晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ネルソン・デミル 『プラムアイランド』

2024-01-31 | 海外作家 タ
もしかしてこれが今年に入って初投稿かしら、と思って当ブログを見たら前回の投稿が去年の大晦日。つまりそういうことです。
というわけで今年もよろしくお願いします。

さて、ネルソン・デミル。個人的にすごく好きな作家ではあるんですが、日本ではあまりメジャーというわけではないようで、たしか他の作品のあとがきで故・児玉清さんでしたっけ、日本での知名度がいまひとつなのを残念に思ってるとかなんとか。

この作品はジョン・コーリーシリーズの第1作目。2作目「王者のゲーム」と3作目「ナイトフォール」はすでに読んで、まあ順番がバラバラではありますが、前作を読まないと理解できないといったふうではありません。

ニューヨーク市警殺人課刑事のジョン・コーリーは、勤務中に銃で撃たれて負傷し、今は療養休暇中でロングアイランドの伯父のコテージにいます。ある日のこと、この地域の警察署長であるマックスがコテージにやって来ます。そこで、トムとジュディのゴードン夫妻について知ってるかと訪ねます。知ってると答えると、マックスは「現場を見てほしい」と頼みます。というのもこの地域には殺人課の刑事はいないので、ふたりと知り合いだったコーリーにお願いするのがいいということ。ゴードン家は裏庭がデッキになっていて海に面していて、階段を降りるとボートが繋留されています。ふたりは銃で頭部を撃たれてデッキで横たわっています。隣の家の住人は銃声は聞こえなかったと話しています。

そこに、スーツを着た女性がコーリーに「どなたですか」と聞きます。女性は殺人課刑事でこの事件の担当のベス・ペンローズといい、マックスから依頼されたと話すと名前を聞いて「あのときの・・・」と思い出します。

ゴードン夫妻は、ロングアイランドの端から離れたプラムアイランドという名の小さい島にある国立の生物研究所の科学者で、コーリーはふたりのボートに数回乗せてもらっていて、ボートにアルミの箱がないことに気づきます。ひょっとしてふたりは研究所の未知のウィルスを勝手に持ち出してアルミの箱に入れたのを何者かに撃たれてウィルスが奪われた・・・などと考えます。

捜査チームはプラムアイランドの研究所に行って調べることに。ですが特にこれといって解決につながることはわかりませんが、島に渡るフェリーがあるのにふたりはたまに自家用ボートで通勤していたのをコーリーは知っていたので、それについて聞いても事件とは関係なさそう。そして、持ち出したのはウィルスではなく、ひょっとしてワクチンなのでは、それを内緒でどこかの組織に売って大儲けしようとして交渉が決裂して殺されたのか。

捜査で、ふたりが海沿いの使い道のなさそうな荒れた土地を購入していたことがわかり、土地を売った老婦人に聞いてみても、じっさいにその土地に行ってみても、怪しいことは何一つ見つかりません。電話の通話記録から地元にあるワイナリーのオーナーを訪ねて聞いてみてもわかりません。
ところでふたりはこの地域の歴史協会に参加していて、古い資料や数百年前の建築物などの研究をする会なのですが、その協会の会長にコーリーは会ってみることに・・・

はたしてふたりはウィルスかワクチンを持ち出して謎の組織に売ろうとしたのか。でなければなぜ殺されなければならなかったのか。

物語の展開はアメリカの歴史が関わってきて、ただの殺人事件ではなく歴史ミステリーも絡んできて、ものすごく壮大なことになってきます。
ネルソン・デミルの作品は、本筋の話の面白さもさることながら、なんといっても醍醐味は思わず笑ってしまうセリフや描写。ここにオフザケはいらないというようなシリアスなシーンでも笑える登場人物の会話を入れてくるのですが、それが不思議と邪魔になっていません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チャールズ・ダーウィン 『種の起源』

2023-12-09 | 海外作家 タ

先日は自転車の投稿をしたばかりですが、読書もものすごく久しぶりの投稿です。ちょっと学校関係のほうが忙しくて、といってもその間、ちまちまと本は読んでました。

さて、ダーウィンです。だいぶ前ですが、あるクイズ番組にお笑いタレントのパックンが出てまして、問題が「中学校の理科の教科書に出る単語」というもので、パックンに出されたのは「(し)から始まるダーウィンの著書」で、パックンは回答時間中ずっと「On the origin of spieciesって日本語でなんて言うの?」と言ってて、時間切れで不正解だったんですが、まあ本来は正解なんですけど。

ジョナサン・ワイナーという人の「フィンチの嘴」という作品で、ガラパゴス島に住んでいるダーウィンフィンチというさまざまな嘴の形をした鳥を研究した生物進化学の研究者のグラント夫妻が20年の調査で、じつは今現在でも進化を遂げているということを発見したのですが、『種の起源』では、その部分は実証できていなかったのです。

この作品が世に出た当時のヨーロッパではまだすべての生物は神が創造したと信じられていて、というか「当時」ではなく現在でもキリスト教保守派が経営する学校などでは進化論は教えていないと聞いたことがありますが、この作品の裏テーマは、創造説では論理的に説明できないことを証明していく、といったものになっています。

まずは「飼育栽培下における変異」で、つまり人間の管理下での植物や動物の個体間の差はどのようにして生まれるのだろう、というもの。もともとの原種というか野生種から現在の人間の管理下のハトだの牛だの野菜だのに変わっていったのは、それが何かしらの「有利な状況」があった、そしてそれを「選抜」という表現を使っています。

「自然条件下での変異」では、そもそも自然状態で変異は起こるのか、について書かれています。

そして「生存闘争」では、「自然淘汰」との関係性について、そして「闘争」とは捕食と被食、あるいは動物同士の縄張り争いやメスをめぐる争い、または虫と植物の共依存や植物の寄生も闘争の結果そうなったといえるのですが、地理的にも環境的にも影響がある、としています。

「自然淘汰」では、人為選抜との比較、そして絶滅について説明されています。生物の生存にとって有用な変異が起きたなら、その形質を持った個体は生存闘争で保存される可能性が高くなり、よく似た形質を持った子孫が生まれ個体が保存されていくことになる原理が「自然淘汰」であると説明されています。

「変異の法則」では、気候変動といった外的条件の効果、適応について書かれています。

「学説の難題」では、種は移行しているというのなら、その中間種が見つからないのはなぜか、コウモリの飛翔能力、ハエを追っ払うキリンの尻尾、または眼のような特殊な構造をした器官はどのようにしてできたのか、について書かれています。

「本能」では、本能と習性の違いについて、人間が幾何学の法則を発見するはるか前からミツバチは機能的で素晴らしい形をした巣を作っていたのはなぜか、本能はその生物にとって有利なだけではなく過ちも犯すことについて説明されています。

「雑種形成」では、最初の種間交雑、変種について書かれています。

「地質学的証拠の不完全さについて」では、中間的な変種の不在について、古生物学や地質学から説明されています。

「生物の地質学的変遷について」では、前の章の続きで新種の誕生と種の絶滅の地質学的関連について書かれています。

「地理的分布」では、物理的条件、気候変化、氷河時代における分散や集合、といったことが書かれています。

「生物相互の類縁性、形態学、発生学、痕跡器官」では、生物どうしの類似性は「由来の近さ」である、変化を伴う由来、適応による相似形質、絶滅による分類、形態学と発生学、痕跡器官(萎縮または発育不全)について説明されています。

「要約と結論」では、どのような器官や本能も完成度には段階があって、種にとっては有益なものであり、ごくわずかに変異を生じる。そこに生存闘争のもと、構造や本能に生じた有益な変異が保存される。そこには地理的、気候的な要因もおおいに関係する。そして現在のすべての生物の「始まり」はたった一種類の生物で、そこから枝分かれしていったというもの。

つまり、ビジネスシーンや政治の世界で「強いものが生き残る」の例としてこの『種の起源』が使われているのは間違いであって、読んだことがないか悪意を持って誤用しているかのどちらかで、神が創造したわけではなく、現在のすべての生物は「たまたま偶然」生き残ってる、ということです。

この進化論を真っ向から否定している側の方たちは「我々のような高等な人類が下等なサルから進化したはずはない」としていますが、この文中には人類は猿から進化した、といったような記述は一切ありません。

また、面白い部分として、陸から離れている島はかつて陸の一部だったことは説明されていますが、大陸移動については具体的に触れられていません。というのもこの本が出されたのが1859年で、ヴェーゲナーの大陸移動説が発表されたのが1912年で、じつはそれ以前から「南米大陸の東海岸とアフリカ大陸の西海岸って形がピッタリ合うよね」ということは論じられてきて、ただこの時点ではまだ大陸が移動する原動力がわかっていなくて、だいぶ後になってプレートテクトニクス理論が出てきます。

さらに興味深い話をいくつか。この作品は学術書ではなく、一般書店で発売されたということ。ダーウィンの母はウェッジウッドの創業者の娘。父親も父方の祖父も医師で、つまり「良家のお坊ちゃま」です。まあ、軍人でもないのにイギリス海軍のビーグル号に乗せてもらうには金とコネがなければ無理だったことを考えれば、そういうことですね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネルソン・デミル 『王者のゲーム』

2023-07-17 | 海外作家 タ

暑いです。と書いたところで涼しくなるわけもないのですが。

 

さて、ネルソン・デミル。この作品は「ジョン・コーリー・シリーズ」の第2作目でして、だいぶ前に3作目の「ナイトフォール」を読んで、主人公はいっしょでもそれぞれ独立した話で順番はバラバラでも別に構わないということでようやく6年越しに手にしました。「ナイトフォール」に出てた「妻のケイト」とはこの作品でジョンと初めて出会って結婚したんですね。

元ニューヨーク市警の刑事、ジョン・コーリーは、連邦統合テロリスト対策特別機動隊(ATTF)のエージェントで、中東セクションに所属してます。ニューヨーク市警の刑事だった時に銃撃戦に巻き込まれて撃たれて、その後退職、刑事の学校で教員をしていましたが、連邦政府が警察での勤務経験がある人材をATTFで募集していると聞き、入ることに。

チームのメンバーは、CIAのテッド・ナッシュ、FBIのジョージ・フォスター、ニューヨーク市警のニック・モンティ、FBIのケイト・メイフィールド。

 

パリのアメリカ大使館に、アサド・ハリールというリビア人が亡命を希望してやって来ます。アメリカやイギリス、フランスなどの捜査機関が調べたところ、ハリールが訪れた西ヨーロッパ各地で爆破事件やアメリカ空軍士官殺害事件、アメリカ人小学生が銃撃されて殺された事件に関与が疑われているのですが、どれも立証されておらず、監視対象になっていたのですが、なんとパリのアメリカ大使館に堂々とやって来ます。

ハリールを保護勾留してパリからニューヨークの飛行機で連れてくるのですが、空港について車に乗せて無事にマンハッタンまで送るまで見届けるというのが、今回のミッション。

ニューヨークの航空交通管制センターで、パリ発トランスコンチネンタル175便が無通報状態になっていると責任者が報告を受けます。しかしこれはよくある話で、周波数を間違えてたり、自動操縦にしてフライトクルーが眠っていたり。何度交信しても応答なしで、ケネディ国際空港の管制塔に連絡して、救難サービス隊に警戒態勢をとってもらうことに。もしやハイジャックされてるのでは。

結局、なんの応答もないまま、トランスコンチネンタル175便はケネディ国際空港に着陸。パイロットに交信しますが、応答なし。ATTFのチームにもハリールを載せた飛行機が滑走路上で止まったままになっていて、無通報状態で着陸したと報告が入ります。

機内に火災の兆候は見られず、救難サービス隊は中に入ってみることに。物音ひとつせず、乗客は全員死んでいたのです。しかし、乗客の顔は毒ガスや煙、無酸素のような悶え苦しんでいる状態ではなく安眠しているよう。トイレに行きたくなり化粧室を開けると中に男が。お前は誰だと聞くと「私はアサド・ハリール」といって・・・

様子がおかしいので、ジョンとケイトは飛行機に向かいます。そこで、死体運搬車と医学検査官の出動が要請されていると知ります。中に入り、亡命者のリビア人と両隣のFBI職員の席に行くと、真ん中の男はアラブ系の男ではありますがハリールとは別人。パスポート、身分証明書、財布の中の金は取られておらず、銃だけが盗まれていました。他の乗客を確認すると、毛布に覆われた男を見つけ、額にマスクがかけてあるので持ち上げると額には銃口が。最初に機内に入った救難サービス隊の隊員でした。

ジョンは、なぜアサド・ハリールは銃(だけ)を盗んだのか、何かがおかしいと思いFBI職員の手を見てみるとふたりの指が切断されています。「まずい!」と急いでATTFの作戦本部に戻ります。指紋認証のドアを開けると女性職員とニック・モンティの死体が・・・

アサド・ハリールはどこに消えたのか。飛行機の乗客300人を殺害してまでアメリカに来たかった理由とは。ジョンはハリールを捕まえることができるのか。

文庫の上下巻とも700ページを超える厚さで、つまり合わせて1400ページの大長編。他にやることがあったとはいえ読み終わるまで1ヶ月かかってしまいました。しかし面白いです。ものすごく面白いです。児玉清さんのあとがき解説で「僕が好きな作家のトップに迷わず推すのがデミル。だが残念なことに日本では人気度がいまひとつ」とありますが、本当になんでしょうね。

内容的には重苦しいといいますか陰惨な部分もあったりしますが、オフザケにならない程度に笑える、特にジョンとケイトのやりとりは最高。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネルソン・デミル 『アップ・カントリー 兵士の帰還』

2023-04-12 | 海外作家 タ

先月は1冊しか投稿できませんでした。

 

さて、ネルソン・デミル。まだ2作品しか読んでませんが好きな作家です。

アメリカ陸軍犯罪捜査部を辞めたポール・ブレナーに、ポールの元上司のカール・ヘルマン大佐からメールの着信が。「明日16時、ザ・ウォールにて K」という文面のみ。ザ・ウォールというのはワシントンDCにあるヴェトナム戦没者記念碑のことで、なぜそんなところで会いたがってるのか全く検討がつきません。そこで、ポールの恋人で現在も犯罪捜査部の職員であるシンシアに連絡してみることに。するとこの件に関しては知らない様子。

指定された時間にザ・ウォールに行くと、カールがやって来て「この壁には戦死ではなく他人に殺害された者の名前がある」と告げられます。1968年にヴェトナムのクァンチ市で中尉が大尉に殺害されたという情報が犯罪捜査部に届いたというのです。その証人は当時の北ヴェトナム軍兵士で、負傷して廃墟に隠れていたときにふたりのアメリカ兵が廃墟に入ってきて激しく口論し、大尉が銃で中尉を撃った一部始終を目撃していたのです。彼らの階級は軍服の肩章でわかります。そしてこの目撃情報の手紙を同じく兵士の兄に出したのですがその兄は死亡、その手紙をあるアメリカ軍兵士が見つけて持ち帰ってトランクにしまいっぱなしにして、30年近く経って退役軍人会に送ったそうで、それを英語に翻訳したら、これは殺人事件の目撃情報だということになって犯罪捜査部に話が来たということ。

現時点で、クァンチ市にその日にいた第一騎兵師団所属の大尉と中尉をある程度までは絞り出していますが確定できておらず、ポールにヴェトナムに行ってもらい、その証人がまだ生きていたら探し出して写真を見せて確証を持って帰ってきてほしい、もしすでに亡くなっていたとしても、生家に行けば証人が中尉の遺体から盗んだとされる物を持ち帰ってきてほしい、とお願いします。

ポールは心のどこかでヴェトナムに行った「過去」と心の中で折り合いをつけなければならないと思っていて、ヴェトナムに行くことに。

手紙に書いてあった「タムキ」という村は地図には存在しません。

ポールはサイゴン(ホーチミン)に着き、アメリカからのメッセージを待っていると、アメリカ人女性が声をかけてきます。スーザンという女性はこのミッションにどうやら関係がなさそうなのですが・・・

はたしてポールは証人に合うことができるのか。

文庫の上下巻で約1600ページにおよぶ長編でして、ミステリーであり、サスペンスでもあり、アクションエンタテインメントでもあり、ロマンスもあり、またロードムービー的でもあり、読んでてものすごく疲れましたが、シリアスな内容の中にユーモアのエッセンスが散りばめられていてどうにかこうにか途中で諦めずに読み切ることができました。

若いスーザンにとっては「私にとってヴェトナムとは戦争ではなく単なる国名であり地名」と言いますが、ポールにしてみればそのような単純に割り切れるものではありません。あのヴェトナム戦争とはアメリカにとって、そしてポールにとってなんだったのか。

ポール・ブレナーが主人公の作品はこれが2作目で、この前に「将軍の娘」という作品があるのですが、読んでみたいのとどうしようかなという気持ちが半々。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジェフリー・ディーヴァー 『スキン・コレクター』

2022-11-19 | 海外作家 タ

この前、久しぶりにスーパーで魚を切り身でなくまるごとのまま買ってきまして、家でウロコとワタを取って調理したのですが、ウロコってけっこう飛び散るもんですね。非常にめんどくさかったです。たいていのスーパーの魚売り場ではウロコとワタ取りや三枚におろしてくれるサービスがあるので素直に頼めばよかったのですが、別に誰も見てないのに「料理好き」の変なプライドが邪魔したんでしょうね。次に買うときは頼みます。

 

以上、貴方への愛こそが私のプライド。

 

さて、ジェフリー・ディーヴァーさんのリンカーン・ライムシリーズ。単行本ですと2段組み(1ページに上下2段)でけっこう分厚いので読むのにけっこう時間がかかりますが、手に持ったときのズッシリ重い感じ、読み進んで残りページ数が少なくなっていくときのさみしい感じ、読み終わったときの充実感。読書の醍醐味を思い出させてくれます。

クロエというブティックの店員が店の地下室で死体で発見されます。一報を受けたニューヨーク市警の刑事ロン・セリットーは科学捜査官のリンカーン・ライムの自宅に出向いて報告。犯人は地下のトンネルに被害女性を連れ込んで殺害したとのこと。ニューヨークのソーホー一帯の地下にはトンネルが迷路のように広がっていて、かつてこの地域が工場だらけだったときの地下通路の名残り。

被害者には怨恨トラブルなど特になく、身体にはタトゥーが彫られています。かなりの腕前のようで、なんとインクの代わりに毒物が使われています。アメリア・サックスが現場に向かって捜査をはじめます。遺体に乱暴された形跡はありませんが、首に「the second(第2)」と青く彫られたタトゥーが。その数字の上下には波模様の飾り線。

検出された成分を分析した結果、タトゥーに使われた毒はドクゼリという植物に含まれる猛毒成分。そこであるタトゥーの店の主人に話を聞くのですが、タトゥーを殺人に使用するとは許せないと怒りますが、被害女性のタトゥーの写真を見ると「これだけの技術を持った人ならニューヨークのタトゥー業界で有名にならないはずはない」とのこと。さらに字体はオールドイングリッシュというものでニューヨークで最近流行りのスタイルではないそう。

現場にあった破られた本のページは重大犯罪捜査について書かれた本で、そのページはライムが担当した「ボーン・コレクター」事件の章でした。もし犯人がボーンコレクター事件に影響を受けてライムに関心を持ったとしたら、この本に登場するサックスの身にも危険が。

一方、かつてライムをさんざん悩ませた「ウォッチメイカー」ことリチャード・ローガンが刑務所内で死亡します。ライムはウォッチメイカーの葬儀に花を贈ると言いますがその真意は。

そんな中、また事件が。次の被害者も女性で、現場はレストランの地下にあるトイレから奥に繋がっている昔の地下通路。そして女性の皮膚には「forty(40)」のタトゥーが・・・

はたして犯人の目的とは。数字の意味とは。そしてライムとサックスに身に迫る危険とは。

 

シリーズの前の作品が出てきて「あれ、どういう話だったっけ」と思い、当ブログで過去に投稿した「ウォッチメイカー」「ボーン・コレクター」関連の内容を探して読み返したので、途中で意味がわからず読むのやめたという事態にならずによかったです。昔の自分に感謝。

そしてラストにまたなにやら含みを持った感じで終わります。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジェフリー・ディーヴァー 『ゴースト・スナイパー』

2022-05-22 | 海外作家 タ

ライベートな話題をひとつ。当ブログの自己紹介にも書いてあるように、現在大学生(通信制ですが)でありまして、基本的に授業はオンラインでテストを受けたり講義の動画を見てレポートを書いたりするのですが、一部の科目についてはスクーリングという対面授業があり、本部キャンパスに行って全19コマの3分の2以上かな、出席してレポートを提出して単位がもらえます。というわけで5月のとある土日の2日間、大学に行ってきました。同じように働きながら勉強してという方たちと勉強方法や進み具合など話したのですが、日勤のフルタイムで働きながら、中には働きながらさらに小さいお子さんがいて子育てもしながらという方もいて、いつ勉強してるのかと聞いたら寝る前の1〜2時間と休日はほぼ勉強で終わってしまう、と。そこをいくと気ままなシングルライフで夜勤の仕事中にノートパソコンとテキスト持ち込んでせっせと課題をやってる自分なんかは気楽なもんだなと今まで社会人学生は大変だ大変だと言っていたことに反省。キャンパスは東京都下にあって緑がいっぱいで開放感があってとてもいい雰囲気でした。次は6月と7月。来年にもまだ行く機会はありそうですが。

長くなってしまいました。というわけでジェフリー・ディーヴァーさん。この作品はリンカーン・ライムシリーズ10作目。

ざっとあらすじ。元ニューヨーク市警察で鑑識のスペシャリスト、リンカーン・ライムは不慮の事故で首から下が指一本しか動かなくなりますが捜査コンサルタントとして数々の事件解決の糸口を見つけ出します。現場の鑑識に行くのは女性刑事のアメリア・サックス。ライムからの無線の指示でまさに(手足となって)証拠物を回収します。ちなみにシリーズ途中でふたりは恋人に。

シリーズの途中にですが、ライムは手術を受けて体の一部分がちょっとだけ動くようになります。

アメリカを批判しまくっているアメリカ生まれの元アメリカ人活動家ロベルト・モレノがバハマで殺害されます。しかし、死因は銃殺なのですが、高層ホテルの上階で誰がどうやって撃ったのか。

ニューヨークのリンカーン・ライムの自宅に現れたのはニューヨーク市警察の刑事ロン・セリットー。ここにあとでふたりの人物が来ることになっている、というのです。そしてやってきたのはニューヨーク市警特捜部のビル・マイヤーズと地方検事補のナンス・ローレル。バハマでのモレノ殺害事件に関してなのですが、殺害計画がニューヨークで行われた可能性があるということで共謀罪の適用が有効なのではないか。

その容疑者というのはマンハッタンに本部のあるNIOS(国家諜報運用局)の長官のシュリーヴ・メツガー。

現時点でモレノ殺害の犯人は麻薬カルテルということになってますが、NIOSはモレノがアメリカでテロの計画があるという情報を掴んでヒットマンを使って殺害したと考えられます。このテロ計画は暗号文のようなやりとりがテロを想定させるといったものなのですが、実際は抗議活動を行なうという計画でした。

バハマ警察からの情報によると、被害者はロベルト・モレノ、モレノのボディーガード、それと運悪くこのときモレノにインタビューに訪れていたジャーナリストの3人。犯人はおよそ2000メートル離れた場所から銃撃したとのこと。

ライムが引き受けるにしても、なんにしても現場ははるか南のバハマなので現場に気軽に行けません。証拠物件もありません。

話は変わってNIOSの長官のオフィスに何者かが入ってきてメツガーに「捜査が進行中だ」と告げます。そしてこの人物に担当検事とニューヨーク市警の捜査担当者の名前を知らせる電話が・・・

はたして2000メートルの距離から銃撃を成功させる凄腕のヒットマンとは何者なのか。そのようなことは可能なのか。

ライムは証拠物件の採集のため、バハマに行くことに・・・

暗殺者のもとにモレノ殺害事件の捜査協力者としてライムとサックスの名前が・・・

かなり複雑なストーリー展開で、読んでる途中でやめて時間をおいてまた続きを読み始めようとすると「あれ、なんだったっけ」となって数ページ戻って確認するといったことが何度かあってだいぶ時間がかかってしまいましたが、ラストの方は一気読み。

このシリーズはあまり他にやることがないときにじっくり腰を据えて読みたいものですね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジェフリー・ディーヴァー 『バーニング・ワイヤー』

2022-03-21 | 海外作家 タ

家から職場まで車で通勤してるのですが、その途中にスーパー銭湯がありまして、ずっと気になっていて機会があったらいつか行ってみたいとは思っていたのですが、この前とうとう行ってきました。6年前にオープンして去年リニューアルしたそうで、とてもキレイでした。いちおう天然温泉。まあ日本国内ならたいていどこ掘っても(地下1000メートルくらい)温泉が出るらしいですね。朝の8時半から営業してるので、今度は夜勤明けにひとっ風呂浴びてこようかと。

シングルライフをエンジョイしてます。

 

さて、ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズ。単行本で買ったのですが、帯に「リンカーン・ライム、絶体絶命。」とあり、まあでもそれをいったら毎作品どれも絶体絶命だったような。

リンカーン・ライムはニューヨーク市警察の科学捜査のエキスパートでしたが事故で首から下がほぼ動かなくなり寝たきり状態、女性刑事のアメリア・サックスが現場に赴きライムの「手足となって」捜査をする、といった話。

ニューヨークのアルゴンクイン・コンソリデーテッド電力会社の技術員は(ある異変)に気づきます。マンハッタンにある無人の変電所のブレーカーが外れて送電ルートが切り替わったのです。今度は他の変電所がオフラインに。このままだとある1か所の変電所に負荷がかかりすぎて爆発するおそれが。ひょっとしてこれはテロかと技術員は思い、上司に連絡します。

マンハッタンの西57丁目をバスが走っています。停留所に着いて運転手はなにげなく近くにある変電所の窓からケーブルが垂れ下がっているのを見つけて「危険はないのかな」と思っていると電力会社のトラックが停まり作業員が出てきたとき、焦げくさい臭いが。するといきなり強烈な光が閃き、バスは炎に包まれます。

リンカーン・ライムのもとに市警の警部補ロン・セリットーから「変電所が爆発して停電した、テロみたいだ」と電話が。市警とFBIが到着し、電力会社の変電所に何者かが侵入し、ケーブルを外に向けて垂らしておいて他の変電所が機能してない状態で57丁目の変電所に強烈な負荷がかかり、電流が外に放出されます。アークフラッシュと呼ばれる現象で落雷に似た状態で電気が爆発します。犯行声明は出ていないのでテロとは断定できませんがFBIはテロを疑っています。

さっそくアメリア・サックスと市警のロナルド・プラスキーは現場へ。変電所の近くのコーヒーショップに爆発が起きた時間帯にノートパソコンを持った男がいたという目撃証言がありますが、それが犯人なのか。

送電ルートの切り替えを会社のコンピュータシステムに設定変更したのは外部からのハッキングではなく内部からというので社員の犯行か、社内に協力者がいるのか。

コーヒーショップから採取した中に髪の毛があり、そこから化学療法を受けている証拠が検出され、調べてみると技術者のレイ・ゴールトという40歳の男性が白血病の治療中だとわかります。プラスキーは彼のアパートに行って証拠を探していると、アップタウンのハーレムの変電所でボヤ騒ぎが。サックスが急いで駆けつけ次の犯行現場はどこか探していると、近くのホテルで惨劇が・・・

プラスキーはアパートで「自分が白血病になったのは会社のせいだ」と書かれた文書を見つけます。そんな中、電力会社の本社に午後6時から1時間停電させろという脅迫文が・・・

はたしてゴールトは今どこにいるのか。彼の要求はなにか。

この事件と同時進行でいまだ逃亡中の(ウォッチメイカー)がメキシコにいるとの情報が入り彼を捕まえるために前に登場したカリフォルニア州の捜査官キャサリン・ダンスとメキシコの連邦警察と電話でやりとりをしながら逮捕の作戦を実行しています。

相変わらずこっちかと思ったら別ででもそれも違って、といった感じで長編でありながら途中でダレることなく「ええっ」「ああっ」「マジでかっ」と心のなかで叫びっぱなしな展開。この犯罪ミステリのメインストーリーとは別に、ライムは自分の体が元通りとまでいかなくともある程度回復できるかとリハビリは続けていて過去には手術を考えたりしましたが、今作でもかなり真剣に考えます。

単行本ですと1ページに上下2段の文章になっていて、調べたら「段組み」というらしいですが、まあつまり文章がコメダ珈琲のフードメニューばりにボリュームたっぷりというわけですね。小説を読み慣れていない人からすると読みにくい、あるいは見るからに量が多いのでゲンナリしてしまうそうですが、ふだん本を読み慣れてる人でもこのリンカーン・ライムシリーズは読み始める前にちょっとばかし気合を入れるのではないでしょうか。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジェフリー・ディーヴァー 『ソウル・コレクター』

2021-04-04 | 海外作家 タ
ここんところの投稿は「時代小説→ジェフリー・ディーヴァー」という流れが続いていました。しかしこの流れはこの投稿でおしまい。なぜなら去年ネットショップでまとめて購入した分はここまで。続きはまたいつの日か。
ちなみに次に読む本は時代小説、の予定。

この作品は「リンカーン・ライムシリーズ」の8作目。

ライムのもとに「お久しぶり」と訪ねてきた人物が。その人物とはいとこのアーサー・ライムの妻で、なんでもアーサーが殺人容疑で逮捕されたというのです。アーサーは「やってない」の一点張りで、妻は「そういえばいとこに鑑識の第一人者がいるじゃないの」と提案するも「リンカーンには伝えないでくれ」というのです。子ども時代は兄弟のように仲の良かったリンカーンとアーサー。しかし大学を卒業してからはずっと疎遠となってしまっています。
ライムは現在、イギリスに逃亡したと思われる犯人を担当していてそれどころではないのですが、(身内のよしみ)で関係者に聞いてみると、アリバイもなし、物的証拠もあるし、容疑者にとっては現時点で(100パーセント分が悪い)といった状態で、裁判になったら有罪は確実だから今のうちに「あっしがやりやした・・・」と自首すれば多少の減刑はあるだろうと弁護士のありがたいアドバイス付き。

しかし、この事件をまとめてみると、気がかりなことが。あまりに証拠が(そろいすぎているの)です。もっというと、容疑者の(条件があまりにできすぎている)のです。容疑者が何者かに濡れ衣を着させられているのではないか。

直近で似たような事件があるか調べていると、まさに今、強姦殺人の容疑者の男の家を包囲しているという情報が入って来て、これはひょっとしてと思い、アメリア・サックスは現場に直行し、容疑者とされている男に話を聞くと、被害者の女性も知らないし全く身に覚えがないというのです。現場から帰ろうとしたサックスは、自分の車にちょっとした異変があると気が付きます。すると銃を突き付けられます。
銃を突き付けてきたのは連邦麻薬取締局の捜査官で、付近でサックスの人相に一致する女性が麻薬取引をしていると通報があったというのです。

アーサーの件と今回の強姦殺人で共通しているのは、匿名の電話通報があったということ。男の声で「叫び声が聞こえた。現場から車が急発進した」というもので、さらに「ナンバーは・・・」と頭の数字(だけ)を伝えているのです。サックスの件もだいたい同じ。

捜査が進んでいくうちに、犯人は情報サービス会社から被害者と犯人(に仕立て上げる格好の人物)の情報を手にしているのではと思い、ニューヨークに本社のある(SSD)という会社があることを知るのですが・・・

前の事件でサックスと仲良くなったパムという女の子が登場するのですが、まるで娘のように思い心配をするサックスと、年頃ならではの悩みや問題ありのパムという、こちらの「人間ドラマ」も、本筋の恐ろしい話の合い間にちょいちょい出てくる、別な意味で「読ませる話」。

当ブログでたびたび言及していますが、海外、特にアメリカのミステリのシリーズものは回を重なるごとに敵側がパワーアップしていってもはや人間レベルではなくなるという問題があって、検屍官ケイ・スカーペッタシリーズなどはまさにこれで、ケイの恋人のFBI捜査官が殺された件の犯人は「催眠術だか心理学だかで容易に他人を操れる」という(なんでもあり)状態。

まあ、それをいってしまうと、リンカーン・ライムの鑑識能力も「神がかり的」なんだけどそれはどうなんだって話ですが、今作の(敵側)も「なんでも知ることができる」という恐ろしい相手だったのではありますが、コンピュータの情報システムの「悪用」という側面があるので、もちろんエンターテインメント性を考えてオーバー気味といいますか、さすがに現実にはそこまではないでしょとは思いますが、情報を悪用すれば神にも悪魔にもなれるという警鐘もあって、楽しめて考えさせられるといった読書の醍醐味を味わえた一冊でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジェフリー・ディーヴァー『12番目のカード』

2021-01-20 | 海外作家 タ
新年初投稿からだいぶ間が空いてしまいました。
読んでた本がとにかく長くて、しかも単行本で買ったのでぶ厚くて重くて持ち歩けないので、読めるのは寝る前くらい。

というしゃらくせえ言い訳はさておき、ジェフリー・ディーヴァーさん。

ニューヨーク、ハーレムの高校に通う十六歳のジェニーヴァ・セトルは、「アフリカン・アメリカン文化歴史博物館」の図書室で調べものをしています。すると背後から物音が。携帯電話で誰かと話している男。するとその男が突然、棒でパソコンに向かっている少女の後頭部めがけて振り下ろします。ところが棒を握っていた男の手はしびれて痛いほどの衝撃が。バラバラと転がり落ちたのは、マネキン。少女は身の危険を感じ、マネキンに自分の服を着せてどこかに逃げたのです。

ジェニーヴァは博物館の非常口から外の通りに出て、待っていた友人のラキーシャに男に襲われそうになったと告げます。

科学捜査専門家でニューヨーク市警捜査顧問リンカーン・ライムの自宅にいたニューヨーク市警刑事のロンのもとに「傷害事件発生、五十五丁目のアフリカン・アメリカン博物館で強姦未遂事件、被害者は少女」という一報が。
現場に向かったアメリア・サックスは、捜索をはじめます。犯人が置いていったバッグの中身はダクトテープ、カッターナイフ、コンドーム、そして絞首台にぶら下がってる男が描かれたタロットカード。そして、少女がパソコンで調べていたファイルは持ち去られていました。
ロンは、博物館の図書室長に話を聞こうとすると、銃声が・・・

犯人が残したタロットカードは(吊るされ人)といい、二十二枚の「大アルカナ」というカードの十二番目にあたります。ですが、意味は「精神的な保留や待機」で、特に悪いお告げではありません。

ところで、ジェニーヴァが調べていたものとは何か。
高校の授業のレポートで自分の先祖を調べることになり、彼女の四代ほど前の祖父で、名前はチャールズ・シングルトンという解放奴隷。はじめはヴァージニア州で奴隷として暮らしていましたが主人から解放され、ニューヨーク州の農場を与えられます。その後、南北戦争に出征、ところが戦後、何かを盗んで容疑者となって逃亡しますが、ジェニーヴァが調べてわかったのはここまで。犯人は、この情報が欲しかったのか?

犯人にまだ狙われている可能性があるので、ジェニーヴァには警官の護衛がつくことに。高校にも警官がついていくことになったのですが、その高校に片足を引きずる怪しげな男が・・・

はたして犯人が高校生の少女を殺害しようとするその目的とは。高校に近づく怪しい男とは。そして百四十年前、ニューヨークでチャールズ・シングルトンは何を盗んだのか。それが百四十年後の現在と関係があるのか・・・

最終的に、この話の結末は「アメリカならでは」ということになるのですが、そういえばこの本がアメリカで出たのが十五年前、ということは文中にある「百四十年前の・・・」というくだりはこのブログを書いてる今現在では「百五十年以上前」になっちゃうのですが、まあそこらへんは。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジェフリー・ディーヴァー 『魔術師(イリュージョニスト)』

2020-12-29 | 海外作家 タ
今年「も」ではなく「は」ですね、本当にいろいろありましたね。個人的な今年一年としては、振り返ってみれば上半期は「人生の第2章」のために動き出すための準備期間で、資格を取得するために四半世紀ぶりくらいに真面目に勉強し、無事合格。そして下半期は「人生の第2章」いよいよスタート!というわけで、通信制ではありますが、大学生になりました。
仕事しながらですので(社会人学生)ですか。(苦学生)でもいいですけど。
そもそも通信制なので大学のキャンパスに行く機会はほぼ無い(3年か4年に実習はありますが)ですし、ましてやこんな状況ですので、大学の図書館やその他施設は利用制限があるので、キャンパスの並木道を歩いてあの娘に会って・・・みたいなのは無し(涙)。

充実した毎日を過ごせるということが「当たり前ではなかった」と深く感じたこの一年、そういう思いを大事にしないといけませんね。

さて、ジェフリー・ディーヴァーさん。いつ以来だろうと当ブログで調べたら、なんと2011年の2月以来。
この作品は、首から下が麻痺状態の鑑識のスペシャリスト、リンカーン・ライムのシリーズ第5作目。8年以上も間をあけてようやく読んだのにはべつだん意味はありません。忘れてたわけでも飽きちゃったわけでもなく、本屋にいくたびに探してはいたのですが、なかなか出会えませんでした。ネットで本を買ったときに思い出し、シリーズ5作目から8作目まで買っちゃいました。現在では14作目まで出ていますね。

元ニューヨーク市警の鑑識官で、事故により首から上と片手の指1本しか動かなくなってしまったリンカーン・ライムと、現場を捜査するアメリア・サックスとのコンビが難事件を解決していくというこのシリーズ、今作ではサックスが刑事の昇進試験を受けるところからスタート。

音楽学校の学生が校内で殺され、現場に駆け付けるサックス。無線でライムに状況説明をしますが、警備員の話によれば不審な人物は通らなかった、と。鑑識でわかったことは、マジシャンがよく使うグッズが使用されたということで、手品グッズ店の店員のカーラというマジシャンの卵に捜査協力を依頼。
次の殺害は若い男性で、アパートの部屋の手足をテーブルの足に縛られて体が切断されていました。鑑識の結果、馬が関係する「何か」が見つかり、近郊の馬術クラブを探し、会員の女性が見知らぬ男と話していたとの目撃証言があって、捜索すると、今まさに女性が殺される寸前で、どうにか助け出します。被害者は弁護士。不審な男は車に乗って逃げますが車は川に墜落。しかし男は行方不明。

犯人は「なぜ次の犯行が警察にバレたんだ?」と不思議に思います。そして、どのように調べたのか、ライムの家に犯人が侵入し・・・

この犯人のプロファイリングの結果、本名、経歴(元マジシャン)などがわかりますが、犯行動機がわかりません。

そして、このマジシャンが繋がってるとされる極右組織との関係とは。伝説のマジシャン、フーディーニの手品を殺人の手段として再現する目的とは。

シリーズものでは往々にして、回を重ねるにしたがって敵側がだんだん人間離れしていく、というのがあって、「検屍官ケイ・スカーペッタ」シリーズでも、犯人がもはや超能力者レベルになっています。このリンカーン・ライムもそのような傾向にあるにはあるのですが、それでウンザリするという気持ちをはるかに上回るストーリー展開の面白さで、最終的に「読んで良かった」と思えて「シリーズ続編をはやく読みたい」と思わせてくれます。

これで今年の投稿は最後になります。お世話になりました。来年は良い年になりますように。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする