ということで昨日はFODプレミアムのダイヤモンドグローブ、メインは予想どおりの好ファイト、というのを通り越しての激闘でした。
真正ジムの実力派サウスポー大橋哲朗に挑むは、川島郭志の愛弟子としてデビューし、今は三迫ジムに移籍して初タイトルに賭ける川浦龍生。
初回早々から大橋が右リードを端緒に仕掛け、川浦もそれに応じてコンビを返す。
初回大橋、2回川浦と抑えたあと、3回は川浦が左ストレートをクリーンヒット、追撃のコンビで打ち込む。ストレートパンチを伸ばせる良い間合い。
この距離では大橋不利と見えましたが、当然大橋も陣営もそう見たのでしょう。
4回から徐々に大橋が、リードの応酬を捨てて距離を潰し、詰めて出る。
5回から明らかに大橋ペース。低い姿勢で左右ボディを叩きつけ、右フック上に返し、またボディを攻める。
6回、川浦はボディを返そうとするが、足を止めての打ち合いでは分が悪い。悪い展開を変えられない。7回も同様の展開。
8回もそれが続いていたが、この回終盤、大橋がボディと右フックのみならず、左も打ち込もうとしたところで、川浦の左がカウンターで入る。
後で思えばこの攻防の影響、ダメージだったのか。
9回、大橋変わらず前に出るが、ボディ攻撃で優勢だったときと比べ、上体が立ち、膝が伸びて腰高になっている。
そのまま前に出るが、これでは詰めた間合いに持って行けないのでは?と思ったところ、やはりというか、それまで足を使っても詰められていた川浦が、ジャブ、左ストレートを打つ間合いを得て、クリーンヒットを取る。
大橋の左右フック、ボディ攻撃も間合いで外し、防ぐ余裕が出てくる。
10回、互いに左のヒット応酬。しかし徐々に川浦が抜け出す。左クロスがズバリと決まり、一気に流れは川浦へ。
11回、川浦の左が再三ヒット。大橋は打たれ続け、防御が用をなしていない。ダメージと疲労が蓄積している。
そこへ川浦の左が決まり、大橋、はっきりと身体の軸がぶれる。レフェリーが割って入り、ストップ。川浦のTKO勝ちとなりました。
試合後、健闘を称え合っていた両者でしたが、大橋のダメージを見て、コミッションは担架を出し、大橋はそれに乗って退場しました。
その後については今のところ情報がありませんので、ちょっと心配です。念のため、だった、で済んでほしいと思います。
今まで、選手が大丈夫と言えば自分の足で歩いてリングを降りるのが普通でした。それを、選手にもプライドがあるから、と言う向きもありました。
しかし、表面上どう見えようと、体面が悪かろうと、試合後、頭を出来るだけ揺らさずに退場するため、担架をもっと使うこと、そうさせる権限をコミッションに与えることが必要だ、と思ってもいました。
大橋の盟友たる故・穴口一輝の件もあって、その辺の対応が変わったのは、良いことだと思います。
話は戻って、激しく展開が入れ替わる試合で、見どころあり、見応え十分の激闘でした。
両者に拍手したいと思います。日本上位同士の好カードでしたが、こういうのはやっぱり組むものですね。
日本チャンピオン高山涼深のコンディションがどうも安定しないので、国内上位はこれから、勝者たる川浦龍生が引っ張っていくことになるかもしれません。
全体的にまとまった攻防、ワンツーのキレ、左ストレートに威力があり、コンビネーションも装備。
展開ひとつでその良さが消えるところなど、課題もありますが、魅力ある好選手であることは確かです。今後の成長に期待ですね。
メインに比べてセミはいまいちな試合。ワジマゴ磯谷大心、西川宏次朗に判定勝ちでしたが、頭を下げて迫ってくる西川に、左ジャブを突けず、間合いを取れず、軽打を当てて左でプッシュ、という、これは如何なものか、という試合ぶりでした。ていうか、これは良しとされているのか、と。
西川も序盤にダメージを負っていて、前に出ることで保たせていた感じで、プッシュされたら何度も尻餅をつく状態。
なのに、ちゃんとしたボクシングの攻撃で下がらせることが出来ない磯谷に、ちょっとがっかりでした。
富岡樹と保坂剛の、これも注目カードは現状の勢いの差が出て、富岡が巧さを見せてリードしたまま終えたと思ったら、判定はドロー。
少なからず驚きました。まあ、間近で見上げて見たらそう見えたんや、と言われればそれまでですが...うーん。
小畑武尊は平安山太樹に判定勝ち。こちらは初回に左で倒し、妥当な勝利。
もうひとつ攻めの積み上げが欲しかったですが、久々に見て、巧さが生きていたので安心した、という試合でもありました。
接近された時の対処はかなり弱いので、今後相手は当然狙うでしょうから、今のワンツー基調の作りにどれだけアップデートするかでしょうね。
いやよい試合でしたが、セミとセミセミはダメ過ぎましたね。
富岡くんは良かったんですよ。先手、位置取り、ボディ打ちなど良い戦いでした。私は78対74だったんですがね。ジャッジよく分からなかったです。
磯谷くんもランカー対決差し置きセミやるレベルには見えなかったですね。拳負傷したそうですが、まともにパンチ交換しましたかね。西川さんも頭すぐ下げて相手あまり見ずに振り回す感じで、磯谷くんは露骨に頭押さえてるしで、正直両方負けですね。
私も大橋の反転攻勢を見て、これは大橋のものになったと思いましたが、そこから川浦がまたひっくり返しましたね。川浦にとってキャリアの岐路となる試合でしたが、見事に勝ち取ったわけで、ここからひと伸び、さらにあるかもしれません。大橋の失速は8回終了前の被弾かなと。けっこうまともに打たれていました。
接近戦は課題でしょうね。相手がパワーある場合はさらに。高山涼深戦ではそれが露呈しましたが、再戦があるとしたら、乗り越えねばならない試練です。
富岡、あれでドローかなと。確かに強振して攻めていた保坂にも見るべきものはありましたが。磯谷はセミ抜擢、終わってみれば相応しくなかったですね。