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できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

子どもの自殺防止策をめぐって(1)

2011-09-02 11:23:01 | ニュース

家族旅行や合宿2つのために、2週間くらい更新が途切れました。申し訳ありません。今日からまた更新を再開します。

さて、今日は大阪維新の会や橋下府知事の「教育基本条例」の話ではなくて、子どもの自殺防止に関する話です。なお、教育基本条例についてもいろいろ言いたいことがあるのですが、それはまた別の機会に譲ります。ひとまず、マスコミなどで条例案を小出しにして反応をうかがうという手法が「いかがなものか?」と思うことと、この条例案の内容に問題が多いと思うこと。この2点は指摘しておきます。また、条例案そのものについては、以下のページで見ることができますので、ご紹介しておきます。

http://osakanet.web.fc2.com/kyoikujorei.html

で、本題に戻ります。このところ、2学期を前にして、マスメディアでは子どもの自殺が相次いで報じられています。たとえば、次のとおりです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110830/t10015257571000.html (NHKニュース・札幌、中学生が飛び降り自殺か)

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110901/dst11090113210018-n1.htm (MSN産経ニュース、始業室当日、女子中学生飛び降り自殺か。東京・葛飾)

このような子どもたちの自殺に対して、文部科学省としても具体的な予防策などの検討をこの数年間、積み重ねてきたところです。そのことは、次の文科省のホームページを見ればわかるかと思います。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302907.htm (子どもの自殺予防:文部科学省)

そして、その検討作業のために設けられた調査研究協力者会議において、私もかかわってる全国学校事故・事件を語る会など、わが子の自殺に直面した保護者の団体からのヒアリングも行われました。その結果、子どもの自殺が起きた時の学校・教育行政の対応について、たとえば遺族側への説明や意見の聴取、初期調査と背景調査に関する具体的な手順(第三者機関の設置の在り方、報告書のまとめ方などを含む)といったことについて、2010年度(平成22年度)の調査研究協力者会議の報告書でまとめられました。また、今年6月には、この調査研究協力者会議報告の趣旨をふまえて、各都道府県・政令指定都市の教育委員会などに対して、文科省から子どもの自殺が起きたときの背景調査の在り方等について通知が出されています。

そこで今後、今年の2学期の開始前後を起きた子どもの自殺という悲しい出来事を前に、学校や教育行政当局が、この2011年6月の文科省通知、調査研究協力者会議報告の趣旨などをふまえて、どのように具体的な初期調査・背景調査を行って、遺族側への説明・意見聴取や事案の経過説明、再発防止策の確立などへとつなげていくのか。そこを各地で注意深く見守る必要があると思われます。

なお、この間、文科省においては子どもの自殺防止に関して、「自殺防止教育」という観点からの取り組みや、学校の教員などによる早期発見・予防の取り組みを充実させる方向で、さまざまな対応策の検討を行ってきました。その動きに対して、実際にわが子の自殺に直面した保護者の団体側から文科省へ、事故後の調査や遺族側への説明の必要性など、いろんな意見を出すなどの対応を続けていく中で、上記のような初期調査・背景調査に関しての調査研究協力者会議報告のとりまとめ、文科省通知の発信という流れに至っています。

したがって、この数年の「自殺防止教育」や「早期発見・予防」に関する文科省などの取り組みにもかかわらず、「なぜ、今回のケースでは子どもの自殺を防ぐことができなかったのか?」ということが、当然ながら、初期調査や背景調査を行う場合には問われてくるように思います。また、もしも毎年のように2学期の開始前後に子どもの自殺が相次ぐのであれば、そこに重点を置く「早期発見・予防」や「自殺防止教育」の取り組みをするべきでしょうし、そのためにも今、起きてしまった悲しいケースの検証作業が必要ではないかと思うのですが。

いずれにせよ、今後の各地での動きが注目されます。私としても注意深く、今後の動きを見守って、必要に応じてこのブログで情報発信をしたいと思います。


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