ゼロ」とかいいながら、「待機児童をどんどん増やしている」施策なのではないでしょうか? 自分たちの始めようとしている施策が、自分たちの別の施策を裏切っている。そういうことをわかってやっているのでしょうか?

ちなみに、先ほどの新聞記事によりますと、「待機児童」への対応も、橋下市長の方針では、今後の大阪市は各区に「丸投げ」のようですしね。彼はいままで平松市政期に、こども青少年局のスタッフあたりが努力してきたことを、どのように考えているですかね? 平松さんの施策は全部、否定から入るんですかね?

だから、市立幼稚園の「民営化」なんて施策、とてもではないですが、「改革、改革」とマスメディアでほめちぎるような施策ではないですよ。あきらかな「改悪」ではないですか。

また、長年にわたって、公立幼稚園を増設するよりも、私立幼稚園及び公立・私立の保育所を増設する方向で大阪市の就学前教育・保育に関する施策をとってきたのであれば、当然、公立幼稚園の数や就園児数は低い割合におさえられていきます。その結果として生じたのが、今の私立幼稚園の数やそこに就園する子どもの数でしょう。だから、私立幼稚園のほうが数も就園児数も多いからといって、公立幼稚園にニーズがないのかというと、そうではありません。「すでに、長年にわたって、そういう方向に誘導されてきたのだ」といえるわけです。

子どもたちが待ち望んでいたクリスマスに、このような施策の方針を指示できるような、そんな橋下市政を、はたして先月の市長選挙に際して、大阪市の有権者は選んだのでしょうか? きっとこんな改革が行われるなんてこと、想像もしていなかったのではないでしょうか? このような橋下市長の施策が、選挙のときに自分たちの思っていた「民意」と異なるのであれば、はっきりとそういうべきでしょうね。「いらんものは、いらんのだ!」と。

ちなみに、公立幼稚園には経費がかかりすぎる、教職員の給与が高すぎるみたいなことを言う人がいるのですが、実際にはおそらくその逆。私立幼稚園教職員の勤務条件、特に給与が、経営上の理由などから公立よりも低いレベルに抑えられているのが実情なのではないでしょうか。本来であれば、もっと高い給与であってもいいはずです。また、これはおそらく、公立保育所と民間保育所の関係にもいえることかと思います。そして、これもまた、私立幼稚園や民間保育所の運営に関して、長い間、財政的な面からの公的支援が低い水準に抑えられてきたことの結果ではないのか、と思ってしまいます。


「教育基本条例案」への一日一言(20)

2011-12-24 21:42:34 | ニュース

今日は7歳の誕生日を迎えた娘と、甥・姪を連れて、朝から六甲山人工スキー場に行き、いっしょにスキースクールを受講しました。その疲れが出ているので、とにかく、一言だけです。

大阪府・大阪市の「教育基本条例案」、いらないものは、いらない!

ところで、スキースクールに行って実感しましたが、子ども(たとえば小学生の頃)から自然体験活動・スポーツ活動のひとつとして雪山でのスキーなどに親しむことは、とても意義のあることだと思います。40代に入ってから子どもたちといっしょにスキーを教わっても、なかなか、子どもたちと同じようなスピードでは上達しませんから。やっぱり、心身ともに柔軟で、教わったらすぐに吸収できるような、そんな子どもの頃にスキーのようなことは学んでおいたほうがいいのではないか、と思いました。

ですが、日帰りでのスキーひとつとってみても、スキーウエアの準備にはじまって、スキー場への往復交通費、入場料、スキーの板などを借りる場合はレンタル料、昼食代等々、いろいろとお金がかかります。こうした学校外での子どものスポーツ活動・自然体験活動などについて、やはり公的な助成金がでるとか、なんらかの環境整備が必要なのではないでしょうか。でなければ、このような活動は、比較的生活の安定している家庭の子どもにしかできない、ということにもなりかねませんから。子どもの権利条約31条の休息・余暇、遊び、芸術的・文化的生活への参加の権利保障を、日本社会としてどう考えていけばいいのか。今日のスキーの場においても、あらためてそのようなことを感じました。


おそらく、こういう線では?ー「教育基本条例案」への一日一言(19)ー

2011-12-23 10:35:16 | ニュース

今日は資料の紹介だけ。以下の内容は首相官邸ホームページにある「教育再生会議」のページからのもの。例のワタミの会長と、いまの大阪府教育委員・陰山英男氏の両方がいた会議なので、たぶん、この線で「教育基本条例案」の修正が行われるのではないでしょうか。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku/top.html

「gaiyou0124.pdf」をダウンロード

「gaiyou1225.pdf」をダウンロード

「siryou0205.pdf」をダウンロード


今後「教育再生会議」への批判的検討が重要?-「教育基本条例案」への一日一言(18)-

2011-12-22 00:01:00 | ニュース

まずは、この記事から。

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20111221-OYO1T00246.htm?from=newslist (「道州制は大阪都壊す」嘉田滋賀県知事が橋下大阪市長を批判:読売新聞大阪ネット配信記事、2011年12月21日付け)

きわめてまっとうな発言だと思います。どのみち道州制ができればぶちこわす大阪都のために、大阪市や大阪府の行政のあり方を改革するというのは、エネルギーのムダ。そもそも、やる意味のない改革でしょうね。

次に、この記事です。あるブログに掲載されていた記事なのですが。

http://blog.livedoor.jp/woodgate1313-sakaiappeal/archives/1562609.html (亡霊の復活、安倍内閣「教育再生会議」の渡邊美樹氏が、府市統合本部教育アドバイザーに)

これでおわかりかと思います。大阪維新の会が「教育基本条例案」を通じて目指そうとする教育の姿は、あの「教育再生会議」を通じて、かつて政府サイドが一度はやろうとしてきた教育の姿に重なるわけです。

だから、今からもう一度「教育再生会議」が何をやろうとしていたのかを検討して、徹底的に批判をしておけば、だいたい、今、準備している「教育基本条例案」の第2案に対する批判もできるのではないでしょうか。

ちなみに、「教育再生会議」が何をやろうとしていたのか。基本的な情報は、次のページ(首相官邸のホームページですが)から得ることができます。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku/index.html

また、今回府市統合本部の教育アドバイザーに就任する渡邊美樹氏とともに、今は大阪府の教育委員を務める陰山英男氏も、この「教育再生会議」のメンバーであったこと。そのこともあえて、ここで書いておきます。

要するに、学校現場や教育委員会の意向を無視して、大阪維新の会が「教育基本条例案」を強引に出してきて、議会で通そうとしたことには反対であっても、そもそも、この条例案で狙っていたこと自体については、陰山氏、もしかしたらそれほど反対ではないのかもしれない。

もしかしたら、維新の会サイドが「修正に応じる」となって、なおかつ「教育再生会議」のかつて出した提案のラインで条例案の第2案がまとまるなら、案外、陰山氏はすんなり賛成しかねないのではないでしょうか。

油断は禁物、今後の府市統合本部や府教委・市教委の動きを注意深く見守り、何か気になる点があればすぐに「これはおかしい」と声をあげましょう。


関係者の見識を疑うー「教育基本条例案」への一日一言(17)ー

2011-12-21 23:02:43 | ニュース

http://sankei.jp.msn.com/smp/politics/news/111221/lcl11122120340002-s.htm (【激動!橋下維新】教育基本条例案、都も検討へ 公務員改革でも一致 石原・橋下対談:産経MSNニュース2011年12月21日付け)

この記事で対談している二人の見識ももちろんですが、このような対談を準備し、「法律違反の条例を作って国民的な議論を巻き起こすしかないと思っている」(橋下)とか、「国は継続性と一貫性をいうが、教育を破壊的に改革することが必要だ」(石原)という発言を、何の批判もなく掲載しているマスメディアの側についても、見識を疑います。

それから、次のネット配信記事ですが。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201112210055.html (維新教育基本条例案「法の規定と矛盾」文科相、橋下市長に:朝日新聞関西ネット配信記事2011年12月21日付け)

この記事そのものはきわめて妥当な内容なのですが、問題は橋下市長発言として紹介されているこの部分です。

「全国の市町村長や知事は教育について何も語れなくなる。どう考えてもおかしい。首長をばかにするような決定としか思えない」

あのですね、全国学力テストの都道府県別順位が悪かったことをふまえて、府知事時代にさんざん府教委に対して批判・非難をしてきたあなたが、いったい、どの口を開いてこんなこと言うのでしょうか? あきれてものが言えません。

また、あなたが現行法において、市長(あるいはかつて府知事)として持っている教育委員の任命権、あれはなんなのでしょうか?

さらに、自分たち大阪維新の会の側から、現行の教育制度の枠組みを逸脱するような条例案を議会に出しておきながら、それをとがめられてこの態度というのは、いかがなものでしょうか?

現行の法体系をバカにし、秩序を破壊しているのは、あなたたちの側ではないでしょうか?

私としては、到底、このような行為に及んでいる首長と、このような行為に及ぶ首長を代表としてかつぎあげている地域政党のあり方は、とても容認できるものではありません。やはり、「教育基本条例案」など、どのような修正案が出てこようとも、「いらないものは、いらない」と、強く訴えつづけるしかありませn。


とにかく、批判の声を出し続けることー「教育基本条例案」への一日一言(16)ー

2011-12-20 13:43:13 | ニュース

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111219/lcl11121921070012-n1.htm (激動!橋下維新 期待はすぐ失望に変わる スピード感ある成果を:産経新聞MSNニュース、2011年12月19日付)

「この記事を書いた記者の方って、物事をとらえる目線が維新の会寄りだな」というのがまるわかりで、「マスメディアの担い手自体が行政改革の推進派と感情的思考的に一体化して、どうするの? どこに行政改革への批判的なまなざしがあるの?」と言いたくなってしまう記事ではありますが。ただ、これで彼らがなぜ、次々に大急ぎで、いろんな大阪市・大阪府の改革提案や「都構想」実現に向けての諸提案を出してくるのか、その事情はよくわかりますよね。

要するに、「スピード感」を高めるように次々に改革を打ち続けて、人々の関心を引き付けておかなければ、彼ら自体が持ちこたえられないということ。

逆にいえば、「徹底的に出すもの出すものに批判・非難の声を高めて、彼らの改革のスピードを鈍らせれば鈍らせるほど、彼らのボロが出て、持ちこたえられなくなる」ということでもあります。

「教育基本条例案」に対する反対の動きも、今、ここで矛先を鈍らせてはいけません。

おそらく、この間のさまざまな批判・非難の動きを受けて、彼らは「教育基本条例案」を現行法と整合性のある形に修正しつつ、府教委や市教委と妥協を重ねながら、「学校選択制」などの提案をちらつかせて保護者などに「分断」を持ち込み、反対勢力を切り崩して、なんとか2月あたりの市議会・府議会で新しい条例案の可決・成立に持ち込むのではないでしょうか。

だとすれば、今から学校選択制への批判、学力テストの結果公開などへの批判等々、今までの彼らの教育に関する提案に対する批判を準備して、いろんなところで情報発信していくことが必要ではないかと思われます。

ちなみに、毎日新聞は次のとおり、橋下市長就任の日にあわせたかのように、「教育基本条例案」について根本的に疑問を投げかけたり、批判する記事を出しています。先ほどの産経新聞の記事と比べてみてください。

http://mainichi.jp/life/edu/archive/news/2011/12/20111219ddm013010038000c.html (教育基本条例案:「大阪維新の会」案、各地の教育界に拒絶感 教師「『罰』ありきの印象」/識者は政治介入を問題視:毎日新聞ネット配信記事2011年12月19日)


いよいよ始まりましたね、橋下市長の任期-「教育基本条例案」への一日一言(15)-

2011-12-19 20:56:10 | ニュース

今日は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のキム・ジョンイル総書記が「死去」とのニュースのほうが大きくて、マスメディアの扱いがかなり小さくなりましたが、いよいよ今日から、橋下大阪市長の任期がスタートしました。

今日は「教育基本条例案」の話とは別に、学校事故・事件関連の裁判の傍聴に出てきたので、そちらでいろいろと書きたいことがあるのですが、とりあえず、一点だけ。

あまりマスメディアが伝えていないかもしれませんが、橋下市長の初登庁にあわせて、大阪市役所周辺では、下記のようなチラシがまかれました。そのことを、あえてここで紹介しておきます。

Cce20111219_00000



どこが新しい施策なの?-「教育基本条例案」への一日一言(14)-

2011-12-18 19:42:05 | アート・文化

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111218k0000e040145000c.html (橋下新市長:近代美術館計画を白紙に「しょぼいのいらん」:毎日新聞ネット配信記事2011年12月18日付け)

そうですか、建設予定中の美術館の計画が「しょぼい」と判断されるなら、一から練り直しになるわけですね。だとしたら、「教育基本条例案」についても、多くの市民から批判を招いているわけですから、「こんなしょぼい条例案はいらん」とか言って、一から練り直していただきたいものです。

それから、この記事ですが、「もうちょっと、マスメディアで取材されてる方、勉強したら?」と思いました。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111218ddm002010074000c.html (橋下氏:就任前から改革案続々、19日大阪市長に:毎日新聞ネット配信記事2011年12月18日付け)

実はこのネット配信記事には添付されていないのですが、我が家に届いた毎日新聞本紙のこの記事を見ると、こども青少年局関連の橋下氏の改革案として、保育・子育て支援関連の「待機児童の解消(ゼロ化)」と「児童虐待防止対策の強化」をあげていました。また、教育委員会関連の改革案としては、「学校選択制の導入」と「中学校給食の実施」をあげていました。

しかし、私に言わせると、「どこが新しい施策なの?」「こんなの、前の市長期からの継続か、前より悪くなる施策じゃないの?」という感じ。そのことは、ちょっと保育や子育て支援、教育について勉強すれば、すぐにわかります。

たとえば、鳴り物入りの施策になりそうな「学校選択制」については、東京都品川区がすでに導入していますが、いろいろと問題点も浮上しています。そのことは、佐貫浩『品川の学校で何が起こっているのか』(花伝社)や嶺井正也(編著)『転換点にきた学校選択制』(八月書館)などでも指摘されているところです。

あるいは、「中学校給食の実施」については、いままでもさんざんこのブログで指摘してきましたが、「そもそも、大阪で今までやってこなかったほうが、全国的に見たら問題」という側面があります。また、今から4~5年前、一連の施策見直しのプロセスで、大阪市内の公立中学校で実施してきた給食を廃止してきたのは、いったい誰だったのか。あるいは、そのときに大阪の市議のなかには、「弁当をつくってくるのは親の愛」みたいな発言をした方もいるとききます。そのような状況のなかで、平松市長期に公立中学校での昼食の配達サービスみたいな事業をはじめたのではなかったのでしょうか。今までの二転、三転するような、学校給食に関する大阪市の施策の点検、反省抜きにして、こんな施策を安易に提案してほしくないですね。

さらに、いまどきどこの自治体首長でも、保育や子育て支援施策に関しては、まずは保育サービスの拡充による「待機児童の解消」くらい、誰だっていいます。それがなかなかうまくいかないのを、どのように行うのか、そこが首長のリーダーシップ、政策提案でしょう。役所の担当者に「待機児童ゼロの方法を考えてくれ」というだけなら、「誰だって言える」程度のことです。

そして、「児童虐待防止対策」。実は大阪市や大阪府というのは、今までだって、全国に先駆けて虐待防止の取組に全力を挙げてきたこと、この記事の書き手はおそらく知らないのでしょう。たぶん、今の「介入型」とよばれるケースワークの方法などは、大阪市や大阪府の児童相談所のみなさんが、90年代以来、いろんな苦労のなかで積み上げてきたものです。

また、大阪市は去年の今頃、「大阪市児童を虐待から守り子育てを支援する条例」を定めました。詳しくは下記を見てください。これ、平松市長期の実績の一つです。

http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000106580.html

このような子どもの虐待防止や子育て支援を積極的に行う条例を持つ自治体である以上、大阪市は誰が市長になろうが、子どもの虐待防止の取組を積極的にやらなければいけないのであって、逆に「さぼっていれば、市民が市長を批判しなければならない」のです。

だから、私などは、「こんな記事書いていていいのか?」とも思いますし、「これのどこが新しい施策なの?」と思うわけです。もうちょっと、マスメディアの関係者はきちんと勉強して、橋下新市長の繰り出す施策を批判的に論じてほしいな、と思いました。


いよいよ「正体」を見せてきた?-「教育基本条例案」への一日一言(13)-

2011-12-17 11:43:05 | いま・むかし

いよいよ、大阪府も大阪市も、平松市長の任期切れ・橋下新市長の就任を前に、大阪維新なるものの「正体」が表に出てきたようです。やはり、「教育基本条例案」を通すわけにはいかない、と思わせるような昨日・今日あたりの動きについて、マスメディアの伝えるところを紹介しながら書いておきます。

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20111217-OYO1T00239.htm?from=main4 (海自女性幹部ら校長に、大阪府教委:読売新聞関西ネット配信記事、2011年12月17日)

女性の退職幹部自衛官と大手企業の部長級職員が、今後「民間人」校長として大阪の府立学校の校長になるとか。

これ、「教育基本条例案」が本当に決まったあと、「どういう人がマネジメント能力に長けた人として、府教委のおめがねにかなって採用されるか?」を示す、重要な指標になりますね。と同時に、「教育基本条例案」がどんな学校を作りたいのかも、これでよくわかると思います。

日本の近代学校制度は「富国強兵・殖産興業」が掛け声だった明治維新期につくられたもの。すなわち、近代資本主義と近代国民国家(特に徴兵制)に適応可能な「人材」の育成、ということがアタマにあって、近代学校制度が日本でスタートしたとも考えられるんですよね。だとしたら、今回、府教委が「民間人」として選んだ府立学校の校長候補者は、どちらも、その延長線上に位置づく人材になります。

つまり、さすが「維新」。21世紀の今なのに、公立学校改革を通じて、19世紀後半の「明治維新」のやり直しをしたいわけですね。「時代錯誤」といえばいいのでしょうか。まぁ、「坂の上の雲」が大好きな人たちが、その時代小説を読む中で思い描いたロマンを、21世紀の今に追い求めているようなものだ、といえばいいのでしょうか。

次は、この記事ですね。読売新聞が続きますが。

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20111216-OYO1T00883.htm?from=newslist (維新教育条例案、大阪市教委が修正案、人事は絶対評価に:読売新聞関西ネット配信記事、2011年12月16日付け)

これについては、「いらんもんは、いらん」「修正案ではなくて、廃案の話をしよう」のひとことで終わりです。

おそらく大阪市教委の事務局サイドにしてみれば、橋下新市長就任時に何かいろいろ言われることを想定して、おそらく「先回り的」に準備を開始したのでしょう。そのなかで、いま、法令上の問題点を指摘する議論もあることから、その部分を削除するなどして、つじつまのあうような市教委案を作成したのでしょう。

しかし、どのような形で法的整合性を保った案を大阪市教委事務局が作ったとしても、もともとの基本理念がおかしいものは、「こんなもん、いらん!」というしかないのです。

それから、大阪市教委事務局が法的整合性を保った案をつくったら、維新の会がこの条例案でやろうとしたことが「骨抜き」になるとしたら、まさに、その「骨抜き」になった部分にこそ、この条例案の「本当の姿」があったことになります。

これもまた、おかしい話でしょう? 中身だけでなく、そんな法的に問題だらけの条例案をつくって、議会で可決成立して、ごり押ししようとしていたわけですからね。

ちなみに、毎日新聞のネット配信記事は、みんなの党からの質問主意書に対して、今の野田内閣が次のように答弁したと伝えています。

http://sp.mainichi.jp/m/news.html?cid=20111216k0000e010186000c (教育目標設定:政府「自治体の長に職務権限なし」と答弁書、毎日新聞ネット配信記事2011年12月16日付け)

それから、この記事です。

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20111216-OYO1T00254.htm?from=newslist (橋下新市長、大阪市幹部6人を更迭へ。「政治活動関わった」:読売新聞大阪ネット配信記事、2011年12月16日付け)

平松市長期の「市民協働」などの主要施策を担った幹部級公務員を「更迭」ですか。ということは、橋下新市長は「市民協働」なんて、さらさら「する気がない」ということですね。

しかも、この「更迭」される幹部級職員は4月の定期人事異動まで、人材開発センターに席をおくとか。これってかつて、国鉄が解体されてJRになるときに、労働組合の活動家たちを人材センターみたいなところにおいて、退職勧奨したやり方とどこがちがうのでしょうか?

こういう手法を、私はとうてい、許すわけにはいきません。

そして、この記事です。もはや、橋下新市長や大阪維新の会が、「誰の利益のために動いているのか?」は、きわめて明白です。

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20111216-OYO1T00465.htm?from=newslist (関西同友会、橋下新市長に交通局民営化など緊急提言:読売新聞大阪ネット配信記事、2011年12月16日づけ)

この記事でわかるように、橋下新市長や大阪維新の会がすすめようとしている諸改革は、「企業(それも大企業)のビジネスチャンス創出のための大阪」をつくるためのもの。当然、これは松井知事とて同じことです。この改革に協力したからとて、大阪市民・大阪府民がその改革の「おこぼれ」にあずかれる保障は、なにもないのです。むしろ、今までの生活の安定をぶちこわして、ビジネスチャンスをつくっていくという側面のほうが強いのではないでしょうか。

もうそろそろ、みなさん、彼らの「正体」に気づいて、批判・非難の声をあげていく時期ではないかと思います。『こんなもん、いらん!』『いらんもんはいらん!』『対案? そんなもん、「いままでどおり」の一言でおわりじゃ!』でいいと思います。