今頃ですが、日曜日の生中継について簡単な感想から。
ルーク・キャンベルの試合映像は、ちらほら程度しか見たことがなかったですが、
このくらいならまあ、普通に勝つだろうと思っていました。
しかし当然ながら、金メダリストがプロの世界戦に出るとなれば、その大舞台に向けて
万全の準備をし、さらに自分の良さを出してくる。その辺を読み違えておりました。
ホルヘ・リナレスの対サウスポー戦といえば、あの忌まわしき?アントニオ・デマルコ戦ですが、
その少し前のホサファト・ペレス戦なんかも含め、けっして得意とは見えなかった記憶あり。
ことにデマルコ戦は、立ち位置の悪さを身体と手のスピードで補う型ながら、
自分の速さを序盤から全部相手に見せてしまい、慣れられて徐々に盛り返される、という流れの末、
痛烈なKO負けを喫しています。
今回の試合も、大まかに言って、その延長線上だったかな、と思います。
あの時よりもライト級での経験を積み、安定感を増したリナレスの成長があって、
キャンベルの追い上げを、ラスト二つで断ち切っての勝利でしたが、
マイキー・ガルシア戦の実現を強くアピールする快勝というわけにはいきませんでした。
もし、この試合内容をイギリスでやっていたら、おそらく判定は、皆さん大喜びであちらだったでしょう。
何でこのカードをアメリカに持ってくるのかな、と不思議だったんですが、
陣営の皆さん、さすがはプロやなぁ、と見終えて納得したようなことでした。
しかし、サウスポーとの試合で、スピードと、パンチの切れで勝てる、という前提があるとはいえ、
何も、あんなに分の悪い立ち位置を取り続けることもなかろうに、と思います。
マイキー・ガルシア戦は、タイプは違うが、それぞれに正攻法のボクサーファイター対決として
実現したら是非見たいと思いますが、これでもしロマチェンコと対したら、かなり厳しそうです。
まあ、ロマチェンコの、最近の自信過剰ぶりも、違う意味で、如何なものかと思いはしますが。
何にせよ、若々しい風貌のリナレスも、いつまでも若いわけじゃありませんし、
本人が希望するビッグマッチへと進んでもらいたいな、と思います。
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日本「人」初の、世界ヘビー級タイトル挑戦なるか、という話
(日本のジム所属としては、オケピーことオケロ・ピーターが挑戦しています)。
以前も、海外の報道で出ていたそうですが。
王者サイドが、アメリカか日本、とコメントを出したようですが、
おそらく日本の興行事情などは理解していないのでしょうし、
やるならお出かけになるんじゃないかなぁ、と思うんですが。
層が厚いの薄いの、という以前に、ヘビー級ボクサーの活動そのものが僅かで、
それを想定して作られていない、日本ボクシング界の現状からすれば、
藤本京太郎の「孤軍奮闘」は、現時点でも充分に見事なものです。
挑戦自体は、予想は当然厳しいでしょうが...11月予定の次戦に、
勝てると決まったわけでもないですし。
しかし、なんとか実現してほしい、とも思います。
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高山勝成、台湾にてAIBA会長を訪問。
アマ選手登録を訴えた、ということですが、そもそもなんで選手本人がそんなことを訴えないかんのですかね。
AIBAがプロ選手の五輪出場を認めているのに、日連だけが認めていない。何それ?の一語です。
日連は、いかにも筋の悪そうな偉いさんのお話が、週刊誌の誌面を賑わしていたりしますが、
そういうお話を全部飛ばしたとしても、傍目には理解不能な異様さです。
五輪に選手は出すが、それは自分たちの勝手で選り好みした選手の内から!ということですものね。
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井上尚弥、次は統一戦を希望。
ジェルウィン・アンカハスとの交渉は、指名試合のこともあって難しくなっているとのこと。
先方の条件闘争なのかなぁ、とぼんやり思ったりもしますが。
何しろ井上のために、大きな試合を組もうにも、日本で、年末に、とかいう足枷がつく限り、
どうしたって難しくなります。井上が非常に強いせいでもありますが。
結局、ジムやTV局の都合を取っ払って、平場に出て、何試合か続けてやって、
そこで勝ち続ければ、全部とはいかずとも、ほとんど片付く話ではあるんですが。
それが出来ない前提ですから、なかなか上手くはいかないですね。
IBFの指名挑戦者は、あのジョンリエル・カシメロに勝ったジョナス・スルタンですが、
いずれにせよ比国対決になりますね。
これが30年前なら、比国の興行では出ないような金額を提示した上で、一試合待ってもらって、
日本人ボクサーとの対戦を割り込ませる、ということは普通にあったのでしょうが。
今は日本も、比国も、それぞれに事情は違ってきているでしょうし、どうなるものやら。
もしアンカハスが無理なら、せめてクアドラスのような元王者クラス、
あとはアローヨ兄弟とかはどうかなあ、と思ったりもします。
「オレどん」は、さすがにパスでお願いしたいものですが。
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ジェイク・ラモッタ死去。
無知なもので、まだ存命だったのか、と驚いたような始末です。
ボクシング映画って、最近また、数が増えてきたような気がします。
デュラン様の伝記ものとか、ミッキー・ウォードや、パジエンザを取り上げたものとか。
フィクションのも、ロッキー・シリーズは形を変えて?まだ続いていたり。
しかし、そこそこ長くボクシングを見続けていると、一生懸命、劇的なお話を作られても、
それこそ府立の地下で見る、普通の4回戦の方がよほど劇的やったりするからなぁ、とか思ってもいます。
まあ、そんな奴に見せるために撮ってるんちゃうわい、と言われたら返す言葉も無いですが...。
ただ、何事にも例外はあるものでして。
「レイジング・ブル」と「どついたるねん」の2本だけは、
現実のそれに迫る、或いは肩を並べるほどに「ボクシング」でした。
闘うことに囚われた人の心。それなくしては生きられない、ボクサーの宿命。
横溢する「生」のエネルギー。それと裏腹にある身体の痛み、心の「傷み」。
それらを抱えた戦士たちが、辿り着く先は何処なのか。求めるものは何だったのか。
天才シュガー・レイに初黒星をつけた、ブロンクス出身の猛ファイター、
ラモッタの生涯を、余計な虚飾なしに描いた、モノクロの1本は、
実際のラモッタの試合ぶりなど、ほんの僅かな映像でしか見たことのない者に、
現実のそれと同じくらい、強烈なイメージを焼き付けました。
私にとって、ロバート・デニーロはまず何よりも「ラモッタ演った人」でした。
追悼のメッセージに続きたいと思います。ご冥福を。