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世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

さようなら

2014年02月28日 | Weblog
他部署の次長の最終出勤日。
仕事を取られる、一人だけ会議に呼ばれないといった壮絶ないじめが3ヶ月ほど続いた。
退職願を出して2週間、次長は会社を休んでいた。

いじめていたのは、直属の上司の部長。
ひどかった。みんなが会議に呼ばれているのに一人だけポツンと席に着いている姿にこの三ヶ月ほど、胸が痛かった。
周囲の人も彼を助けたかったらしいのだが、なんせ、組織。「次は自分がターゲットになるのでは」と思うとなにもできなかったっぽい。
女性社員が次長と話していると、あとで部長がその女性社員を呼び出し「何を話していたんだ?」という、秘特高ばりの尋問があったらしい。
とにかく、パワハラまがいの露骨ないじめだった。



NHKの「いじめをなくそう」という啓蒙CMを見るたびに
「いじめか。学生は大変よね」
と他人事に思っていた。
まさか、36歳の私が住む世界でこんなに酷いいじめがあるとは。

しかも役員が54歳の次長をいじめるという、人生の功徳を積み重ねてきた大人が暇つぶしにいじめを行うのだから、会社の品位が疑われる。


結局、次長は追いやられてしまった。
組織の怖さを感じた。

階段で次長に会った。
互いに
「お世話になりました」
と挨拶をしたが、辛くて泣きそうになってしまった。
さほど仕事で接触していたわけではないのだが。
それでも13年間、毎日顔を見合わせ、喫煙室で毎日話していた仲間との別れは辛かった。
もう二度と会えなくなる。
喫煙所で笑いあった日が雪のように溶けていく。

外に出ると、空気はあたたかく、梅の香りまで漂ってきちゃってて、「卒業」という単語を感じさせた。
こんなに悲しい気持ちなのに、空気が読めない空気め・・・と思った刹那、涙が出てきそうで困った。
飲み込んだ涙の味と梅の香りは、たぶん一生忘れない。

夕方、次長は静かに去っていった。