さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

こういう相手だからこそ「まさか」もあり得る? 山中慎介、9位カールソンとV12戦

2017-01-23 18:46:23 | 関東ボクシング



昨年、アンセルモ・モレノ戦でキャリア最高の「大勝利」を挙げた山中慎介の、
V12戦が発表されました。
3月2日木曜、両国国技館で9位カルロス・カールソン(メキシコ)と対戦とのことです。

1位スリヤン、2位ルイス・ネリー(ループ軌道の強打が怖いサウスポー)などの上位陣は、
選ばなかったというのか、先方様もなかなか決断してくれないというか、
どちらかといえば後者なのかもしれませんが、多分下位からになるだろうな、とは
誰の思いも同じだったでしょうね。

で、不勉強なもので見たことも聞いたことも無い挑戦者ですが、
レコードは23戦22勝(13KO)1敗というから、悪くはありません。
26歳、ティファナで活動、デビュー戦で負けて以降22連勝です。
対戦相手で見たことあるのはジョバンニ・カロくらいですが。

で、動画を探すと、なかなかありません。
ようやく見つけたのがふたつ。

デビュー10戦目、2013年2月2日。
この時点で6勝2敗ながら、このあと負けが込み、現在7勝11敗の
アーロン・オリバレスと対戦。
白と黒のトランクスがカールソン、赤がオリバレス。
名前だけなら後者が圧勝しそうですが...。





初回早々、長身のカールソン、右ストレートから左フックを返す。
しかしあまりに無防備、かつ間延びした繋ぎの隙間に、オリバレス左フック。
もろに食らってカールソン、ダウン。

初回だったので回復する余地があり、同じテンポで打ち合ってくれるオリバレスの
詰めの甘さにも助けられ、大柄なカールソンが徐々に攻め返す。
右ストレート、左フックで出て、左ボディでダメージを与え、右で倒す。
再開後、右でオリバレスをロープに飛ばし、TKO勝ち。

パンチはあるが、攻めは驚くほどの丹頂鶴ぶり、そして防御が甘すぎ。
4年前、キャリアの浅い段階とはいえ、なんだこの選手は、という感じ。
まあ、見ていて楽しい試合だといえば、そうでしょうが。


で、他には試合動画が見つからない。YouTubeの検索に引っかかったのはもうひとつだけ。
8分40秒過ぎからのハイライト。
2014年7月25日、ホセ・セン・トーレス戦。
こちらもこの試合時点では13勝4敗ながら、この試合から5連敗で、今は13勝9敗。
ちなみにKO勝ちはひとつだけ。
黒に白ラインがカールソン、紫とオレンジがトーレス。





極めて短いハイライトですが、見た限りでは打ちつ打たれつの打撃戦。
判定は僅差だったようで、相手選手は不満そうでした。



他は計量とか、スパーリングとかばかりで、最近の試合映像がないので何とも言えないですが、
このふたつの動画を見る限り、これで本当に山中慎介に挑むのか...という感じです。

大柄で、パンチはあるが、リーチを生かせず、左で崩さないで右の手応えを求めている印象。
返しの左フックも強いが、パンチを打ったあと、足が動かず、その場に留まるので、
相手の反撃を高い頻度でもらってしまう。非常に出来の悪いボクシングです。
山中からすれば、動画を見るまでもなく格下。見れば明らかに格下です。


ですが、まともな技術の攻防で相手になるようなレベルにないように見える、
こういう相手だからこそ...という不安も、同時にちらりと感じました。
それもまた正直なところです。

はっきりいって防御が甘いです。しかし、大柄で、打たれ強さはあるようです。
左が出ず、右から左の返しばかりで単調です。
しかし、打とうと思えば、遠くから強いパンチを打てる体格があります。
ボディブローにも、試合の流れを変えるだけの威力があります。

最近の試合ぶりが不明ですが、北米王座を3回KO勝ちで獲得していることもあり、
全体的に整ってきているか、或いは強打の威力を増して、より馬力をつけているかもしれません。

少なくとも、以前対戦したディエゴ・サンティリャンのように、
何がどうなっても間違いなど起こりはしないだろう、という、
全体的にまとまった弱さを持つ選手とは、ちょっと違っています。
部分的には突出したところがあり、危険ゼロの相手ではないかも、というか。


何より、かの具志堅用高が、V12戦でチリの強打者マルチン・バルガスに快勝した後、
予想有利と見られたペドロ・フローレスとの2試合における苦闘を経て陥落した流れは、
今の山中慎介が置かれた状況と、けっこう似通っているような気がしてなりません。

11度の防衛、世界戦12試合で25度のノックダウンを記録した驚異のパンチャー、
山中慎介にも、当然ながら歴戦の疲弊はあり、直近のモレノとの再戦における勝利は、
彼のキャリアにとってひとつの頂点でもあったが故に、その次の試合に、
何かのきっかけで深い谷底が待ち受けているのではないか、と。

もちろん、普通に、いつも通りに進めば、山中の圧勝で終わると予想はします。
しかし「こういう相手」に「こういう時」だからこそ、という怖さもありますね。
試合が始まれば「また、阿呆なことをつらつら書いてしもうた」と思うのかもしれませんが...(^^;)


※コメント欄にてhiroさんから紹介いただいた動画、ふたつ追加しておきます。

2015年8月21日、ペドロ・メロ戦。9分30秒くらいから。
黒トランクスがカールソン、白地に黒のラインがメロ。
ボディ攻撃の威力は増している印象ですが、防御の悪さはそのまま。
右食ってダウンしてますが、反撃して判定勝ち。




2015年11月20日、ホセ・エストレージャ戦。7分50秒くらいから。
白地に赤がカールソン、黒がエストレージャ。




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この日は尾川堅一が杉田聖と再戦するカードもあるそうです。
杉田は最強後楽園で見事な試合をしたとのことで、再挑戦の機会を得たわけですが、
前回もけっこう善戦していたので、好試合に期待ですね。

あと、ブライアン・ビロリアが帝拳と契約して、この興行に出るとのことです。
今のフライ級の状況を考えるに、色々思惑があるのやなー、という感じですね。

米国遠征の試合キャンセルという「被害」を経て、IBF指名挑戦権を得た岩佐亮佑も登場。
小國以載の復帰時期からすると、良い日程で調整試合が決まりましたね。


遠征といえば三浦隆司はもちろんのこと、関西勢も頑張ってほしいものです。
向井寛史は香港のスター、レックス・ツォと対戦
敵地で不利なことも多々あるにせよ、このチャンスはどうでも生かしてもらいたいものです。

帝里木下はプエルトリコでのアローヨ戦が延期とのことで、いかにもありそうな話です。
難しいことだらけの遠征試合とはいえ、出かける前(ですよね)からコレかいなと、
さすがにげんなりしますが。



コメント (13)    この記事についてブログを書く
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13 コメント

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Unknown (宇弓)
2017-01-23 23:08:35
しかし・・・
いくらなんでもこの不況のご時世で、このカードの陣容であの帝拳が両国に挑みますかね??

モレノ呼んだって大田区だったし、
この前の大阪神興行だって、長谷川とダブルで大阪文体でしょ??
両国なんてその倍くらいのキャパあるわけですが・・・

長谷川とダブルの予定で両国借りたのかもしれないけど、
引退するのなんて去年には確定してたわけで、
決まった時点でキャンセルすればいいわけだし、
・・・正直こんな無謀な勝負でま~たガンラガンラの会場でやられた日にゃ、
選手の士気にもかかわってくる気がするのですが・・・

それとの何かのサプライズがあっての両国開催なんですかね??
あるいはビジネスやマーケテイング戦略一切視のノープラン??
んまあ、大田区や有明に比べれば、格段に行きやすくてその辺は助かりますが(笑

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Unknown (れい れなーど)
2017-01-23 23:19:17
動画ありがとうございます。スリヤンとはもう見たくないし、ネリーだとまだキャリア不足な気がするし、他のランカーにはほとんど断られたみたいで、このカールソンが名乗り出たみたいですが動画みると山中の早い回のKOですね。仰る通り具志堅のようなこともあるので絶対がないのがボクシングですが。でもやっぱりアンチ山中の輩は「こんな相手か!」とまた叩き そうです。今回もやはり山中の試合は足を運びます。両国国技館はなんと西岡ウィラポン3以来です(笑)
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2017-01-24 06:01:57
>宇弓さん

長谷川とダブルでという目論見は、言われてみればそうだったのかなぁと思いますね。そうなってたらこちらは大変でしたが。このカードで東京開催だと、山中の地元後援会もフルに参加とはいかないでしょうし、厳しい面もありそうですね。この時期は相撲が大阪場所なんで、国技館は借りやすいのでしょうけど。サプライズといっても、当面何もなさそうですね。五十嵐あたりが国内上位と対戦するとか、粟生が例えば荒川だの岡田だのとやるとか、そのくらいしか思いつかないですね。
しかし大田区や有明が遠いなんて、気合いが足らんですぞ(笑)

>れい れなーどさん

スリヤンあたりはやる気満々なのかもしれませんが、陣営がどうかですね。一度負けていることもあり、上位同士の対戦で指名挑戦者決定戦とか、あるのかもです。しかしモレノにも負けているわりに、まだ1位なんですね。ネリーは一発の怖さはあるが、身体の軸を回すのでなく、肩と腕の遠心力を拳に乗せる、若干遠回りのパンチが多く、基本的には買いませんね。巻き込まれたら危ないけど...という印象です。もっとも最近の山中は、一試合に一度、必ず「サービス」しますんで、その辺がどう出るかですね。
国技館は見やすくて良い会場ですね。私もあの興行は足を運びました。佐竹政一のKO勝ちは見事でしたが、それ以外はいろいろ残念なことも多かったですね....。


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Unknown (hiro)
2017-01-24 22:32:56
カールソン選手、2015年11月のハイライト動画です(7:50~)ううむ、あまり変わってない感が・・・ですが、どないなもんでしょうね。いくらなんでも・・・という感じがありますが。対戦相手の方がまだまとまりはありますな。
https://www.youtube.com/watch?v=iUw4M2CHfwI

むしろ、ビロリア選手が日本で見れる方が嬉しかったりもします。これで、タイ人とかやめてほしいですが・・・。
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Unknown (月庵)
2017-01-24 22:39:46
パッキャオがジェフ・ホーンと防衛戦をやると発表した際、世界中が「ジェフ・ホーンって誰だよ?」と困惑しきりでしたが、今度は日本中が「カルロス・カールソンって誰だよ?」という困惑に包まれましたね。かくいう私も誰だよこいつ、という気持ちが大きすぎて動画を見る気すら起きませんが、現在までのキャリアを見る限りではどう考えてもメインストリームに躍り出る以前のローカルボクサーで、言ってみれば今の久保隼がリゴンドーに挑むが如き恐るべき無謀を感じます。

それでも彼があえてこの話を受けるのは、彼はサンティリャンと同じく、ここで断ったらもう二度とチャンスが来ないかも知れない、そんな弱い立場だからこそ無謀を承知で受けざるを得ない、と見るべきなんでしょう。現実には何度か転がされてレフェリーストップだと思いますが、そういうやけくそ気味な意気込みから来る強振だけは警戒しなきゃいけないでしょうね。ただ、この興行の数日後にはIBFバンタムの指名決定戦が行われますが、正直そちらの方が世界タイトルマッチと冠するに相応しい気がします。山中の今後がどう転んでゆくのか、何とも言えない気持ちで眺める事になりそうです。スパーパートナーとして来日するという16戦全勝のフィリピン人ホープの方が強かった、というオチだと色々と寒いですよね。
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Unknown (hiro)
2017-01-24 23:23:54
動画一個追加です。
https://www.youtube.com/watch?v=hEaTjFGxe1s
こちらは2015年8月のラテンアメリカタイトルですね。9:30あたりから。一回倒されているのを見ると、山中なら・・・ですが。うーーむ、益田とかと戦ったらどうなるか・・・
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2017-01-25 09:15:46
>hiroさん

動画発掘ありがとうございます。この「興行ごとハイライト」で、他に試合日時と照合して探せば、まだあるのかもしれませんね。こういうの、日本の興行でもアップしてくれたらいいかも、と違う話ですが思います。
しかし、一昨年の時点でこの感じですか。ハイライトですから、相手と離れて見合ったときにどんな感じなのかがほぼ見られませんが、打てる距離で打ち、打たれ、という基本部分は変わらない印象ですね。展開次第でこういう選手ほど怖い、ということもあり得る...のでしょうかね。しかし、案外簡単に倒れるんですね。このボクシングでちょっと打たれて倒れるようでは、どうやって世界戦で勝つんや、って話なんですが。
帝拳のビロリア獲得については、事情は何も知りませんが、人間誰にも色々思惑があるのやなぁ、という感じですね(笑)。

>月庵さん

まあ、確かにわざわざ見るほどの選手じゃないですが、初回KOとハイライトですから、時間はそんなにかかりませんので、また気が向いたら眺めてくださいませ(笑)ジェフ・ホーン、ホントに誰それ、でしたね。動画をちらっと見ましたが、若くて馬力があるオージー、という感じではあります。まあ日本のウェルター近辺の選手に、ランドール・ベイリーやアリ・フネカとやって勝つ選手がいれば、我々だって期待はするでしょうし、地元では人気のある選手なんでしょう...けどねえ。
カールソンの立場、立ち位置、挑戦への意志は、仰るとおりのものでしょうね。山中に緩みや不調があれば、何かの間違いが起こる可能性はゼロでもないと思いますが、一昨年段階の動画を二つ追加で拝見して、その可能性はさらに萎んだ感じでもあります。
山中の今後は、海外のリングで高額報酬が出る見込みもない限り、国内で具志堅の記録更新を目指すのでしょうね。考え得る強豪との対戦となると、スリヤンとルイス・ネリーが挑戦者決定戦をやってその勝者、となるんでしょうが、ネリーがスーパーフライに落とす可能性もあるようで、実際軽量級で一番賑やかになってきた115ポンド級への参戦を目指すというのは、いかにもありそうな話です。わざわざ日本に来て山中とやるよりも楽でしょう。これが昔日のタイトルひとつだけだったり、二団体時代だったらそうも言っていられないのでしょうが。
そうなるとスリヤンですか、って話ですものね。防衛記録は偉業であると思う反面、実に、実に広がりの無い話でもありますね。

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Unknown (hiro)
2017-01-25 16:41:28
世界9位、9位、9位かあ・・・というのはさておき、面白い試合として地域レベルでは人気者になりそうですね。何となく、ダウンからの回復力は高いのかなあ・・・と。
実は2016年の試合を探したかったのですが、Tompson's Boxingのハイライトがそこからは選手別になっていました。ひょっとしたら、テレビがついた試合は残さないのかなぁと。

しかし下の動画、この画面紹介で見ると、白(左)のおねーさんがカールソン、黒(右)のおねーさんがエストレージャと紹介されてるように見え、噴きかけました(笑)
返信する
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2017-01-25 22:04:55
>hiroさん

まあ、こういうときはとりあえずひらがなで「せかいきゅうい」と書いて納得するしかないでしょうね。自分で書いてて意味わからんですが、なんとなく。
サムネイルは勝手にそうなってました(笑)アップされた状態と違うサムネイルになるのは何故なんでしょう。
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Unknown (Neo)
2017-01-26 01:00:16
2015年の試合、どちらの試合も負けというか、なんというか。
モロに打たれるボクシングに見えます。しかも効いている。
仮に日本の選手だったら、これで世界は違う、事故になるかもね、というレベルでしょうか。
適切な例えではないと思いますが、例えば「遠さ」としては、
サンティリャンとやってた頃の佐々木の方が相当マシというか。
晩年に近づいて、こういう相手と試合するのはちょっとキツいという気がしなくもないです。
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