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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウム2016宝塚、無事終了(2)

2016-10-10 08:44:42 | 新たな検討課題

先ほどは昨日の宝塚市での「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウム、特に第4分科会の運営にあたって自分なりにやってみた「ちょっとした工夫」のことを書いてみましたが・・・。

今度は「実際にやってみて感じたこと、考えたこと」を、今年度の「成果と課題」風に書いてみます。

(1)「いや~。毎年思うけど、やっぱり子ども参加の分科会って、他の分科会でやってることと課題が重なっているよな~」ということ。

今日も分科会に参加している子どもたちが言ってましたが、たとえば「学校ではない第三の場所」としての子ども委員会や児童館での諸活動だとか、あるいは学校に通っていても異なる学年の子どもたちとの「防災合宿」とか、子どもたちが「ちょっといつもとはちがう時空間・仲間関係」に入ることで、「何か、今までとはちがう自分が出せるようになる」という面があるようです。

これっておそらく「居場所づくり」分科会の課題とも重なるでしょうし、また、そういう場を経験してはじめて何か自分のつらかったことが言えるとか、そういう子どもたちの話って「相談・救済」分科会の課題とも重なるでしょう。

そんなわけで、相談・救済の仕事をしたり、居場所づくり活動を経験してきた私が、分科会コーディネーターやっていることの意味がでてくるわけですけどね。

※とはいえ、私、連日「つまらない」かもしれないけど、そんな「日常」があるがゆえに、「非日常」の場が輝くということもあると思っているので、「日常」をあまり全面否定すべきとも思わなかったりもするんですけどね・・・。

そして、こういう「第三の場所」を自治体施策的につくっていくための「子ども条例」であったり、子どもに関する行政計画であったり・・・という意味もあるのかな、とか思ったりもします。

なにしろそういう条例・計画の後ろ盾がないと、バンバン、児童館とか、行政改革のなかで「整理・統廃合」とか言われかねないところありますから。

(2)「いや~。これってやっぱり『学校の取り組みとの連携』を模索してもええやろ~」と思うことも、いくつかありますね。

たとえば地方自治体のつくる施策に子どもの意見を反映させようとか、条例にもとづく子ども委員会で自分の暮らす「まち」の課題を調べて、改善策を提案しようとか・・・。

これってシティズンシップ教育、市民性の育成の取り組みといってもいいでしょうし、主権者教育とか言ってもいいわけですよね。

こういうことを、たとえば子ども委員会などを通じて、従来の行政の枠組みでいえば子ども・若者の社会教育(生涯学習)とか青少年育成の領域において、今後も積極的に取り組んでいかなければいけないでしょう。

と同時に今回、鶴見橋中学校の生徒さんたちに報告していただきましたが、たとえば「市民性の育成」なんてことって、「これって社会科教育や総合的学習の時間にやってもええこと、いや、むしろもっと積極的にやるべきこと」でもあるとも思うんですよね。

ということで、私などはこの「子ども参加」分科会で経験したことを、今後はどのようにすれば学校のさまざまな営みのなかに持ち込めるのか、ぜひ考えてみたいなって思いました。

だから今後、教育学の研究者としての仕事、がんばります。

ちなみに今日、生徒さんたちにつきそった鶴見橋中学校の教員は、社会科担当だとか。

さっそく川西市の18歳選挙権を考える高校生たちの動画、「授業で使いたい」とか言ってました。

(3)「いや~。この第4分科会、ほんまに準備も当日の運営もたいへんや・・・」ということ。

なにしろ「子どもが参加する子ども参加分科会」というコンセプトは大事にすべきなんですが・・・。

おとなたち、しかも自治体職員のおとなたちが、「お役所言葉」で会話しはじめますと、やっぱりフロアにいる子どもたちは「はあ・・・???」って感じになりますよね。

わりと子ども委員会の委員さんたちは、自治体職員との交流のなかで、「お役所」のおとなたちとのかかわりと「慣れている」わけですけど。

そういう子どもたちの様子に目配り気配りをしつつ、他方で「自治体シンポジウム」なので、自治体職員(首長部局・教委)や現場の職員(保育士や教職員、児童館職員など)、子どもにかかわるNPOや地域の人々、ソーシャルワーカー・カウンセラーなどの専門職、そして多様な領域の研究者や地方議員さん等々、いろんな顔触れのおとなたちの意見交流も大事にしなくちゃいけない。

その上、会場の制約で「○時までにこれは終わって!」とか言われていることも多々ありまして・・・。

そして、さっき(1)で書いたように、子ども参加の分科会にはいろんな他の分科会の課題とも共通するものがでてきます。そういったことも意識しながら議論を進めていく必要がありますし・・・。

今回は最初の基調報告を林大介さんに、最後のまとめを喜多明人さんにお願いすることにして、自分は当日の進行に「徹する」ことにしましたが、「これ、あとで報告記録集をつくる作業も意識して、メモとりながら当日、分科会運営するのは、めっちゃ大変やわ・・・」と、あらためて今日、実感しました。

ほんと、ほかのおふたりのコーディネーターさんに任せられるものを任せることができて、私は助かりました。

ありがとうございます!

以上が、今年の自治体シンポにかかわっての「成果と課題」みたいなものでした。



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