さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

叩いて怯ませ、攻め立てる 井上尚弥、まずは順当な米国デビュー

2017-09-10 15:27:39 | 井上尚弥



ということで3週目の生中継、感想文。


井上尚弥は総じて、ちょっとだけ硬いかな、と見えました。
アントニオ・ニエベスは、最初向かい合ったときは、けっこう大きいなと感じましたが、
ガードの上を井上が強く叩くと、その威力を実感したか、ただでさえ固めた防御姿勢が
改めて強くなってしまい、完全に怯んだ状態に。

井上はジャブを突いて、右を叩く。しばらくはガード、ブロックの上でもいい、という風。
これは長引くかもなと思った2回、左ボディから右を上に返した好機を、
拍子木の音をゴングと勘違いして逃してしまったのが痛かった。
ここで詰めてれば「衝撃デビュー」になりえた試合でした。

5回、ボディで倒し、6回終了後の棄権は極めて妥当で、井上の圧勝でしたが、
4回くらいから、左偏重にも見え、また拳傷めたかな?という印象も。
過去の試合で左一本になったときのバランス、或いは表情が再現されたようにも見えたんですが、
その辺はどうだったのでしょうか。問題なければいいのですが。

勝ち方としてはまずは無難、とはいえ井上の衝撃的な強さが存分に出たかというと、
そこまでの印象は残せてないかな、というのが率直なところ。
やはり海外リングに出ると、若干、国内での試合よりは滑り足が悪くなるというか、
ちょっと戦力を削られる何かがあるのかもしれません。

減量、体重調整の方法など含めて、今後、もっと大きな試合、
強敵相手に闘うときのための経験としては良かったのでしょうが。

とはいえ、勝ち自体は当然、ということ自体が、やはり井上凄いなぁ、とも思います。
何でもええから勝ってくれ、ではなく、内容や見た目が気になってしまうレベルにあるということですから。

ニエベスは、井上が早々に叩いて怯ませてしまったから仕方ないのかもしれませんが、
身体もあるんだし、もうちょっと「来て」ほしかったですね。
悪い選手じゃないし、弱いとも思わないんですが、これではなぁ、という感じでした。


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メインは、前回の結果が両者の力関係を変えてしまったのだなぁ、という一戦だったかなと。
過去の実績、本来の技量からすれば、こういう結果は誰も想像していなかったけど、
時の流れは残酷で、今現在の力関係こそ全てなのだ、というボクシングの酷薄さを、
改めて見せつけられたような試合でした。

あのカウンターで決まった右フック二発は、少なくともあれほど強く打たれ、
というよりも「差し込まれる」余地があったことに驚きました。
あの右フックが出る隙間を、ロマゴンが連打なり、身体の寄せなりで埋められずに、
完璧なタイミングで打たれたことは、もう彼の時が過ぎ去り、終わりを迎えたという答えなのでしょう。

元々、対サウスポーで右リードを軸に攻めるタイプが、負けるときのパターンではありましたが、
ロマゴンの特殊な連打能力がそれを補って、攻めて勝てるだろうと見ていたんですが。

井上尚弥戦は、結局、実現しないままに終わることになりますね。
友人がよく「八重樫に勝った次に、ぶつかっておけば良かった。倒して勝てたのに」と言っているんですが、
今振り返ると、勝ち負けは置いても、本当にその通りだったのかもしれませんね。やっておけば良かったのだと。

井上尚弥の「次」は果たしてどうなるんでしょうかね。
シーサケットとの対戦を目指して、減量に耐えてスーパーフライに留まるのか、
それともバンタムに転じて、それこそルイス・ネリー攻略を目指すのか。
何にしろ、長く思い描いていた「情勢」は、決定的に変わってしまいました。

ボクシングって凄いものだな、としみじみ思ったりします。
人が思い描いたとおりになんて、そう簡単になってはくれません。だから面白いんですが。




コメント (19)
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