世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

2000年の夏の日のように

2014年02月12日 22時19分46秒 | Weblog
同期のナオエと私は顔が似ているとよく言われる。
私たちは会社案内で同じページに載っていて、見比べてみると…まるで双子みたいである。
ナオエは店長としてバリバリ働いていて、新卒研修の講師もやる。
そんな彼女が近々会社を辞めるらしい。
何も聞かされていなかった私は我が耳を疑った。
どうして?って。退職と彼女が結びつかない。



2000年の春…新卒研修。
私たちは出逢った。
ナオエは明るくていつも周囲を笑わせていた。
ナオエは同期で一番背が低く、「ナオエリーナ」という奇妙なあだ名を付けられてみんなに可愛がられていた。
私の同期は前期の新卒の4分の1程しかおらず、非常に結束力があった。
月1の研修の後はリクルートスーツ姿で居酒屋でどんちゃん騒ぎ。
あの時ばかりは大学の延長のような錯覚を覚えた。

みんなで公休日を合せ、新宿で合コンをしたこともあった。
「お母さんが『合コンに行くんなら』と言って髪を結ってくれたの」
と自慢げにポニーテールの髪を揺らして笑うナオエ。
眩しい2000年の夏の日。
彼女の揺れる髪の向こうには、青空の下で新宿の高層ビル郡が光を放っていた。


二次会のカラオケでプッチモニの「ちょこっとLOVE」をマジモードで歌うナオエ。
しかも気付いたら私まであの振付で踊っていたという…。
どん引きする殿方たち(たしか商社マンだった)と別れるとき、体裁だけのメルアド交換。
23歳の夏はソーダ水のように弾けていた。


月日は過ぎ、ナオエは地方店舗の店長になっていた。
天性の明るさと真面目な仕事ぶりで有名店長になった。
8年ぶりに関東に戻ってきたナオエは、近所の住人に出戻り疑惑を掛けられたそうだ。


同期は一人辞め、二人辞め…、入社14年後の今、片手とちょっとで数えるほどしか残っていない。
私以外の全員が店舗での販売スタッフなので休みが合わないので会う機会も少なくなっていった。

寂しい。
でもこれからは「元同期」として新たな関係の中で付き合っていけたらなとも思う。
また会ったら、2000年のあの夏の日みたいに笑い転げたい。「ちょこっとLOVE」、マスターしておくね。