晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宇江佐真理 『泣きの銀次』

2016-07-24 | 日本人作家 あ
ひさしぶりに本を読みました。新聞とかは毎日見てたので、別に活字嫌いになったとかではなく。
ということはこのブログの更新もできるはずもなく・・・
1ヶ月まるまる更新なしはかろうじて食い止めることができましたね(汗

さて『泣きの銀次』ですが、岡っ引きの話です。

岡っ引き、または「目明し」ともいいますが、かれらは公式に逮捕権限があるわけではありません。というのも、北町と南町の奉行所、今でいうところの警視庁ですね、これは幕府公認の、ちゃんと扶持米も出るのですが、江戸の人口、面積がどんどん増えていくのに、同心の数は増えず、同心は私的に部下を雇っていたのです。

岡っ引きたちの素性は、純粋に江戸の治安を守る手助けがしたいと、他に生業がある人がなったりしますが、その他は、元盗賊だったり、チンピラみたいなのが「蛇の道は蛇」ということで岡っ引きになったりしたそうです。

町奉行として給料がもらえるわけではないので、仕事があればいいのですが、仕事がない岡っ引きは「地廻り」と称して自分の持ち場エリアにある店から良くいえば治安維持の協力費、悪くいえばみかじめ料をもらって生活してたそうで、中には強引に金を要求するのもいたそうで、じっさい「目明し禁止令」が出たこともありました。

主人公、銀次は、実家は小間物屋の問屋で長男なのですが、家督は弟に譲って今は岡っ引き暮らしをしています。十年前に、妹のお菊が殺されて、なにがなんでも下手人を捕まえてくださいと、この事件の担当だった同心の表勘兵衛に頼みますが、他にも未解決の事件が山積していて、銀次は、自分も犯人探しの手伝いをしたいと言い出します。はじめこそ断った勘兵衛でしたが、そのうちに「こいつは使える」と判断し、自分の小者、つまり岡っ引きとして採用したのです。

ですが、岡っ引きになったということは、妹殺しの犯人探しだけしているわけにもいかず、他の事件の捜査もしなければいけません。しかし、殺しの現場に行って死体を見ると、銀次は妹のことが頭に浮かんで涙が止まらなくなるのです。どの現場でもそうで、いつしかついたあだ名が「泣きの銀次」。

ある日のこと、上野不忍池の近くを歩いていると、弥助という岡っ引き仲間が誰かを見張っています。その相手は叶鉄斎という男。
鉄斎は、幕府学問所である昌平黌の先生で、今は私塾を経営している、有名な学者ですが、なぜ弥助は鉄斎を見張ってるのかというと、この男の近辺で次々と殺人や放火といった奇妙な事件が連発していたのです。その一連の事件の中には、銀次の妹お菊も入っていて・・・

しかし、大名とも付き合いのある鉄斎を調べようにも町奉行や、ましてや岡っ引きは相手にならず、いつか尻尾をつかんでやると勘兵衛も銀次も思っていたのですが・・・

銀次のプライベートないろんな話も出てきたり、文庫で300ページとそんなに長くはないのですが、読み終わったあとに、なんかずいぶん長編を読んだ気になりました。捕物帳の時代小説ミステリとしても面白いです。



コメント
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