晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

楡周平 『クーデター』

2012-05-15 | 日本人作家 な
もしも、この「平和ボケ」した日本に、いきなりどこかの国が攻めてきたら・・・
という小説は前に読んだことがありましたが、その「どこかの国」もトップが
死去して3代目が就任してというゴタゴタはありましたが、まだ現実にはなって
いないので、まあ良かったといいますか。

『クーデター』の中で、北陸地方にある原子力発電所が出てくるのですが、
今まさに再稼働問題に揺れていますね。そこがもしも武装集団に狙われたら・・・
文中にも出てきますが、もし爆発なんてことにいなれば放射能が漏れ出して、
ここは人が住めなくなってしまう、と。

CIAがモスクワからあるメッセージを受け取ります。それは、マフィアが武器
を日本人に売った、というもの。しばしばヤクザが拳銃を密輸していますが、今回
の取引はそうでもなさそう。

日本海上で武器を受け取ったのは、元自衛隊員という肩書きの男と他数人。
彼らは何者なのか。

またもやCIAはロシアマフィアが密輸をしようとしているという情報をつかみます。
どうやら北朝鮮が絡んでいるらしく、たまたま日本海を航海していたアメリカ海軍の
潜水艦に、密輸をしている貨物船の爆破を命令。
しかし、潜水艦が魚雷を発射する前に、貨物船は自爆して、潜水艦は貨物船の真下に
いたために沈没してきた残骸に激突、緊急浮上しますが、その場所は日本と北朝鮮の
海の国境線すぐ近く・・・

戦地から戻ってきた戦場カメラマンの雅彦は、久しぶりに恋人でキャスターの由紀と
再会しますが、由紀はちょうど北陸の原発の取材で出かけます。
そんな中、飛び込んできたのが、潜水艦が国境沿いに浮上したというニュース。

そして、その日の夜、武装集団が原発の近くにいると警察に電話があり、現場にかけ
つけた警官、警察車両や機動隊が攻撃されます。
武器に期間中や追撃砲を使っていて、これは北朝鮮の軍が攻めてきたのか・・・

しかし、それにしては、どこか出来過ぎの感があると思う雅彦。この武装集団は
何者なのか考えているときに、なんと由紀が、現場に行ってレポートするという
のです・・・

そのあとにも、アメリカ大使館に車が突っ込んだり、国会に青酸爆弾が仕掛けられ
たり・・・

こんな状況でもありながら、政府はちんたらぽんたらと、責任問題だの、次の選挙
だの、どうでもいいことで自衛隊の発動に二の足を踏みます。
はたして首相は発動の許可を出すのか。

派手で血なまぐさいシーンもありながら、戦場カメラマンとキャスターの話もあり、
このふたつのストーリーをバランス良く織り交ぜていてどちらの邪魔もせず、見事。



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