晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

浅田次郎 『一路』

2016-04-03 | 日本人作家 あ
ちょうどこの作品が単行本で出版されたころでしょうか、NHKで浅田次郎さんと女優さん(どなたか忘れましたが)が、この話に出てくる参勤交代の中山道コースを旅するといった番組をやってまして、番組は面白そうで見ようと思ったのですが、この作品のあらすじを知り、ぜひ読みたいと思い、番組を見てしまうとネタバレがあるのではないかと、結局その番組は見ませんでした。

今にして思えば、録画して本を読み終わったら見るぐらいのことはできたのではないか、と軽く後悔。あー。

さて、この作品のメインは参勤交代です。歴史の授業で習った「参勤交代の目的」とは、出費をさせることでとにかく謀反の目を摘む、ということですね。徳川の治世も200年続いて、そもそも参勤交代なんてなんのメリットもないじゃねーのと誰もが思う江戸末期、美濃国、田名部藩の江戸詰、小野寺一路ははじめて田名部の地に赴くことに。

というのも、小野寺家の当主、つまり一路の父親が急死して、家督を相続するため。なぜ急死したのかというと、小野寺の屋敷が火事で全焼してしまったのです。失火は大罪で最悪の場合は御家取り潰し。そこで、一路に無理難題が。小野寺家は代々、参勤道中御供頭という役職を担っており、まだ19歳の一路は次の参勤交代でこの御供頭の役となり、もしなにか道中に不手際があれば取り潰しというもの。普通、役目を継ぐには、見習いとして数年、助手のようなことをやって、相続となるのですが、一路は父から全く何も教わってません。

唯一、頼りになるものといえば、焼け跡から見つかった小野寺家に伝わる「行軍録」という、参勤道中のマニュアル本。ですが、この本が書かれたのは江戸の初期。参勤道中とは、たんに江戸と藩を行き来する制度なだけではなく、将軍家をお守りするために馳せ参じる、いわば「戦」なのです。その名残が武士が宿泊する宿は「本陣」というのです。

さて、こんな200年も昔の本を参考にして、江戸までたどり着けるのか。そして田名部藩にうごめく黒い権謀術数・・・
当代の城主は「うつけ」との評判なのですが、はたして殿のそれは演技なのか、それともホンモノのうつけなのか・・・

浅田次郎さんの作品は2パターンあって、ひとつは「きんぴか」や「プリズンホテル」といったオフザケ満載テイストの作品、もうひとつは「鉄道員」や「壬生義士伝」といった、オフザケ要素の全くない真面目な作品、とあり、この「一路」は、どちらかというと前者。のような気もするのですが、後者ともとれて、そのメリハリというかギャップが好きな人にとってはどっちかに寄せてほしかったでしょうね。

もうロードムービーですねこれは。






コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 平岩弓枝 『花影の花』 | トップ | 平岩弓枝 『鏨師』 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ドラマを先に見ました (こに)
2016-04-04 08:09:06
NHKのドラマはかなりアレンジされていましたが、それはそれで面白かったです。
ただ、ドラマで無事江戸に到着することを知っていたので原作のワクワクが少々削がれてしまったのが残念だったかな。
ともかく、面白い作品ですね!
返信する
Unknown (ロビタ)
2016-04-05 14:24:24
こにさん>

コメントありがとうございます。
ドラマはもしDVDが出ていれば見てみようと思います。
返信する

コメントを投稿

日本人作家 あ」カテゴリの最新記事