22日にのこのこと上京観戦するというのに、今日も今日とて姫路に遠征。
姫路駅から播但線で30分、扉の開閉ボタンを押さないと乗り降りできない電車に揺られ、
市川町ひまわりホールという会場に行って参りました。
かかる時間は自宅から会場まで、片道、正味4時間弱。
毎度のこととはいえ、ええ加減にせい、東京行けるわ!という感じなんですが、
今日はメインイベントの新旧対決が素晴らしかったので、小旅行レベルの長旅もまた楽し、でした。
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元々は地元、市川町の出身、その後角海老ジムで活躍するも、日本王座は引き分けで惜しくも逃し、
最強後楽園で堀川謙一に敗れたのを最後に、姫路木下ジムに戻ってきた大内淳雅は、
そこからさらなる苦難の道を歩むことになります。
復帰初戦で、エディジムの強打、油田京士をダウンさせ、優勢に闘いながら逆転の6回KO負け。
その後、網膜剥離を発症し、完治するまで1年4ヶ月のブランク。
再起初戦は6回戦で快勝し、二戦目が今日の試合でした。
対する上久保タケルは、井岡弘樹会長の秘蔵っ子として昨年2月にデビュー。
そこから年末までの10ヶ月の間に8試合を闘い、全勝して5KO勝ち。
しかし今年4月の9戦目で、大内を破って日本ランクに入った油田に初回KO負けで初黒星。
長身、リーチに恵まれ、スピードやセンスも感じさせるが、経験不足を露呈。
そして、まだ身体が出来ていない感があり、KO負けの影響も心配なところに、
大内のような、油田以上に実績のある相手と再起戦。試練の一戦となりました。
序盤、上久保が足を使ってジャブを出していく。コーナーからは前戦の結果を受けて、
距離を取れという指示がさかんに飛ぶ。上久保は手数は出るがミスも多い。
大内はじっくり見てブロックで防ぎ、右を合わせ、ヒットを取る。
3回、大内が左ボディから右クロス、対角線のコンビ。上久保後退、大内攻勢。
大内が良く見て右クロス。
上久保はリーチを生かして突き放す意識より、どうしても打ちたい、手応えが欲しい風。
大内は待っていれば来る、という感じで、その出鼻を再三捉える。この辺が経験の差か。
4回も大内が少ない手数でヒットを取り、優勢。
ところが大内がダックしたところに、上久保が連打から右アッパー。
これが決まって大内後退、失速。上久保追撃もミスが多いが、展開を変える。
5回から大内が足を使い、上久保が出る展開に。大内は余裕が失せ、打っても上久保を止められない。
上久保はもうひとつ精度に欠け、決定打を決められない。大内も上手くブロックする。
両者共に苦しいながら、果敢な闘いぶり。右のクロスとボディが相打ちになったり、
きわどい打ち合いの場面が再三見られる激戦に。
しかし7回、攻める上久保に大内の右がクリーンヒット、追撃がまた決まり、上久保後退。
大内が出て攻め込み、右が入って上久保がさらに打たれたところでレフェリーストップ。
大内がベテランの意地を見せ、新鋭上久保を退けた一戦でした。
試合数では3倍くらい違う両者でしたが、それぞれに抱えたキャリアの危機を乗り越えるべく、
相当な闘志、意気込みで臨んだという意味では、共通するものがあったのでしょう。
大内にとっては、かつて敗れた堀川謙一が、京都三人目の日本チャンピオンになったばかりで、
当然、堀川への雪辱と、タイトル奪取という目標のためにも負けられない。
上久保は、再起初戦で実績十分のベテランを食って、一気に再浮上したい。
両者のそういった背景を知っても知らなくても、この二人のボクサーが、
互いにどうしても譲れぬ思いを抱えて、懸命に闘っている姿は、充分過ぎるほどの熱量を持っていて、
それは確実に、ひまわりホールの客席にも届いていました。
勝った大内はもちろん、厳しいマッチメイク故に勝てなかった上久保も、
双方がボクサーとして、確実に何かを勝ち取った、そんな試合だったように思います。
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今日は前座も熱戦あり、逆転ありで、なかなか盛り上がっていました。
あんまり前座のことまで語られることのなさそうな興行ですので、メモ書き程度ですが、簡単に。
4回戦
56.5キロ契約 ○宗 雷門(むね らいもん/姫路木下) KO1R ●野崎純平(倉敷守安)
始まって早々に野崎の右で宗ダウン。しかし宗が右で倒し返す。
最後は宗がまた右で倒し、ツーダウン逆転KO。いきなり場内を暖めるオープニングファイトでした(^^)
68キロ契約 ●横山圭吾(姫路木下) TKO1R ○釜屋憲吾(エディタウンゼント)
短躯の釜屋が右オーバーハンドを決めて、横山よろめき防御姿勢を取れず、早々にレフェリーストップ。
これまた早いKO決着。
50キロ契約 ●白岩義也(姫路木下) 3-0判定 ○木村廉(高砂)
長身の白岩がややバランスを崩しながらも手数を出す。デビュー戦の木村は立ち上がり少しばたつくが、
徐々に落ち着いて、鋭い右で白岩を脅かし、勝利。
バンタム級 ○中島将太(姫路木下) 3-0判定 ●武田誠人(倉敷守安)
3勝2敗のサウスポー、中島が単発の左を当てては動く。
デビュー戦の武田はよく鍛えられている風で、右を狙って迫るが、ヒットの差は明白。
好選手でしたが、5戦やっているサウスポー相手のデビュー戦とは、さすがに厳しい印象。
6回戦
スーパーバンタム級 ○芹澤天明(姫路木下) 3-0判定 ●志水亮太(森岡)
短躯のファイター芹澤が左アッパーを多用する連打で攻勢。
5回には左フックを決めて優勢。そのまま押し切る。
プロの試合前には、恒例のキッズボクサーの試合もあって、これもなかなか見ものでした。
男女の組み合わせなんかもあって、それはちょっと...出来るだけ避けた方が、という気もします。
あと、攻撃力ばかりでなく、一回り大きな子を相手に、攻めあぐみはしましたが
丁寧なウィービングを再三見せる、防御センスのよさそうな少年ボクサーもいて、感心しました。
将来「ああ、あのとき見た子や」と思い出すときが来るかもしれません。
密かな楽しみとして、記憶しておきたいと思っております。
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